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本書の冒頭で「あきらめる覚悟がさだまってきた」と著者は言う。
「諦める」というのは何もかもを投げ出すことではなく「明らかに究めること」。
つまり「はっきり現実を見すえる。期待感や不安などに目をくもらせることなく、
事実を真正面から受け止めること」だと著者は言う。
「覚悟」という言葉はここ数年わたしにとってはキーワード。
仕事に対する姿勢、人生に対する姿勢、家族に対する責任などについて
ときどき夫に指摘される。
覚悟が足りないんだよ・・・
非難されているわけではなく、淡々とコメントされているだけだけど、
その言葉は心の隅っこに留まっていて、ふとしたときによみがえっては自問自答の種になる。
あたしって今覚悟が足りない???
でも、ちょっと困っちゃうのが、何のために「覚悟」が必要なのかイマイチわからないこと。
「覚悟」という言葉はちょっと悲壮感が漂うし、「覚悟」したらいったいどんな結果が訪れるの?
そうしたら、答えが本書の中にあった。まとめるとこんな感じ。
今を生きること、苦しみ多きこの世の中をどのように生き抜けばよいか
ということを教えた人に親鸞がいる。その親鸞の大事な思想に
「往相還相(おうそうげんそう)」というのがあるらしい。
これまでの人生をいっぺん捨て、新しい歓びに満ちた人生を再スタートする。
いったんリセットして生まれかわったように生き生きとした人生を獲得すること、
これが「往相還相(おうそうげんそう)」の本当の意味だろうと著者は言う。
生きたままでの再生、そのためにこそ私たちには様々な覚悟が必要なのだそうだ。
そして繰り返しになるけれど「覚悟」というのは「はっきり現実を見すえること。
期待感や不安などに目をくもらせることなく、事実を真正面から受け止めること」
なんですね。