「カネを握れば党内での発言力や影響力も増します。所属議員は幹事長に逆らえば公認をもらえず、しかも、カネも降りてこない。これでは政治生命を握られているのと同じです」by上脇教授
何に使った?「二階幹事長」 自民党からの「機密費」14億円
〈支出を受けた者の氏名〉の欄には、ひとりの政治家の名前がズラリと並んでいた。昨年の政治資金収支報告書が公開されたことで、物議を醸しているのは自民党の二階俊博幹事長(79)。およそ14億円もの「機密費」を一体何に使ったのか。
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自民党本部の収支報告書をめくれば一目瞭然。
9月29日:5千万円
10月2日:5千万円
10月3日:5千万円
10月6日:6800万円
連日のように千万単位の「政策活動費」が自民党から支払われているのが分かる。ここに列記した金額を含め、自民党が昨年1年間に二階幹事長に支払った総額は13億8290万円に上る。党内で2番目に多い吉田博美・参院幹事長ですら約1億円だから、二階氏の突出ぶりは明らかだ。
では、政策活動費とは何なのか。政治部記者によると、
「政策活動費は、政党が政治資金から支出する“組織活動費”のひとつです。組織活動費は、県連が主催するセミナーに講師を招く際の“旅費交通費”などに充てられます。ただ、政策活動費として議員個人に支出された場合、その後の使い道を公開する義務がありません。官房機密費になぞらえて“党の機密費”と呼ばれる所以です。目下、このカネを差配しているのが二階幹事長なのです」
政治生命を握る
謎に包まれた政策活動費の使途のうち、
「最も大きな割合を占めるのは選挙対策費です」
そう断じるのは政治アナリストの伊藤惇夫氏だ。
確かに、昨年10月の解散総選挙に向けて、自民党から二階氏への支出は「激増」。衆院の解散から投開票までのわずか1カ月弱の間に、幹事長にもたらされたカネは5億円を超える。
「選挙ではカネが多くて困ることはありません。活動費を受け取った候補者側はビラを追加発注したり、より詳細な情勢調査を業者に依頼します。違法ですが、スタッフにカネを渡したり、選挙区内で配って票を固めるケースもある」(同)
また、選挙でカネを集中投下するのは接戦区だが、どの選挙区にいくらカネを使ったかが明らかになると党内で軋轢を生む。その点でも政策活動費は都合の良い存在なのだ。他にも、
「かつて、ある幹事長が選挙を仕切った際、選挙後に息子が高級車を買ったので“もしや活動費では”という噂が流れました」(同)
新車購入はともかく、二階氏が選挙に莫大なカネを費やしたことは想像に難くない。加えて、
「二階派には他党の落選議員や、他派閥からのベテラン議員の移籍が目立ちますが、これは二階さんの“面倒見”がいいから。それだけのカネがあれば子飼いの議員の氷代にモチ代、外遊する際の餞別だけでなく、新人候補を口説く際に、資金援助を申し出ることも容易でしょう」(先の記者)
とはいえ、神戸学院大学の上脇博之教授は、
「カネを握れば党内での発言力や影響力も増します。所属議員は幹事長に逆らえば公認をもらえず、しかも、カネも降りてこない。これでは政治生命を握られているのと同じです」
見えないカネが、陰ながら安倍一強を支えている。
「週刊新潮」2018年12月13日号 掲載
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181219-00553446-shincho-pol
転載元: しあわせの青い鳥