口は災いの"素"

音楽テクニカルライター布施雄一郎のポジティブなネガティブ語録/独り言編

CODA

2017-12-11 23:00:00 | YMO &more
意気込んで前売り券を買ったのに、なかなか時間が作れず、封切から一ヶ月以上も経ってしまって、上映が終わってしまうんじゃないかとヒヤヒヤしていたところで、幸運なことに、映画上映とトーク・イベントがセットになった回を観ることができました。

ということで、角川シネマ有楽町で、坂本教授のドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto : CODA』を鑑賞。




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まず19時からは、教授と樋口泰人氏によるトーク・イベント。テーマは『音を聴く人』。

僕自身、特に印象に残ったのは、教授が「録音する」という部分で、最初に音に興味を抱いたのが、加藤和彦さん、つまりフォーク・クルセーダーズの『帰って来たヨッパライ』だった、という話。時代背景や、お二人の関係性を考えれば、当然と言えば当然ではあるんですが、そうした話を、今まで聞いたことがななかったこともあり教授の口から直接、そうした話を聞けたのは、とても貴重でした。

それともうひとつは、制作において「予期せぬことが起こると、胸が高まる」、つまり、よりクリエイティブな作品が作れるという話には、とても納得しました。

予定の時間を超え、45分ほどのトークが終了すると、いよいよ『CODA』の上映。

冒頭から、福島での原発事故に関する映像や、教授が患ったガンの話題が「普通に」出てくるので、観る側としてはやや緊張感を持ちつつも、全編に渡って流れるのは、教授が生み出す穏やかな波動。『音』という意味でも、『人生』という意味でも。

そうした中で、ここ5年ほどの教授の制作現場がリアルに映像で収められているというのは、ちょっと驚きでした。実際に、作品に収められている『音』をどのように発し、どのように収録したかが、すごくよく分かります。資料としても、すごく貴重なフィルム。

それらの映像と会話、そして音を通して、やはりこれほどまでに、『音』に対してピュアで、真摯に向き合う人は他にいないだろうと、改めて再認識しました。もちろん、何年も前から分かっていたことですけれども。

そして僕自身の中では、教授の笑顔が深く印象に残る作品でした。




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東京では、角川シネマ有楽町と恵比寿ガーデンシネマで上映中。12/23からは、角川シネマ新宿でも上映スタート。全国各地でも、これから上映が始まるところが多いようです。

いずれはこの作品がBlu-ray化されることを期待しつつ、できれば劇場の大きなスクリーンと、いい音響での鑑賞をオススメします。

◇公式サイト
http://ryuichisakamoto-coda.com/

◇予告動画