【寓話】 とある田舎町に食堂があった。初老の男が料理人兼の店主で、美味いので定評があった。メニューに「河童のへそ」料理を取り入れたところ大人気になり、遠くからもわざわざ食べに来る客で、行列ができるほどになった。
話を聞いた大阪のレストラン「ハンダイ」の支配人は、「河童のへそなんて、見たことも聞いたこともない」といった。「ひょっとしたらウソで、有害な食材かも知れない」とも言った。田舎町の店主に対してねたみ心が生まれた。すると「そうに違いない」と思えてきた。
ついで「日本ショクドウ学会」は保健所と一体になって、問題の食堂に立ち入り検査をした。調理場は清潔で汚染も悪臭もなかった。河童のへそは実在した。すると、「客が自分で注文したということが書類に残されていない。無理に食わせたのではないか」と言いだした。
「河童のへそ」が実在することで、面子をつぶされた学会は、「感染・中毒の危険率が0.01%ある」と言いたて、国の監督官庁に抗議した。
役人はしぶしぶ規則を改め、「河童のへそは医学的に安全だと証明されるまで、無料サンプルとしてしか提供してはならない」と通達を出した。問題の食堂では名物料理を出すことを中止した。
この店主のファンたちは、「何を食うかは基本的人権に関わる問題だ。有害が実証されてもいないメニューを、国に働きかけて中止させたのは学会の責任だ」と主張して裁判を起こした。被告はショクドウ学会の幹部である。
学会の幹部は「河童のへそを取れば、河童が可哀想だ。河童に害がある」と自然保護の観点から「河童のへそ」料理の禁止を訴えた。
店主は、「いや、河童には本来へそがない。ところが、たまに河童にへそができる。不細工だし、みなに笑われるから取ってくれというて来る。だから、へそだけ取って川に戻してやっている。河童には喜ばれている。」と主張した。
河童は四国山中のある川の、ある場所にしかいない。その場所を知るのは初老の店長のみである。このまま行けば、「河童のへそ」は誰も食べられなくなるかも知れないと思われた。
ところが、この裁判が世界中に知れわたると、コーカサス山脈からカスピ海に注ぐある川でも、カルパチア山脈中のある川でも、アンデス山脈にあるアマゾン川の支流でも、河童が見つかり、「河童のへそ」料理がブームになった。今のところ食中毒は1例も出ていない。
やがて「河童のへそ」料理は高価だが、腎臓不全の特効薬であることが明らかとなった。腎移植に匹敵するという。そのことを他国はすぐに認めたが、日本では学会が反対して薬効を認めようとしていない。「河童のへそ」料理を食べるために、日本の腎不全患者が海外ツアーを計画するという動きも出てきた。
さて、この裁判はどうなるのだろうか。
話を聞いた大阪のレストラン「ハンダイ」の支配人は、「河童のへそなんて、見たことも聞いたこともない」といった。「ひょっとしたらウソで、有害な食材かも知れない」とも言った。田舎町の店主に対してねたみ心が生まれた。すると「そうに違いない」と思えてきた。
ついで「日本ショクドウ学会」は保健所と一体になって、問題の食堂に立ち入り検査をした。調理場は清潔で汚染も悪臭もなかった。河童のへそは実在した。すると、「客が自分で注文したということが書類に残されていない。無理に食わせたのではないか」と言いだした。
「河童のへそ」が実在することで、面子をつぶされた学会は、「感染・中毒の危険率が0.01%ある」と言いたて、国の監督官庁に抗議した。
役人はしぶしぶ規則を改め、「河童のへそは医学的に安全だと証明されるまで、無料サンプルとしてしか提供してはならない」と通達を出した。問題の食堂では名物料理を出すことを中止した。
この店主のファンたちは、「何を食うかは基本的人権に関わる問題だ。有害が実証されてもいないメニューを、国に働きかけて中止させたのは学会の責任だ」と主張して裁判を起こした。被告はショクドウ学会の幹部である。
学会の幹部は「河童のへそを取れば、河童が可哀想だ。河童に害がある」と自然保護の観点から「河童のへそ」料理の禁止を訴えた。
店主は、「いや、河童には本来へそがない。ところが、たまに河童にへそができる。不細工だし、みなに笑われるから取ってくれというて来る。だから、へそだけ取って川に戻してやっている。河童には喜ばれている。」と主張した。
河童は四国山中のある川の、ある場所にしかいない。その場所を知るのは初老の店長のみである。このまま行けば、「河童のへそ」は誰も食べられなくなるかも知れないと思われた。
ところが、この裁判が世界中に知れわたると、コーカサス山脈からカスピ海に注ぐある川でも、カルパチア山脈中のある川でも、アンデス山脈にあるアマゾン川の支流でも、河童が見つかり、「河童のへそ」料理がブームになった。今のところ食中毒は1例も出ていない。
やがて「河童のへそ」料理は高価だが、腎臓不全の特効薬であることが明らかとなった。腎移植に匹敵するという。そのことを他国はすぐに認めたが、日本では学会が反対して薬効を認めようとしていない。「河童のへそ」料理を食べるために、日本の腎不全患者が海外ツアーを計画するという動きも出てきた。
さて、この裁判はどうなるのだろうか。
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