山に癒されて…♪

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自己世界の超ロ~ング日記です
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2017年我が家の納山際は 恒例の九重山系へ 3 中岳

2018年01月08日 | 山登り 九州のお山
2017年12月30日☀ 大分の山くじゅう連山 中岳




法華院温泉山荘と三俣山


法華院温泉山荘からの続きです



疲れは すぐに睡魔を呼び 
深き闇の世界へと引きずり込まれ 
窓を打つ風の音も子守歌のように心地よく聞いていました

目が覚めた時には 日も変わり
うっすらと明るさを見せ始めています

しかし…昨日の空とは違い 灰白色の空が一面広がり
明るくなったとはいえ 青空を見せることはありません

お天気が悪くなることは予め予期していたことでありますが
みぞれ交じりの空には閉口しそう…

早朝に出発することは止め 朝食は小屋で食べることにし
空を見ながら 今日をどうするか決めることにします






チチが 空と天気図を確認しながら言います

今日は 北千里浜から登ろう…
午後からは天気は回復傾向になるんだけどね…



鉾立から白口経由の 稲星山中岳を予定していました

しかし、今日は稜線上は強い風が吹き荒れているよう…
登っても いい事などない…
白口の稜線の風の強さは 過去に経験済み

身体を45度に傾けても倒れず 1歩が出せないほど…
ともすれば吹き飛ばされそうになる強さ…
3000m級のお山で出会った強風と変わらぬ暴れん坊…



そのうえ 体調の悪さは 日が変わっても変わりません


少し迷いながらも
北千里浜経由の中岳に変更することにします


更に 朝から私の心をへし折る出来事が起こります
チェンアイゼンをはめようとした時の事…


あぁっ!
外れている~!

 
 お気に入りのチェーンアイゼン


小屋の方にペンチをお借りて 何とか直そうとしますが…ダメ

 
結局…長者原の駐車場で迷いながらも持ってきた
もう一つのアイゼンを使うことになります


重たい 12本アイゼンです


出発の時点で ぼきっ!
れる音がします



 法華院温泉山荘裏のコンクリート舗装道


心が折れると どうしてこうもないのでしょう…
登り始めても どんどん歩く意欲われていきます


ポジティブに考えられなくなって ここからは 
ただ…ただ… しんどいばかり…


 堰を越えて山道へと変わるけど…
 北千里までの急な道…しんど!



それでも高度だけは稼ぐことが出来るよう

心配そうに何度も振り返るチチ
そして 足を止め 私の後ろを指しながら…

ほら 見えてるよ♪






振り返ってみると そこにぼんやり広がる 坊がつる
昨日の姿とは違い… 薄暗く陰気…今の私のよう…

チチは ここまで登ってきたんだよ…と
励ましているのかも…


だけど気持ちが前向きになれず…ただしんどい




 中途半端な雪とごろつく岩!


口をの字にして登っていけば
空のお天気もヘソ曲げて
風を呼び ミゾレをまき散らし大暴れ!

意地の張り合いのようにして登れば…
いつの間にか平らな広場に…



 北千里入り口

北千里



北千里浜に入ると 風は一段と強くなり
目を開けていることもつらくなります…

顔が痛い…

周りは閉ざされ 景色どころではありません
千里浜の門番サル岩も見えません…


心折れた私は チチの背を見失わないように歩くのが精一杯…
情けない事です…



 すがもり越分岐



すがもり越分岐標識も 見落としそうなお天気…
今日もペースが上がらず
平らな北千里浜の道もしんどいばかり…


そんな私の様子を見て チチが言います

12時までだよ…タイムリミットは…
12時になったら何処にいても戻るよ



… わかりました



時計の針は9時07分を指しています







凍った水の流れが流氷のよう…

耳が痛い
顔が痛い
目が痛い…


昨日と全く違う山のお天気…
お山も年末の大掃除?
すべてのものを吹き飛ばして綺麗にするつもり…?


負けないわ…
負けないわ…
山の女と意地比べ!







何やら 目の前にうっすらと浮かんで見える

あれは…
あれは…

出口の門番!



 我が家が勝手に呼ぶジョーズ岩



漸く北千里浜を出られるよう!
されば 後は 急な岩の登り!



 名物黄色のペンキは救いの目印


この急登を登れば…久住分れ
もうすぐ もうすぐ どこまでがもうすぐ!






灰色の稜線が見えてきた!

着いた!
着いた!久住分れ


だけど…どこが久住分れ…?
周りは白い闇…



避難小屋で休むか?
チチが心配そうに尋ねてきます


はいと答えれば もう動けなくなりそう… 


休め 休め…もう諦めろ…
もう1人の緩い私が誘惑します

嫌だ 嫌だ せめてピークは踏みたい!
負けん気の強いもう1人の私が叫びます


この時の時計の針は 10時を指しています


いいえ 進みましょう



 チチは考えるように前を向き 進みます
 視界を遮るように風とガスが渦巻きます




次第に景色が幻想的に変わっていきます






風にかき消される乱れた呼吸
風に吹きとられるように消える
顔面に当たる小さな結晶がのよう…


それでも…不思議…

視界を失った先に見える 六花の見事な風景が
何時しか 励ますように背中してくれています


氷の芸術品が目の前に広がります






雪が多くても見られない
条件が揃わなければ見られない
氷と岩の芸術… しんどさも忘れさせるほど
その芸術美に心奪われた瞬間です



 岩と六花の花道の急登を詰めると…
 
天狗ヶ城 1780m



何も見えない
標識を確認して天狗ヶ城と知ります

一つのピークにたどり着いた…

時計を見ると 10時43分


行けるかも…
行けると思う…
中岳はもう少し…


振り返るチチと目が合う…
目が合ったと思う…
風とガスで本当はよく見えない…
だけど目が合ったと思う…

チチ…

行くぞ!

あっ はい


 チチはそのまま進みます
 岩場を慎重に下るとき…






最終目的に行けるのだと 確信をします
ここに来て 不思議と力が湧いてきます…

チチ…行けます♪
私…歩けます♪







白い魔物たちが作る 小さなエビのしっぽ
の世界へと導いていきます






風さん 吹き飛ばしたければ 吹き飛ばしてごらん!

私 負けないので!








そんなへっぴり腰で大丈夫か~?
さっきまで 弱音吐いていたの だ~れだ~

それで、ここまで来れるのか~ 
来れるものなら来てごらん…





中岳 1791m




うっすらと浮かび上がるは 中岳山頂
冬将軍の居座る座面となっているよう…

猛攻の手を緩めない勢いに押されそう…

風が笑い ガスがうごめき
足元では冷ややかに見つめる岩…



大丈夫! 諦めたりしませんから




明治以降に五万分の一地図が市販されるようになりますが
中岳と天狗ヶ城の標高が示されていなかったため
久住山が長い間 最高峰と思われておりました

1980年の再測量で中岳が高いと言う事が分かり 
くじゅう山系及び九州本土の中で最高峰のお山となりました

ちなみに 久住山が2番手になったのは
登山者が多くて 縮んだ(崩落した)からとか 
中岳に誰かが石を積んだからなど そんな
噂を耳にしたことがあります 審議は不明ですが 
今では中岳が堂々の最高峰として認められているのは事実です





 一瞬風が止まり




よう~頑張ったと 六花が笑う






冷たくも白い花束のご褒美

諦めなくてよかった~


風を避けて 
山頂の岩の陰に身を潜めて 少しだけ休憩


タイムリミットまでまだ時間があるよう…
御池を回って帰りましょう





御池の分岐まで下って 御池へと向かいますが
風は一向にその力を緩めず
顔面目掛けて吹き付けてきます…

頬が凍傷になりそう・・・

目出帽を被り風から身を守りながら向かいます 







御池(みいけ)はそこから近くのはずですが
視界を奪われ…遠いのか 近いのか…わからなくなる感じです…

その御池には…

昔 御池畔は 賽の河原と呼ばれ 上宮があったらしい…
この上宮は 岡藩領九重山白水寺法華院の上宮であると同時に 
肥後領の九重山猪鹿狼寺(いからてら)の上宮でもあったらしく 
共同で祀られていたといいます
どちらも、天台宗集修験道の寺院であった事から 上宮では一体となっていたのでしょう…

この上宮の岩屋には 十一面観自在菩薩と不動明王
毘沙門天の石仏座像の三体が祀られてあったと言いますが
明治になると 猪鹿狼寺(いからてら)が廃寺に追い込まれ
それを機に 現在では上宮の後すらなく 寺院の形跡すら見当たらなくなっています






御池



いつもなら 澄んだ青緑の水を湛え 
秋には紅葉を映し出して赤く燃える御池

この時期は 氷の世界ののようになっています
そして ガスに包まれ 視界は閉ざされ 
横断したくとも不気味な影を忍ばせて
拒絶しているように見えます


この御池(みいけ)は 水の神様のいる所として 知られているそう…

中岳・天狗ヶ城の西南方向に久住山があり
その間に 御池(みいけ)と空池があります


その御池と空池には言い伝えがあることをご存知でしょうか…

肥後国志では 新御池古御池と呼び
住古には古御池に霊水があったが、猟師が池で鉄砲を洗ったため 水が枯渇した(古御池=空池)
今は 新御池(御池)に水があって青く冷たい 芥(ゴミやチリ)が全くない
と伝えられています 

また、日田の学者 森春樹氏は 御池を霊池と呼び
天保の初め 鹿を殺した猟師が刀を池で洗ったところ、
その夜のうちに池が乾き(空池) 一段上の窪みに水が溜まって
霊池(御池)になったと記しています

ほかにも亀山随筆の中にも神の池が語られています

そのように神の池としての信仰は大正の初め頃まで続き
登山した人は 池に賽銭を投げ込み 干害の際には水を汲みに登り
持ち帰って雨乞をしたといいます

そのため 大正の初めころには 池の底には
沢山の銅貨が沈んでいて キラキラ光っていたといいます

ただ…残念な事に…

硫黄山の硫黄の採取をしていた作業員の中には
これを拾い上げて、夜の酒代にしたものもいたとか


これは… 神の怒りに触れなかったのでしょうか…





御池



御池は凍っていたけれど視界ゼロ!

中央付近まで行こうとしますが
ボヤっとぼけてガスに飲まれそう…

横断することは断念して 
池の縁を巻いていくことにします



 御池の縁沿いの道



何処か日本海の海を思わせる御池(みいけ)
余りにも冷たく 寒々しい…



 御池への分岐
 久住分れへと向かいます
天狗ヶ城の分岐
 久住分れ


避難小屋




風は一向に力を緩めず
中々青い空を見せる気配はありません…

冷えた体を温めたくて小屋で休憩をします
しかし…空腹感がどこかに消え
疲労感が遅い 食事ものどに通りません
チチの入れてくれたコーヒーを飲むのがやっとでした…

小屋の中とはいえ じっとしていると熱が奪われ
汗で濡れた体は 早々に冷えていきます

ガタガタ震える私…

チチが食事を終えてすぐに 出発することにします



 久住分れから北千里へ
 登ってきた道の下り道
 北千里浜出入り口付近

北千里浜



下りの道は 結構早く歩ける私…
それはしんどくても同じのよう…

アイゼンは アイゼンワークの練習もかねて外さず歩きます
殆どが岩のごろつく斜面…デコボコも激しいけれど
練習になります
そして北千里浜の凍った小さな川…
アイゼンが良くきいて滑る事はありません



 すがもり越分岐



すがもり越へ向かいます
これが最後の登り
ファイトでございます






ぼやけたコルに立つチチ…
すがもり越しに着いたよう…



  
すがもり越




災害復旧工事中のすがもり越

かつてはここに小屋があり
宿にしたり 休憩をとったり賑わいを見せていたのですが…
石済みの小屋の片鱗だけが残った状態…

ガスった石垣が 一層神秘的に映し出されています…








すがもり越しからは 復旧工事に伴うものでしょう
工事用道路が出来ています

これはが出来ると思っていましたが
途中で道分かれとなります

工事用道路のゲートは開いたままですが
一般者立ち入り禁止となっているよう…


ここから通常の ゴロゴロ斜面の登山道を下っていきます




 中途半端な雪がちょっといやらしい…
 どんどん下っていきます
 林道が見えてきて ホッとため息




林道までもうひと踏ん張り!
アイゼンワークに打ってつけ…
だけど…しんど!




長者原の方面



雲が微妙…
長者原の方は 雲が切れ始めているのでしょうか…



 林道に出ます
 すがもり越しからの工事用道路入り口



ここからはしばらく林道歩き
だけど舗装道路は意外にれます…

途中から登山道へ入る予定の為 アイゼンは外さす歩きます


 凍った舗装道路は歩きにくい…
 途中から脇道の登山道へ…
 硫黄道路からのすがもりコース入り口
 硫黄道路林道を下っていきます




青い空…今頃…
下ったころに天気回復…よくある事です…


 テクテク歩いていると…


三俣山




お見送りのように顔を出してくれます
最期にお姿見れて良かったのかも♪

しかし それも一瞬だったよう…


 長者原ビジターセンターの駐車場
 三俣山は再びその姿を隠します


午後からは晴れると天気予報も言っていました
天気図を見てもそう思いました…
だけど、お山に浮かぶ雲は 一瞬青空を見せたものの
またすべてを隠すように覆っています…

今日はお天気に恵まれず 荒れたお山となりましたが
しんどいなかでも 楽しむ心は失わずにいたような…

やはりくじゅう山は 魅力あるお山です







帰りの九州自動車道は青空を見せ始め
由布岳の姿を見ることが出来ました

最期に好きなお山の姿を見て 山歩きより長い帰路につきました







最期は超特急となりちょっと雑になってしまいました
それでも 最期までお付き合いくださいまして
ありがとうございます









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8 コメント

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おはようございます (tempo1078)
2018-01-08 06:24:45
今回の
長編山行Blogも

お疲れ様でございます。

冬山ならではの
美しさも堪能させて頂きました。

ひたすら
感動でございました。
返信する
おはようございます (バボ)
2018-01-08 10:17:15
前日の大船山からの眺めとは全く違う世界…
これも山行の醍醐味なのでしょうが、やっぱ青空の方がイイですね。。。
先月、自分が御池に行った時の状況と凄く似ていたので、
あの時の寒さを思い出しながら拝見させてもらいました。
御池や空池の謂れについても勉強になりました。(^^)/
返信する
tempo1078様 (nanekobi5963)
2018-01-08 20:12:14
こんばんは♪

tempo1078様ありがとうございます

これが私のコンテンツと言いましょうか…
伝えるものと 残すもの…
どうしても長くなってしまいます
そんな私のブログを見てく下さることに感謝しております

冬山の厳しさと美しさ
技量が伴わないながらも その場で味わえることは
贅沢の極みですね

いつもコメントをありがとうございます♪

返信する
バボ様 (nanekobi5963)
2018-01-08 20:15:47
こんばんは♪

一晩でこんなに様相を変えるなんて
山の面白さですね

娘さんの真似をして 
池の中央で寝転んでみようかと思いましたが
出来ませんでした(笑)

くじゅう山の寒さは半端ないですよね
風速何メートルだったのでしょう…
時に四つん這いにならなければならないほどの
強い風が吹いてきましたから…

優しくも厳しいお山です♪

いつも コメントをありがとうございます
返信する
Unknown (錫杖)
2018-01-09 13:03:29
こんにちわ

虎視眈々と久住山を狙っていましたが、nanekobiさんのレポ見て 心が折れました。
強風凄まじいじゃないですか
 
  わたしは奄美に行ってきます。

返信する
九重山系 (のんびり夫婦の山遊び)
2018-01-09 20:25:57
nanekobi5963さん、こんばんは!
九州の山へ6年も通い続けているなんて、良いで
すね。
初日は眺望も得られ、法華院温泉に浸かり、翌日
は眺望はままならないものの冬山を楽しむことが
でき、九州の山満喫でしたね。
ミヤマキリシマの花期に歩きたいものですが、
遠くてとても歩くことはできません。
御池というところ、若しかして紅葉の素晴らしい
ところでしょうか。
九州の山、楽しませていただきました。
返信する
錫杖様 (nanekobi5963)
2018-01-09 22:02:38
こんばんは♪

今度のくじゅう山は穏やかな顔と
厳しい顔を見せてくれました

いえいえ…錫杖様には 
是非是非 訪れていただきたいお山です

…と 飛んで奄美ですか~
これはまた楽しみです 
お気をつけて行ってきてくださいませ♪

レポとお写真楽しみにしております


コメントをありがとうございます♪
返信する
のんびり夫婦の山遊び様 (nanekobi5963)
2018-01-09 22:05:43
こんばんは♪

月日の流れるのは早いですね
6年になるなんて ピンとこないほど
当たり前に毎年訪れておりました♪

ミヤマキリシマの時期は本当に見事ですよ
春と秋
紅葉も見事ですね
御池でも 大船山の御池(おいけ)の紅葉は
見事の様です

一度生で見たいと思っております

楽しんで頂けましたか?
とてもうれしく思います♪

コメントをありがとうございます♪
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