ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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シェーファー@後宮の逃走 聴いてきました!

2011-05-31 08:11:31 | ドイツのこと
行ってきました~。
今回はベルリン、観光なしで。
前回の日記でも書きましたが、目的はただ一つ、クリスティーネ・シェーファーのコンスタンツェ!!von 後宮からの誘拐~。
シェーファーって、ほら、グルベローヴァやデッセーとかにくらべて、日本にあんまり来ないじゃないですか。
だから後者の2人は日本でも二・三回聴いた事があるんですけど、シェーファーは聴いた事なくてですね。

でもでも。ドイツにいて良かったー!ついに聴ける!
シェーファー!!
シェーファ~あぁぁぁぁ!!

いやーテンションあがっちゃいますよ…
しかも今回は『後宮からの誘拐』! 彼女の、『ルル』に並ぶ代表作!そりゃ期待しようってなもんで。 彼女のDVDは死ぬほど観てます。

…ですが。
去年だかの彼女のコンスタンツェの音楽評に。 細かいニュアンスは忘れましたが、
「発声が迷走してる感じ。シェーファー、どこへ行く…」
みたいな事が書かれてたんですよ。

そりゃDVDから随分経ってるもんね。声だって変わるよね。で。ドキドキして聴いてみたんですけど。
聴いてみた時の感想は。

… ああ、さすが評論家って、上手い事言うなあ、て(笑)

まーDVDのが良かったてのが本音でしょうか…

実際、年齢考えるとグルベローヴァでも40代になったらほとんど歌ってない訳で。シェーファーって今45位だっけ?
DVDは20代後半とかじゃなかったですかねえ?

まあやっぱり三曲目のアリア、「あらゆる拷問が」が、聴くポイントになるのは仕方ないですよね。
それ聴いた感じだと。基本、激しい所は、すごく強く歌ってるんですけど。コロラトゥーラ、つまり転がす所になったとたん、コンスタンツェならではの強さというのが、DVDのに比べると、かなり弱かったような…悪い意味で、抜いて、消耗しないように歌ってる、というか…
やっぱりコンスタンツェは強さ、激しさが声に欲しいので、特に転がす所は、DVDのみたいに真っ向から歌ってくれないと、ブロンデと区別つかなくなっちゃう気がするんですよね~。
しかも一番最後に悪夢のように続く16分音符があるんですけど、そこを抜いた音色で歌ってたから、完全にオケにのまれちゃって、あららら…
て感じで。

それが無理なら、コンスタンツェはやらない方が良いんじゃないかな、て思っちゃうん…だからグルベローヴァ、未だにツェルビネッタは歌っても、コンスタンツェはやめたんじゃないかな。

あ、偉そうに書いてますけど、あくまで私の個人的な意見です
私もDVDで若きシェーファーのコンスタンツェ見まくってたからショックだったんでしょうねえ…

でもでも。その上で言いますけど。

それでも、それでも言わせて下さいね!それでもやっぱ、聴き応えはすごいありましたよ!矛盾してるようですがっっ!
とにかく、声の存在感がむちゃくちゃある人でした
響きが物凄くて、アンサンブルやオーケストラを上から支えているような感じ。女性とも男性ともつかないような、あの独特の音色は生で聴いたらやっぱすごかったです…
あんな声の人、聴いた事ない…

例えば、「あらゆる拷問」の後半、散々歌ってもうかなりバテてきたであろう頃にある、悪夢のハイCのノンビブラートのロングトーンがあるんですけど。(因みにその少し前に、コロラトゥーラの挙句にハイDでPPで終わらせろ、というやはり悪夢のようなポイントがあります…)
もーここはきっと疲れているだろうに、そんなことを微塵も感じさせない、柔らかく、包み込むような、オケを浮き立たせるような音色で。

何この夢見心地。
ここ天国
ここどこ
みたいな感じになってしまいました…

本当に不思議な声の人です。

だからコロラトゥーラのものよりも、リリックなもの、超高音やアクロバティックなのが必要とされない部分の方が安心して聴けました。二つ目のアリアなんて、あんなに良い曲だったんか!て感じで。

だからやっぱり、生で聴かなきゃわからない事ってあるんだなあ…聴きに行って良かった…としみじみ思いました。
また機会があったら、生で聴きたい人だなー。(…コンスタンツェ以外で…)
あとやっぱ彼女なら、リートを聴きたいなー。

シェーファーを聴いてみたい人へ。下にリンク張っておきます。HPです。
冬の旅が流れるんですけど。すっっっごい良いですよ~!一聴の価値あります!何度泣いたか(笑)

クリスティーネ・シェーファーのHP (クリックしてね。)
Enterから入ると、音が流れます。

キリがないので話戻しましょう(笑)
あと、今回すごくラッキーだったのが。
アンナ・プロハシュカて人がブロンデでだったんですけど。名前聞いた事あったんだけど恥ずかしながら、初めて聴いたの。
この人が、良いっっっ

今まで聴いた中で一番良いブロンデだった!

コロラトゥーラで有名な歌手でも、超高音以外は…苦笑…というタイプって、いるじゃないですか…でも、そんなんじゃ全然なくて。艶のある中音で。声は細いんだけど、音色がリリックなの。
音色はハルテリウスに似てるかも。それか、キューマイアーを少し暗くした感じかな? だから中音がこんな良い、暗めな音色なのに、高音出るのかな?と思うけど、出るのね~。すごいね~。

そして、見た目ももちろんチャーミングなんですけど、演技もチャーミング!可愛いのに嫌味がない~!
あの人のリリックな歌も聴いてみたいなあ、と思っちゃう歌手です。まだ27歳だそうです。きっとこれからすごくなるんだろうなあ~

で、来年。
プロハシュカがスザンナで、レシュマンが伯爵夫人、ケルビーノがシェーファーの公演があります。
超楽しみっっっ! プロハシュカの四幕のアリアはすっごい聴きたいし。
シェーファー、ケルビーノだったらコンスタンツェみたいにキツすぎるという事もないと思いますし。
今回、あの天使の美声は健在という事は確認できたので(笑)すっごい楽しみにしてます
あのVoi che sapeteが聴けるのか…考えただけで楽しみで楽しみで、気絶しそうです…あ、チケットはもう抑えてあります(笑)

そして、レシュマンの、オラオラ系(笑)伯爵夫人も楽しみです。 あたし、ああいう歌い方大好きなんです~。

とりあえず、来週パリに行くのですが、レシュマンがオペラ座で伯爵夫人歌うんです。それ聴いてきまーす。またレポしまーす。




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