【地震検知】
8/2(土)の 20:10頃、食卓で新聞を切り抜いていると、「グォー」という低い音が裏山の方から、微かにした。除湿器が廻っているが、機械音とははっきり異なる。
「あ、地震だ」というと、「え?」と家内が怪訝な声をあげた。10秒もしないうちに地鳴りは徐々に大きくなり、家がちょっぴり揺れた。…これは「震度1」か。
「本当だー」と家内。
昼間、研究室にいるときはまったく静かだから、低い地鳴りが地震による地面の震動に先行する現象は何度か経験した。地震による地面の震動が音波になり、秒速340mで伝わっているだけだ。つまり感知できた最初の音は、340メートル北の山が震動したときの音であろう。音は北から伝わったから、日本海上のどこかで発生した地震であろう。
と思って念のため「気象庁地震情報」を見に行ったら、こうあった。
<平成26年08月02日20時10分 気象庁発表:02日20時06分頃地震がありました。
震源地は安芸灘(北緯34.3度、東経132.8度)で、
震源の深さは約40km、地震の規模(マグニチュード)は3.6と推定されます。
各地の震度は次の通りです。 なお、*印は気象庁以外の震度観測点についての情報です。
広島県 震度2 呉市二河町* 東広島市西条栄町*
震度1 広島三次市三次町* 広島三次市三和町*(中略)
東広島市福富町* 東広島市豊栄町* >
ここは福富町だから「震度1」は当たったが、方角は北と南を間違えていた。思うにわが家の食堂は北よりにあり、北側からの音をピックアップしやすいために、錯覚したのであろう。低音域の音は「迂回」しやすいので、音源方向の推定には気をつけなければいけない、と思った。
安芸灘はよく地震が起こる場所で、10年位前にも付近の民家の瓦が落ちるくらいの地震があった。
いずれにせよ、実際の揺れの前に「地鳴り音」が先行することは間違いない。地震計で揺れを観測するよりも、この地中音を感知して、それを「地震予知」に役立てられないかと思う。
深度40キロで崩落が生じ、それが地表を震動させ、その音が34キロ先に伝わるには100秒かかるはず。もちろんわが家で聞いた音は、南側の「虚空蔵山」という無線中継塔のある山の地鳴りだと思うが、高性能の「補聴器」で震源地の地鳴り音を捕捉すれば、何分か前に確実に地震を予知することが可能ではないか、と思う。厳密には「発生の初期探知」だから予知とはいわないか…。
昼間は広島市のホテルで「総合科学部創立40年記念祝賀会」があり、それに出かけてきた。
その記念パーティで珍しいものを見た。何年かお会いしていないある先生に挨拶したら、左手を舌骨の位置の左咽頭部に当てて、妙な機械音で話す。まるで「スターウォーズ」のR2D2のような話しぶりだが、耳を澄ますと話している内容はわかる。左の掌に納まっているのが「人工喉頭」である。「人工声帯」ともいう。許可をえて写真を撮影したので、以下に示す。
聞けば3年前に喉頭がんで手術し、喉頭を失ったのでこの機械を使って発声しているそうだ。のど仏がないので、喉頭がないことがわかる。首の右下に丸い影のように見える部分は、気管切開の穴で息はここからしている。口呼吸はやめたので、誤嚥がないそうだ。「では老人に多い、嚥下性肺炎にかかる心配がありませんね」と言ったらにっこりされた。
機械を見せてもらったら、小型のカラオケマイクのような形をしていて、一端に振動検出器があり、他端にスピーカーがあり、真ん中に音量調節のつまみがついていた。検出器をつよく押すと粗大バイブレーションが起きる。要するにこの振動センサー部を咽頭にあて、舌根部の振動を音として出力している。電池内蔵式で音量を上げるとバッテリー切れになり、騒音の多いパーティ会場などでの使用は想定されていないそうだ。
と思ったが、後で「人工喉頭」の説明を読むと、
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n233/n233_08-01.html
「振動板」で原音を出してそれを口に伝え、口から音を出すらしい。マイクの咽にあてる部分にあったのは振動板で、押し付けると振動を開始するので、他端がスピーカーだと思ったのは間違いだった。元が機械音だから、R2D2に似た声になるのか。
こっちがしゃべっている時は、左手を下ろし、自分がしゃべるときは機械を喉にあてる。だから意思を疎通するためには語句や文単位の発話でなく、「ひとつなぎの段落」ごとの話になり、言葉にムダがない。
念のために「タバコを吸われていましたかね…」と聞くと、「前は1日20本、今は1日5本」だそうだ。恐らく吸うときはまずタバコを口にくわえ、左手で喉の穴を塞ぎ、息を口から吸い込みながらライターで火をつけ、右手にタバコをもって口呼吸しながら吸うのであろう。むのたけじは医師に「貴方にはタバコは止められないでしょう」といわれて、断固禁煙したという。ペンクラブの某先生は心房細動が起き、救急車で日赤に入院して、初めて禁煙したという。人さまざまだ。
10年ほど前に、私のアメリカの恩師も喉頭がんにかかり、手術して「人工声帯」を使用するようになったと連絡があった。この恩師もヘビー・スモーカーだった。
昔は喉頭がんで声帯を失うと、「食道発声」といって、空気をいったん飲み込み、「ゲップの原理」で空気を食道から口に出し、その時の振動を利用して声に変えていたが、これは練習が大変で、途中でギブアップする人も多かった。しかし「人工喉頭」による発声は見たところ、それほど難しくはないようだ。ただ抑揚や感情のこもった声を出せないので、喧嘩口論には向いていない。
技術の進歩は速いので、もっと人声にちかい声が出せる装着型の人工喉頭がそのうち開発されるだろう、と思った。
今は振動板が1枚だから、純音しか出せないが、振動板を複数にして振動数に可変性をもたせれば、男の声と女の声くらいはすぐに出せるようになるだろう。
地震と声、共通するものは「振動」だ。そういえば「振動学」という学問分野もあった。
8/2(土)の 20:10頃、食卓で新聞を切り抜いていると、「グォー」という低い音が裏山の方から、微かにした。除湿器が廻っているが、機械音とははっきり異なる。
「あ、地震だ」というと、「え?」と家内が怪訝な声をあげた。10秒もしないうちに地鳴りは徐々に大きくなり、家がちょっぴり揺れた。…これは「震度1」か。
「本当だー」と家内。
昼間、研究室にいるときはまったく静かだから、低い地鳴りが地震による地面の震動に先行する現象は何度か経験した。地震による地面の震動が音波になり、秒速340mで伝わっているだけだ。つまり感知できた最初の音は、340メートル北の山が震動したときの音であろう。音は北から伝わったから、日本海上のどこかで発生した地震であろう。
と思って念のため「気象庁地震情報」を見に行ったら、こうあった。
<平成26年08月02日20時10分 気象庁発表:02日20時06分頃地震がありました。
震源地は安芸灘(北緯34.3度、東経132.8度)で、
震源の深さは約40km、地震の規模(マグニチュード)は3.6と推定されます。
各地の震度は次の通りです。 なお、*印は気象庁以外の震度観測点についての情報です。
広島県 震度2 呉市二河町* 東広島市西条栄町*
震度1 広島三次市三次町* 広島三次市三和町*(中略)
東広島市福富町* 東広島市豊栄町* >
ここは福富町だから「震度1」は当たったが、方角は北と南を間違えていた。思うにわが家の食堂は北よりにあり、北側からの音をピックアップしやすいために、錯覚したのであろう。低音域の音は「迂回」しやすいので、音源方向の推定には気をつけなければいけない、と思った。
安芸灘はよく地震が起こる場所で、10年位前にも付近の民家の瓦が落ちるくらいの地震があった。
いずれにせよ、実際の揺れの前に「地鳴り音」が先行することは間違いない。地震計で揺れを観測するよりも、この地中音を感知して、それを「地震予知」に役立てられないかと思う。
深度40キロで崩落が生じ、それが地表を震動させ、その音が34キロ先に伝わるには100秒かかるはず。もちろんわが家で聞いた音は、南側の「虚空蔵山」という無線中継塔のある山の地鳴りだと思うが、高性能の「補聴器」で震源地の地鳴り音を捕捉すれば、何分か前に確実に地震を予知することが可能ではないか、と思う。厳密には「発生の初期探知」だから予知とはいわないか…。
昼間は広島市のホテルで「総合科学部創立40年記念祝賀会」があり、それに出かけてきた。
その記念パーティで珍しいものを見た。何年かお会いしていないある先生に挨拶したら、左手を舌骨の位置の左咽頭部に当てて、妙な機械音で話す。まるで「スターウォーズ」のR2D2のような話しぶりだが、耳を澄ますと話している内容はわかる。左の掌に納まっているのが「人工喉頭」である。「人工声帯」ともいう。許可をえて写真を撮影したので、以下に示す。
聞けば3年前に喉頭がんで手術し、喉頭を失ったのでこの機械を使って発声しているそうだ。のど仏がないので、喉頭がないことがわかる。首の右下に丸い影のように見える部分は、気管切開の穴で息はここからしている。口呼吸はやめたので、誤嚥がないそうだ。「では老人に多い、嚥下性肺炎にかかる心配がありませんね」と言ったらにっこりされた。
機械を見せてもらったら、小型のカラオケマイクのような形をしていて、一端に振動検出器があり、他端にスピーカーがあり、真ん中に音量調節のつまみがついていた。検出器をつよく押すと粗大バイブレーションが起きる。要するにこの振動センサー部を咽頭にあて、舌根部の振動を音として出力している。電池内蔵式で音量を上げるとバッテリー切れになり、騒音の多いパーティ会場などでの使用は想定されていないそうだ。
と思ったが、後で「人工喉頭」の説明を読むと、
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n233/n233_08-01.html
「振動板」で原音を出してそれを口に伝え、口から音を出すらしい。マイクの咽にあてる部分にあったのは振動板で、押し付けると振動を開始するので、他端がスピーカーだと思ったのは間違いだった。元が機械音だから、R2D2に似た声になるのか。
こっちがしゃべっている時は、左手を下ろし、自分がしゃべるときは機械を喉にあてる。だから意思を疎通するためには語句や文単位の発話でなく、「ひとつなぎの段落」ごとの話になり、言葉にムダがない。
念のために「タバコを吸われていましたかね…」と聞くと、「前は1日20本、今は1日5本」だそうだ。恐らく吸うときはまずタバコを口にくわえ、左手で喉の穴を塞ぎ、息を口から吸い込みながらライターで火をつけ、右手にタバコをもって口呼吸しながら吸うのであろう。むのたけじは医師に「貴方にはタバコは止められないでしょう」といわれて、断固禁煙したという。ペンクラブの某先生は心房細動が起き、救急車で日赤に入院して、初めて禁煙したという。人さまざまだ。
10年ほど前に、私のアメリカの恩師も喉頭がんにかかり、手術して「人工声帯」を使用するようになったと連絡があった。この恩師もヘビー・スモーカーだった。
昔は喉頭がんで声帯を失うと、「食道発声」といって、空気をいったん飲み込み、「ゲップの原理」で空気を食道から口に出し、その時の振動を利用して声に変えていたが、これは練習が大変で、途中でギブアップする人も多かった。しかし「人工喉頭」による発声は見たところ、それほど難しくはないようだ。ただ抑揚や感情のこもった声を出せないので、喧嘩口論には向いていない。
技術の進歩は速いので、もっと人声にちかい声が出せる装着型の人工喉頭がそのうち開発されるだろう、と思った。
今は振動板が1枚だから、純音しか出せないが、振動板を複数にして振動数に可変性をもたせれば、男の声と女の声くらいはすぐに出せるようになるだろう。
地震と声、共通するものは「振動」だ。そういえば「振動学」という学問分野もあった。
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