【ユートピア】日本では何か新しい場所に「―トピア」と語尾をつけるのがはやりである。
あれは本来、トマス・モアの造語でギリシア語のUtoposを、転じてラテン語化して「Utopia」とし、それをラテン読みの「ウトピア」でなく、英語読みの「ユートピア」と発音したものだ。もとは「どこにもない国」という意味である。
モアの原本はラテン語で書かれている。
そのモアは、理想国ユートピアにおける金の使用法について述べている。
「人間はその愚かさのために、稀少なものは価値あるものとして、金銀に鉄よりも高い価値を与えた。
この国では金銀は蔑まれ、便器はわざと金で作ってある。罪人の鎖や足かせも金で作る。」
こういう国は、1516年の「ユートピア」出版以来まだないから、やはり「どこにもない国」なのだろう。
大法官モアは、英国の信長ともいうべきヘンリー8世の離婚と再婚に反対して、王の逆鱗に触れ死刑になった。、
ピーター・バーンスタイン『ゴールド:金と人間の文明史』(日経新聞社, 2001)は、トマス・モアの言葉をエピグラフに引用している。金をめぐる欲望の世界史だ。
スペイン人がインカ国王を人質に取り、王の体重と同じ重さの金を身代金として要求したのは有名だ。
歴史を400年ほど遡れば、スペイン人もアルカイダも一緒である。
金は王水にしか溶けず、化学的反応を起こしにくい。有史以来、掘り出された金は膨大な量に上り、今頃は地上に溢れているはずなのに、そうならないのは「退蔵して忘れられている」からであろう。
1970年頃、1トロイオンス=35ドルだった金は、ニクソン大統領が「ドルと金との兌換性停止」を発表すると、猛烈なドル安となり一時850ドルの高値をつけた。いわゆる「ニクソン・ショック」である。1トロイオンスは31.1グラム。
つまり1グラムの金は国際価格で27.3ドルにまで上昇した。当時は1ドル=260円だったので、7,160円である。
ドルが金とのリンクを捨て、「変動相場制」移行したことで猛烈な円高が進んだ。逆にいえばドルが安くなったのである。
1996年頃は、1ドル=80円を割った。円が強くなって海外旅行や輸入品が安くなった。本来、自国通貨が強くなって悪いことなど何もない。ドル建てで輸出することしか企業は考えていないから、ドルを円に換える時に安くなって「儲からない」だけだ。
円建てで輸出すれば、デフレなら安く輸出できる。貿易技術の問題が、いつのまにか「2%インフレ目標」という政策の問題にすり替わっている。
金のもう一つの物性は、「伸ばせばいくらでも薄い金箔をつくれる」ということだ。透明になるまで延ばせる。
値段の高い日本酒に金箔が入っているが、あれは何の意味もない。無知な消費者を騙しているだけだ。試みに金箔を口に含んで噛んでみるがいい、仁丹ほどの大きさにもならないから。
醸造会社にほとんど経費はかからない。高級感を出して、高く売りつけようとしているだけだ。
それというのも、人間には「金に目がくらむ」性質があるからだ。
あれは本来、トマス・モアの造語でギリシア語のUtoposを、転じてラテン語化して「Utopia」とし、それをラテン読みの「ウトピア」でなく、英語読みの「ユートピア」と発音したものだ。もとは「どこにもない国」という意味である。
モアの原本はラテン語で書かれている。
そのモアは、理想国ユートピアにおける金の使用法について述べている。
「人間はその愚かさのために、稀少なものは価値あるものとして、金銀に鉄よりも高い価値を与えた。
この国では金銀は蔑まれ、便器はわざと金で作ってある。罪人の鎖や足かせも金で作る。」
こういう国は、1516年の「ユートピア」出版以来まだないから、やはり「どこにもない国」なのだろう。
大法官モアは、英国の信長ともいうべきヘンリー8世の離婚と再婚に反対して、王の逆鱗に触れ死刑になった。、
ピーター・バーンスタイン『ゴールド:金と人間の文明史』(日経新聞社, 2001)は、トマス・モアの言葉をエピグラフに引用している。金をめぐる欲望の世界史だ。
スペイン人がインカ国王を人質に取り、王の体重と同じ重さの金を身代金として要求したのは有名だ。
歴史を400年ほど遡れば、スペイン人もアルカイダも一緒である。
金は王水にしか溶けず、化学的反応を起こしにくい。有史以来、掘り出された金は膨大な量に上り、今頃は地上に溢れているはずなのに、そうならないのは「退蔵して忘れられている」からであろう。
1970年頃、1トロイオンス=35ドルだった金は、ニクソン大統領が「ドルと金との兌換性停止」を発表すると、猛烈なドル安となり一時850ドルの高値をつけた。いわゆる「ニクソン・ショック」である。1トロイオンスは31.1グラム。
つまり1グラムの金は国際価格で27.3ドルにまで上昇した。当時は1ドル=260円だったので、7,160円である。
ドルが金とのリンクを捨て、「変動相場制」移行したことで猛烈な円高が進んだ。逆にいえばドルが安くなったのである。
1996年頃は、1ドル=80円を割った。円が強くなって海外旅行や輸入品が安くなった。本来、自国通貨が強くなって悪いことなど何もない。ドル建てで輸出することしか企業は考えていないから、ドルを円に換える時に安くなって「儲からない」だけだ。
円建てで輸出すれば、デフレなら安く輸出できる。貿易技術の問題が、いつのまにか「2%インフレ目標」という政策の問題にすり替わっている。
金のもう一つの物性は、「伸ばせばいくらでも薄い金箔をつくれる」ということだ。透明になるまで延ばせる。
値段の高い日本酒に金箔が入っているが、あれは何の意味もない。無知な消費者を騙しているだけだ。試みに金箔を口に含んで噛んでみるがいい、仁丹ほどの大きさにもならないから。
醸造会社にほとんど経費はかからない。高級感を出して、高く売りつけようとしているだけだ。
それというのも、人間には「金に目がくらむ」性質があるからだ。
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