スポーツエトセトラ

スポーツ(主に野球・ラグビー)に関するさまざまな資料やデータをご紹介していくブログです。ぜひお楽しみください。

真の「野球エリート」は田中広輔!

2020-09-07 09:02:52 | 2020年度 プロ野球出身チームランキング
これまで、現役プロ野球選手の出身社会人、出身大学、出身高校のランキングをご紹介してきました。

出身社会人チームランキング
出身大学ランキング
出身高校ランキング

表を眺めているうちに、多くのプロ野球選手を輩出している社会人、大学、高校を経由して
プロの世界に飛び込んだ選手に興味がわいてきました。

レベルの高いチームでキャリアを積んでいるのはもちろん、
プロに入るということは、そこでレギュラークラスだったということでもあります。
いわば、真の野球エリートといえるのではないでしょうか。

余談ですが昔、坪井智哉という選手がいました。現在はDeNAのコーチです。
その応援歌が「PL~青学~東芝~坪井~♪」というものでした。
名門街道を渡り歩いた、その輝かしい経歴を歌詞にしたものです。

実際、坪井は阪神入団1年目にいきなり首位打者争いに加わり、最終的に打率.327(リーグ3位)をマーク。
2年目にも打率.304、161安打を放つなど、即戦力の期待に応えていきなり結果を残しています。

そこで、坪井のような野球エリートを探るべく、
2020年度の高校、大学、社会人出身チームランキングの上位10傑のチームで、
2分野以上(高校・大学、大学・社会人、高校・社会人)に所属した選手を
球団ごとに集計したのが以下のデータです。




色がついていないのは、ランキング外の出身チームとなります。

名門高校を出ていれば、名門大学に進める確率も高くなります。社会人も同様です。
ただ、ランキング外でもそれなりに知られたチームを出ていることが分かります。

どの選手も比較的早期に一軍に定着し、チームの主力となった選手も多く、
それなりに活躍しているように思います。

田中広輔・俊太、上本博紀・崇司と、兄弟で名前が入っている選手もいます。
兄弟そろってエリートというのは大したものですね。

進路では東海大相模-東海大、広陵-明大が5名ずつ。
東海大は系列ですから進学するのは当然として、
広陵-明大が進学ルートとしては最強と言っていいでしょうね。
佐野恵太、福田周平はプロ入り後もすぐに結果を残しています。

では、高校、大学、社会人のプロ野球出身チーム上位10傑に名を連ねた、
3つの分野すべてを経由した選手をここにご紹介します。

「ドラフト上位など、プロから高い評価を受ける選手の多くは高卒か大卒、高卒社会人でプロ入りするもの。
大学を出てもプロに進まない(進めない)選手は、エリートではないだろう」
という声もあるでしょう。確かにその通りですが、やはり名門チームを渡り歩いてきた事実は
高く評価すべきでは、というのが私の考えです。



チームの後の丸数字は、それぞれのランキング順位です。
田中、福田、木浪、下水流の4名が該当しました。
下水流はともかく、そのほかの3名はプロでもすぐにレギュラーの座を獲得していますね。
即戦力の期待に見事応えています。

それぞれのランキングの順位を合計した数が一番右側の数字です。
数字が小さいほど、より多くのプロ野球選手を輩出したチームに在籍していたということになります。

もっとも少ない数字だったのは、広島の田中広輔でした。
東海大相模高(4位)→東海大(4位)→JR東日本(1位)。
高校では2年春に1番・セカンドとしてセンバツにも出場。
大学では強豪チームにあって2年からレギュラーに定着し、全国大会にもたびたび出場。
社会人では都市対抗や日本選手権でも活躍し、国際大会の日本代表にも選ばれています。

即戦力として期待された広島でも1年目から一軍に定着。
2年目以降は球界屈指の遊撃手として、広島の3連覇にも貢献しています。
2019年こそ不調でしたが、ここまで大きな挫折のない野球人生だったといえるでしょう。

ということで、真の野球エリートは田中広輔選手(広島)ということで、
『2020年度プロ野球出身チームランキング』シリーズも今回でひとまず終えたいと思います。

プロ野球出身高校ランキング 他県への人材流出・流入度を調査【2020年度】

2020-08-28 08:29:02 | 2020年度 プロ野球出身チームランキング
2020年度のプロ野球現役選手の出身チームを調査するシリーズの第5弾は、
他県の高校への“人材流出(流入)”人数を調査してみました。

以前、アップしたプロ野球・出身都道府県別人数一覧【東日本編】【西日本編】で表した人数と、
前回紹介したプロ野球出身高校ランキング【都道府県別編】の人数を並べて、その数の差を元に表にしています。

出身地の人数よりも出身高校を合わせた人数が多い都道府県は、
「将来的にプロを狙えるそうな有望な」中学生が他県に流出した人数よりも、流入してきた中学生の方が多いことになります。

以下がその表となります。



3名以上の増減があったところには、赤(プラス)と青(マイナス)で色を付けています。
増減の多い都道府県ベスト10も以下にまとめてみました。



これを見ると、大阪が28人マイナスとなっており、他県への人材流出の度合いが大きいことが分かります。

もちろん、大阪桐蔭のように全国から優秀な中学生を集めているところもありますが、それを差し引くと
より多くの大阪に住む野球の上手い中学生が、出場機会やより良い育成環境を求めて府外に活路を見い出していることが伺えますね。
いわゆる“野球留学”というやつです。

なお、私自身は野球留学に理解があり、どちらかと言えば好意的であることを付け加えておきます。

千葉や兵庫、佐賀も他県への流出度が多いですね。
地元よりも、他県の高校の方に魅力を感じる中学生が多いという言い方もできるでしょう。
ただ、上にあげた3地区とも東京や大阪、神奈川、福岡など近隣の県に有力な私学が多い、という事情もあります。
特に隣県だと通学圏内であるケースも多いでしょう。

増加数が多い県は、チームの強化に積極的な私学が多いということになります。
横浜や東海大相模を抱える神奈川はもとより、八戸学院光星を擁する青森県が大幅にプラスとなっています。
山梨は東海大甲府、高知は明徳義塾辺りが熱心に選手を集めていそうですね。

まあ、データを調査していくことでこうした見方もできる、ということで
気楽に数字を眺めていただければ幸いです。

プロ野球出身高校ランキング 都道府県別編【2020年度】

2020-08-25 08:28:00 | 2020年度 プロ野球出身チームランキング
前回の高校ランキングの続編として、今回はプロ野球選手の出身高校の人数を都道府県別にまとめてみました。

以前、出身都道府県別ランキング(参照:【東日本編】【西日本編】)を作成しました。
どの地域の野球熱が盛んなのか(もちろん、人口の数によっても左右されますが)が表れるのでは、という期待からでした。
一方で、出身地ではない地域の高校に入り(いわゆる野球留学も含めて)、プロに進んだ選手が少なくないという現状があります。

そこで、出身高校の人数を都道府県ごとにまとめてみた。
プロに多くの選手を送り込んでいる高校があるということは、その地区の高校野球のレベルが高い。
そういう説も成り立つのではないでしょうか。

以下がその表となります。



各都道府県ごとの人数と学校数、もっとも多くプロ選手を輩出している高校を表しています。

実に438の高校が、現役のプロ野球選手を生み出していることが分かりました。
高野連の加盟校数がおおよそ3900校ですので、割合としては約11%というところですね。
人数の差はあれど、すべての都道府県でプロ選手を輩出した高校が確認されました。

さて、トップは横浜を擁する神奈川、2位は学校数そのものが多い東京、3位は大阪桐蔭のある大阪…という順番となりました。
その後も福岡、兵庫、千葉、広島、愛知と高校野球のレベルが高いイメージのある県が続きます。

学校数では参加校の多い東京がトップとなるのは当然として、2番目に来るのは2019年の参加校数が全都道府県で8番目の福岡。
180校以上が参加する神奈川や愛知よりも多いことがわかりました。

人数の割に学校数の多い兵庫や千葉、静岡、愛知、宮崎などは高校野球のレベルが高いだけでなく、
甲子園を狙える学校が多く、有力校が分散している、ということが言えます。
地方大会では1、2回戦などの序盤から、レベルの高いゲームが展開されていそうですね。

最後にあまり意味はありませんが、参考までに地区別の人数を表にまとめたものを掲載します。



なぜか近畿より九州の方が多いですね。

プロ野球出身高校ランキング【2020年度】

2020-08-22 08:46:01 | 2020年度 プロ野球出身チームランキング
プロ野球に在籍する選手の出身チームをランキングで紹介するシリーズ。
社会人、大学に続いて、今回はいよいよ「高校編」をお送りします。

以前、日本のアマチュア野球を経験してプロに飛び込んだ選手は844名と書きました。
日本の高校を経てプロ入りした選手は848名となりますが、これは「転校」した選手は1名で2校分をカウントしているためです。

さて、まずは6名以上、現役のプロ野球選手を送り出している上位22校をご紹介します。



いずれも甲子園で優勝を含めて何度も上位に食い込んでいる、超のつく名門校ばかりですね。
当然、すべて私立学校となります。

トップに来るのは21名の大阪桐蔭。甲子園での優勝回数8回を誇る現在の高校球界最強のチームですが、
プロ養成機関としても文句なくナンバーワン。多くのOBが、チームの主力選手として活躍しています。
育成力もさることながら、素質あふれる中学生を全国から集めていることも大きいのだと思われます。

2位には東の雄・横浜高。3位には伝統校・広陵が続きます。
4位が日大三と東海大相模で、ここまでが二ケタ人数となります。
全体的に関東や近畿のチームが目立ちますが、仙台育英や青森山田など、意外と東北勢も頑張っていますね。

参考までに、大阪桐蔭、横浜、東海大相模出身の歴代プロ野球選手については以下をご参照いただければと思います。

大阪桐蔭出身プロ野球選手一覧【前編】【後編】
横浜高出身プロ野球選手一覧【Part1】【Part2】【Part3】
東海大相模出身プロ野球選手一覧【前編】【後編】

4人以上、現役選手を輩出している残りの25校も以下に記しておきます。



この中で公立校が2校入っています。山形中央と大分商です。
山形中央は体育科を有しており、ここ10年間で甲子園に4度出場するなど地元きっての強豪でもあります。
大分商は戦前からの古豪で、甲子園出場20回を誇る名門校。
源田壮亮(西)、笠谷俊介(ソ)、森下暢仁(広)などチームの主力となっている選手も多いですね。

また表中の47校で唯一、甲子園出場を経験していないのがつくば秀英です。
夏の茨城大会でもベスト8が最高であるにもかかわらず、これだけプロ選手を送り出しているのは見事というほかありません。
参考までに、こちらの記事もご参照ください。

甲子園未出場ながらプロ野球選手を多く輩出した高校ランキング

今回は学校に焦点を当てたランキングをご紹介しましたが、プロ選手を輩出した高校別の人数を都道府県ごとにまとめることで、
高校野球のレベルの高い地域を探るという企画も考えています。しばらくお待ちください。

2020年度プロ野球出身大学ランキング

2020-08-16 08:49:26 | 2020年度 プロ野球出身チームランキング
2020年度のプロ野球における、出身チーム(高校・大学・社会人)ランキングを発表する企画の第2弾。
今回は出身大学ランキングです。

自分が手集計で調べたものですので、もしかすると間違いがあるかもしれません。ご了承ください。

今年度、大学球界を経由(中退者、社会人、独立リーグ含む)してNPBでプレーしている選手は、387名。
日本のアマチュア野球(高校、大学、社会人)出身選手は総勢844名ですので、
約半数となる46%が大学野球でプレーしていたことになります。

世の中全体の進学率が上がったこと、社会人野球の企業チームがかつてほど多くないこと、
地方の私学や新興の大学が知名度アップのためにスポーツに力を入れていることなど、色々な要素が考えられます。

それにしても、大学を経由したプロ野球選手がこれだけ多い、というのはちょっと驚きです。

それでは、現役のプロ野球選手を6名以上輩出している大学ランキングからご紹介します。



駒澤と近畿の(※)は中退した選手も含まれている、という意味です。

トップは日本の私学を代表する大学の一つである明治で、実に22名の現役選手がNPBで活躍しています。
続いては、東都リーグの雄・亜細亜です。こちらは17名の現役プレーヤーを送り出しています。

3位に続くは超のつく名門私学・早稲田です。
プロ野球創世期以来幾多の名選手を出してきた大学ですが、現在も存在感を示しています。

4位には東都リーグの東洋、5位には首都リーグの盟主・東海が名前を出します。
早稲田と並ぶ私学の象徴・慶應義塾が中央と並んで6位に。
8位には関西勢のトップとして、関西六大学の大商大が入りました。

上位は東京六大学、東都、首都、関西勢と伝統のあるリーグの大学が並びますが、
12位以降では東北福祉、上武、創価、富士、東農大オホーツク、白鴎といった
地方のニューウェーブ勢が食い込んでいます。
このような新興の大学野球部の存在も、NPBの底上げに貢献していることは間違いないでしょう。

続いて全日本大学野球連盟に加盟する、連盟別のプロ輩出数ランキング。
加盟している全26連盟すべてのリーグから、現役プロ野球選手が誕生しています。



歴史がある東都、東京六大学、関西学生、さらに高いレベルを誇る首都などが順調に上位に並んでいます。
プロ輩出人数=リーグのレベルと断言してしまっていいでしょう。

有望な高校生(付属高校がある大学は中学の段階から?)を集めているだけでなく、
「この大学でプレーしたい」という、多くの高校生を引き寄せる魅力ある大学が集まっているのだと思います。

さらに、5位に上武や白鴎が加盟している関甲新、6位に東北福祉を擁する仙台六大学が食い込んでいるほか、
北東北、東京新、東海地区などの地方リーグも10名以上の現役選手を送り込んでいるのが目につきます。

このあたりも毎年のようにプロ選手が誕生していますね。
知名度がさほど高くない大学も多く、関係者のスカウティングの熱意を感じさせます。

最後に、球団別の大学出身者及び日本のアマチュア球界出身者における比率をまとめましたので、ご覧ください。
日本球界出身者に対する比率についても表してみました。



トップは楽天で、実に45人もの選手が大学を経由してプロ入りしています。
また5球団で大学出身者が半数を占めていることが分かりました。
特に楽天と阪神は全体の6割近くにのぼっており、大卒の選手が幅を利かせているようです。

阪神はよくわかりませんが、楽天は球団の歴史が浅いため、
ドラフトで積極的に即戦力の選手を集めているからかもしれませんね。

一方、少ないのがソフトバンクで全体の3割弱にとどまっています。
社会人出身者も12球団中11位とかなり少なく、充実した三軍制度を活用して
高卒選手の育成を重視しているのでしょうね。

こうして見ると、各球団の新人選手獲得における戦略や姿勢までも浮かび上がってくるようです。

高校生編も近日中にアップする予定です。