【訂正:クモの種同定】
①前便7/22メルマガ【ハナグモ】の項で、
http://blog.goo.ne.jp/motosuke_t/e/3e426b803077a658a648508b38305fb9
書斎に出てきたクモを「ハナグモ」と同定しましたが、写真を見られた小野展嗣先生(「クモ学」,東海大出版会)からご指摘があり、「サツマノミダマシ」が正しいとわかりました。
新海栄一『日本のクモ』(文一総合出版),P.203の写真とも照合しましたが、私の誤認だったことに気づきましたので、訂正いたします。ご教示にお礼申し上げます。
小野先生は「オノゴミグモ」というコガネグモ科ゴミグモ属のクモの種名は「和名は日本を代表するクモ学者である国立科学博物館小野展嗣に因む」(新海栄一「日本のクモ」,文一総合出版)そうで、「Cyclosa onoi Tanikawa 1992」と学名フル標記がなっていますから、1992年に谷川さんという人が命名したものです。普通のゴミグモ(Cy. Octotuberuculata)は仕事場の窓の外にも沢山いますが、オノゴミグモは未見です。「Octotuberuculata」は「8つの角を持つ」という意味ですが、確かに胴に8つの突起があります。添付写真はゴミグモ(右)の子が3匹孵化し、尻から糸を出して、これから風に乗るところです。

「サツマノミ」とは「ハゼの実」のことで、ウルシの実のことだそうです。ウルシはブドウの房状に初め緑色をした実がなるので、とてもクモと混同するとは思えません。これも和名がぴったりしない点です。
ハナグモの学名はカニグモ科ハナグモ属のEbrechtella tricuspidata、
サツマノミノダマシはコガネグモ科ヒメオニグモ属のNeoscona scylloides、
ですからそもそも科が異なります。(もっともクモ学において、DNA解析による近縁性がどの程度明らかにされているかは知りません。)
クモにはエビグモ(Philodromidae)とかカニグモ(Thomisidae)という科名がありますが、エビにもカニにも似ていない。上記新海の著書によると、「日本最初のクモ学者」岸田久吉という人が和名を決めたのだそうだ。「Pisauridae」という科名に「キシダグモ」という名前がある。ところがヒゲナガハシリグモ(Hygroplda higenaga Kishida 1936)、ホウシグモ(Mallinella hoosi)という正式学名を見ると、どうもリンネの二項命名法の原理が理解されていないように思われる。
牧野富太郎は新種の標本をロシアに送って、専門の植物学者にラテン語名を付けてもらったが、岸田は違ったようです。
②7/18メルマガで、アシダカグモ(実はハシリグモ)の糞の写真を掲示し、「鳥の糞との類似性と違い」を述べましたが、7/24に広島駅前広場で鳩の糞を観察したら、
白い尿の部分にちょっぴり黒い糞が載っているという構造はハシリグモと同じであったので、これも訂正いたします。なぜハトの糞とクモの糞が同じ構造なのか、これは比較解剖学と比較生化学の知識を動員しないと答えられないので、宿題にしたいと思います。
①前便7/22メルマガ【ハナグモ】の項で、
http://blog.goo.ne.jp/motosuke_t/e/3e426b803077a658a648508b38305fb9
書斎に出てきたクモを「ハナグモ」と同定しましたが、写真を見られた小野展嗣先生(「クモ学」,東海大出版会)からご指摘があり、「サツマノミダマシ」が正しいとわかりました。
新海栄一『日本のクモ』(文一総合出版),P.203の写真とも照合しましたが、私の誤認だったことに気づきましたので、訂正いたします。ご教示にお礼申し上げます。
小野先生は「オノゴミグモ」というコガネグモ科ゴミグモ属のクモの種名は「和名は日本を代表するクモ学者である国立科学博物館小野展嗣に因む」(新海栄一「日本のクモ」,文一総合出版)そうで、「Cyclosa onoi Tanikawa 1992」と学名フル標記がなっていますから、1992年に谷川さんという人が命名したものです。普通のゴミグモ(Cy. Octotuberuculata)は仕事場の窓の外にも沢山いますが、オノゴミグモは未見です。「Octotuberuculata」は「8つの角を持つ」という意味ですが、確かに胴に8つの突起があります。添付写真はゴミグモ(右)の子が3匹孵化し、尻から糸を出して、これから風に乗るところです。

「サツマノミ」とは「ハゼの実」のことで、ウルシの実のことだそうです。ウルシはブドウの房状に初め緑色をした実がなるので、とてもクモと混同するとは思えません。これも和名がぴったりしない点です。
ハナグモの学名はカニグモ科ハナグモ属のEbrechtella tricuspidata、
サツマノミノダマシはコガネグモ科ヒメオニグモ属のNeoscona scylloides、
ですからそもそも科が異なります。(もっともクモ学において、DNA解析による近縁性がどの程度明らかにされているかは知りません。)
クモにはエビグモ(Philodromidae)とかカニグモ(Thomisidae)という科名がありますが、エビにもカニにも似ていない。上記新海の著書によると、「日本最初のクモ学者」岸田久吉という人が和名を決めたのだそうだ。「Pisauridae」という科名に「キシダグモ」という名前がある。ところがヒゲナガハシリグモ(Hygroplda higenaga Kishida 1936)、ホウシグモ(Mallinella hoosi)という正式学名を見ると、どうもリンネの二項命名法の原理が理解されていないように思われる。
牧野富太郎は新種の標本をロシアに送って、専門の植物学者にラテン語名を付けてもらったが、岸田は違ったようです。
②7/18メルマガで、アシダカグモ(実はハシリグモ)の糞の写真を掲示し、「鳥の糞との類似性と違い」を述べましたが、7/24に広島駅前広場で鳩の糞を観察したら、

白い尿の部分にちょっぴり黒い糞が載っているという構造はハシリグモと同じであったので、これも訂正いたします。なぜハトの糞とクモの糞が同じ構造なのか、これは比較解剖学と比較生化学の知識を動員しないと答えられないので、宿題にしたいと思います。
詳しいページを見つけました。ハゼの実によく似ているようです。
http://www.hegurinosato.sakura.ne.jp/2bangura/vi_kumo/satsumanomidamashi.htm
>学名
種小名で日本人の名前にラテン語の女性語尾のiをつけたものはよく見かけますね。
誤記で変な学名がついている生物がいくつかあって面白いです。
e.g.
コウベモグラ Mogera wogura (Mogura mogura?)
イチョウ Ginkgo biloba (ginkjo?)
カンムリウミスズメ Synthliboramphus wumizusume (wumisuzume?)
>白い糞
釈迦に説法ではないかと危惧しつつ・・・
トリの糞の白い部分は尿酸で、ヒトの尿に相当します。哺乳類が尿素として排泄する窒素代謝の最終産物を、鳥類や爬虫類は尿酸の形で排泄するんですね。黒い部分は糞です。
クモは昆虫類と同じくマルピーギ管(腎臓の相同器官)で尿酸を排泄するはずなので、糞に白い部分が混じるのは頷けます。
ちなみに、鳥の糞に擬態するクモもいるようです。(トリノフンダマシ類)これは余談。
元記事を発見して読み返しました。釈迦に説法でした・・・。