御見積もりでよくある質問を少し説明させていただきます。 御見積もり中は簡単な説明ですがブログでは少し難しく説明させて頂きます。 塗料には、性能表示の指標として「塗料の耐久年数」が示されています。
これは、とある試験方法を基にして、算出されるものです。
ある試験方法とは、『 促進耐候性試験 』(JIS(日本工業規格)A 6909の規格)です。
その塗料をサンプルとして試験板に塗装し、それに対して自然の日射を想定したランプ光を連続照射します。そして、最初の艶(つや)から、80%まで低下した時点の経過時間を基にして耐久年数を試算する方法です。
- 照射時間2500時間 : (10年相当の耐久性)
- 照射時間1200時間 : ( 5年相当の耐久性)
- 照射時間 600時間 : ( 3年相当の耐久性)
この統一した試験方法を用いて、塗料の耐久性指標としています。 もちろん、宮古島などでは暴露試験(塗料を塗った板を外でさらす)など実施はしていますが、結果が分かるのに長い時間を要します。
一般的に公表されている 「塗料の種類による標準耐久年数」はおおよそ下記の通りです。(個人的な感想と実責を踏まえ、一般的に使用する材料を目安にしています。 それぞれの材料には、ピンからキリまであります。)
アクリル樹脂塗料・・・沖縄では、新築などではよく使われます。耐候性としては3年~5年程度
ウレタン樹脂塗料・・・比較的に経済的な塗料であるが、樋や鉄部などの使用、私共(沖縄塗装工業)では外壁等ではあまり使用しません。(シリコン樹脂塗料などが価格的にも安くなっているので。)耐候性としては5年~8年程度
シリコン樹脂塗料・・・現在、沖縄でも改修工事などでは、よく使用されています。 但し、シリコン樹脂と言ってもピンからキリまで様々な種類がありますので確認されたほうがよろしいです。耐候性としては、7年~10年程度でしょうか。(沖縄では)
フッ素樹脂塗料・・・この4種類では最も耐久性に優れているとされます、ただ、コスト高なのが難点です。耐候性としては10年~15年程度。(日陰の壁や軒天などでしたらそれ以上に艶は保持しています。塗り替えの密着が不安なほどに・・・それ用のシーラー(接着剤)はあります。)
これらの4種類が基本的な物ですが、ほかにも色々ありますがご説明は省かせていただきます。
しかし、「この耐久年数は塗替えの時期を直接に示すものではありません」
さて、どういう事でしょうか?、建物の多くがアクリルもしくはシリコンの樹脂塗料を使用している訳ですから、沖縄の建物の多くが、10年以内の塗り替えが必要となってしまいます。
塗膜とは、突然に壊れるものではなく、あくまでも少しずつ表層から劣化をするものです。
表層の劣化は、ツヤが引ける段階であり、表層の劣化が始まっても下地保護の機能が失われるものではありません。
塗料の耐久年数は、表層の劣化が始まっているであろう時期を示しています。
これが、よく塗装屋さんのホームページなどで紹介されるチョーキング(白亜化)と呼ばれるものですね。
上の写真は、クラック(ひび割れの幅を図っています)スケールを使用したものです。
しかし、劣化要因は太陽光線だけではなく様々な環境条件でもかわります。
たとえ フッ素樹脂の様な高級な樹脂塗料が使われていても、下地からの刺激要因により早期に劣化する場合もあります。(高圧洗浄をちゃんとできていない等・・)
また、初期の塗装の仕方が適切でないことで、期待する耐久性が保持できない場合も考えられます。(新築時の塗装にシーラーを使用していないまたは、シーラー後日数を挟んでの塗装などなど・・・・旧塗膜からの剥がれは様々な要因があります。)
逆に、正しい施工で仕上げられた塗装は、材料が何であれとは言いすぎかもしれませんが建物も長持ちします。
※立地や環境により変化します。 余談ですが、車両通りが激しい場所では排気ガスによる汚染があるので白っぽい色は汚れが目立つのでお勧めしません。
金武町のキングタコス(本店)のタコライス。ボリュームがえぐい・・・・しかし、ふたの意味って・・・・・
実際の塗り替え時期の判断については、実際の塗膜劣化状態や、下地素材の状態、汚染の状態、湿気などの影響状態などなどを考慮して判断されるものと思います。建物の様々な劣化症状を総合的に判断することが重要です。
まずは、お家の方が、外壁の劣化症状を観察し簡単な自己診断をしてみることも大切です。状態を目で確認しておくことです。これを「目視による観察」と言います。
それに合わせて、信頼できる専門者に外壁診断を依頼し、その診断の内容をお聞きになってみることも必要です。直接、その診断内容を聞いてみることです。詳しいことは分からなくても、観察の結果をもとにした意見や考え「初見」を聞いておく事が大事です。
赤外線カメラによる画像(雨漏り診断中)
建物の劣化症状は実際に目に見える事も多くありますので、素人の方でも少しずつご理解が深まるものと思います。
写真は載せられないのですが、塗り替えしている現場のご近所に隣り合う駐車場があり、1か所は砂利の駐車場、1か所はアスファルトの駐車場がありました。駐車場の規模は同等の物です
その駐車場の両方に似たような建物(4~5階)があるのですが劣化具合が全く違いました。 アスファルト側の建物は特に問題はなく、砂利の駐車場の隣接する建物は黒カビ、赤カビの発生が多く見られました。
砂利などは水を多く含みゆっくりと蒸発するので建物のも影響が出たと予測されます。 戸建ての建物でも土などがある縁側などがカビの発生が多く見受けられます。