ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【酋長の娘】難波先生より

2017-01-17 11:02:44 | 難波紘二先生
【酋長の娘】
晩年の山田風太郎が何かの随筆集で「本が行方不明になって困る」と書いていた。似たような現象が私にも起こり始めた。読みさしの 荒井利子「日本を愛した植民地:南洋パラオの真実」(新潮新書, 2015/9)
が、巨大な机の周囲から蒸発してしまった。この本は「どうせ日本帝国の南洋侵略を扱っているのだろう」と思って、期待せずに読み始めたらはまってしまった。

 なんと昭和5(1930)年頃流行した「酋長の娘(1番は=わたしのラバさん 酋長の娘 色は黒いが 南洋じゃ美人。WIKI「酋長の娘」からYOUTUBEへのアクセスが可能。)という歌がある。「ラバさん」は「Loverさん」の日本式短縮形。

 肝心の本が蒸発したままなので、うろ覚えの記憶で書く。あれは明治時代に日本から渡航してパラオに定住して、現地人の娘と結婚した男の実話だった。第1次大戦(1914)でドイツとの戦いが始まり、日本人はみな本土に引きあげたのに、妻子と共に無人島に渡り、ドイツ敗戦(1918)までそこに居住したという。

(その後本は机脇のワゴン式書架の大型本の間から見つかった。老眼鏡をかけ始めの頃、頭に乗せたのを忘れて、<眼鏡がない、ない>と探した状況と似ている。「ここにある」という確実な知識があれば、ものは簡単に見つかるが、そこがあやふやだと、ついこういう状況が起きる。
 そのうち本にICタグを貼り付けて、スマホにより簡単に目的の本が自宅でも探せる時代が来るかも知れないな…、と思う。)

 この冒険心に富んだ日本人の名前は土佐出身の森小弁という。
 その後パラオは日本の信託統治領、米軍支配期を経て独立し、何と最初の森小弁夫婦の子孫は3000人にも増え、そこから大統領も出ているという。第7代の大統領アマニュエル・モリ(在職2007/5〜2015/5)は森小弁の直系子孫である。(初代大統領は同じく日系の中山利雄(としお)=在職1979/5〜1987/5である。)

 「酋長」は今では差別語になっているかもしれないが、昔よく見た西部劇ではChiefが「酋長」と字幕に出た。私の英語感覚では組織ないし部族のトップを「チーフ」というので、参謀総長はChief of the Staffである。
同書によるとパラオ諸島はスペインードイツー日本—アメリカと続く植民地時代を経験しており、なかでも「同化政策」を取り小学校教育を全土に普及させた日本に対する評価が高いという。
 この本は決して日本による南洋パラオの植民地化を正当化するものではなかった。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-01-29 06:13:04
【酋長の娘】難波先生より
2016-12-19 21:17:17 | 難波紘二先生
とほぼ同じ内容。

同記事で、国務長官についての誤りの指摘があり、さらに、森小弁の名前の教示があった。
1ヶ月前に
「残念ながらこの冒険心に富んだ日本人の名前がネットではわからない。」
と書いた人が、どうして
「この冒険心に富んだ日本人の名前は土佐出身の森小弁という。」
と書けるのだろうか?
集合知というものは、知識の提供者に対して十分にその貢献を認めてこそ成り立つものではなかろうか?
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