今年も、残すところあと数時間となってしまいました……。
ブログを書き始めてこの12月で丸6年経つんですけれども、
もう毎年毎年、「今年も一年早かった」と同じことばかり言っております。
でも、こうやって一年を振り返ったエントリを書くのが、私のブログ活動の中の恒例行事として、大きな楽しみともなっています。
例年、その年の総括はライブの感想だけなのですけれども、今年はちょっと新しいことをやってみたいなと思いまして。
以前から考えていたこと、もやもやしていたことがあって、それを今年はさらに強く感じたので、
一年の最後に、その問題について、私が思っていることを書かせて頂こうと思います。
2013年総括番外編。 同情商法 ―『あなたがいなきゃダメなんだ』を逆手にとる人達―
私は、そんなに詳しいわけではないですが、AKB48が好きです。
きっかけは、中学時代から仲の良い友人がAKBにハマり、私にいろいろ教えてくれたのがきっかけでした。
それが2010年のAKB総選挙直前くらい。
だから、グループとしてのテレビ露出も段々増えてきた頃でした。
まず友人が教えてくれたことの中で驚いたのが、AKB48って、メンバーが48人って訳ではないんだということ(笑)
そしてさらに衝撃だったのが、48人よりももっとメンバーがいて、でも一つの曲に全員を出して全員を踊らせると人数が多すぎるという理由で、
シングルの曲で誰が選抜メンバーになるのかは、運営の大人たちが勝手に決めてしまうということ。
人数が多すぎるからメンバーを選抜するって!
全員舞台に乗せられないなら、最初からそんなにメンバーを所属させなきゃいいのに!
しかも誰が出られるかは大人の裁量で決められてしまうなんて、なんて理不尽なシステムなんだろうと思ってしまった。
で、それが理不尽だ、不公平だという声が上がったから、
だったら一年に一度、運営じゃなくて、ファンが選抜メンバーを選べるシステムを作ろうということで、総選挙がはじまったと。
(AKBファンのみなさま、間違っているところがあったらすみません。お許しください。)
だから、メディアでは、誰がセンターになったかということばかりが取り上げられるけれども、
私は総選挙を見ていて、さらに苦しいのは、選抜シングルメンバーに入れるか入れないかの、ボーダーラインにいる子のファンの方達なのではないかと思ってしまうのです。
センターと2位や3位の差は大きいかもしれない。
でもいつも上位にいて、いつも前列にいられる子達は、テレビに呼ばれる回数もそんなに変わらないし、
「まあ2位だったけど、頑張ったよね」という考え方も出来るかもしれない(それでも残念さはもちろんあると思いますが)
しかし、選抜に入れるかどうかでは、まずメディアに出られる回数が全然違ってくる。
だから私は、AKBの総選挙は、
「自分が頑張って投票したら、あの子がセンターになれる!」という思いよりも、
「自分が頑張って投票しなかったら、あの子が選抜落ちしてしまうかもしれない」っていうネガティブな思いの方が、とても切々とファンの心に迫ってきて、
そういう思いがファン一人ひとりに投票券つきのCDをいっぱい買わせ、
そういう思いをファン一人ひとりにさせることが、この総選挙システム、ひいては総選挙ビジネスを成り立たせているんではないかと思ってしまうんです。
もっと簡潔に言うと、ファンの心にある、
「あの子に活躍してほしい」「あの人を応援したい」
「あなたがいなきゃダメなんだ」を逆手に取る商法であり、
そしてこれはAKBだけではなく、今のあらゆるエンタメ界、そしてお笑い界に広がっている商法なのではないかと感じています。
そんなに定着した呼び方じゃないかもしれないけど、今回私はこれを「同情商法」と呼ばせて頂きます。
私は以前から、もう2年以上前から、333(トリオさん)の番組スタンスについて度々疑問を呈してきました。
トリオさんは大好きな番組で、番組開始から今までずっと飽きることなく見させて頂いています。
まだまだ、今よりももっと無名の時期からこの若手3組を、厳しくも愛情持って育ててくれてる番組。
そして、この3組だけではなく、度々他にも色々な若手芸人さんを呼んでくれていることで、
次世代を育てようというテレビ朝日のみなさまの気概がすごく伝わってくる感じがする。
でもその中でどうしても、同情商法がちょっと多いんじゃないかなと思っていました。
「みなさんがイベントに来てくれなければ番組終わるかもしれないよ」とか「赤字になるよ」という感じで、
裏事情を見せて過酷さをアピールすることで、人を引き付けているような。
バチバチエレキテるにおいてもそうです。
番組が始まった時のコンセプトからして、どうも好きではなかった。
入れ替えポイントがあって、それが一番多いコンビはせっかくのレギュラーを降ろされてしまう。
MCの濱口さんから度々告げられる「お前らみたいな若手芸人の代わりはいくらでもいる」といったような言葉や、
若手芸人ならこうされるのが当たり前だと言わんばかりの雑な扱いの数々。
一応、きちんと述べておきたいのが、私はトリオさん同様にバチエレのスタッフさん達には本当に感謝しているし、
番組が進んでいくにつれ、それぞれのコンビの特色を生かそうとしてくれている愛も本当に感じられた。
(そもそも私が今こんなにさらば青春の光にハマってしまったのは、バチエレの前身であるロケットライブの影響が多分にあります。その面でも感謝は尽きない。)
だからこそ、人気投票の結果が入れ替えの順位に大きく響いてくるとか、
偉い人に必死で頭を下げて番組の復活を願っている感じとか、
こういう悲壮感あるやり方で話題を作って、人の興味を引きつけなければいけないのが残念だった。
そして今一番この同情商法について考えさせられてしまうのが、グランジのDVDについて。
ご存知の方も多いと思いますが、グランジはBESTネタのDVDを発売し、
これが半年で一万枚売れないと、吉本を解雇になってしまうというチャレンジが始まっています。
この話を聞いた時、なんでそんなことしなきゃいけないんだろう、と思ってしまったのが正直なところです。
きっと、普通にDVDを売りだしたって、結構売れるよ。それじゃダメなのかなぁ。
ハッキリ言って、こんなやり方は同情商法だと思います。
私が一番残念だと思うのは、こういうやり方で一万枚を売って、一般の人はどう思うのだろうかということです。
へぇ、話題になってる、面白そう、と思って興味を持ってくれるならいいけれども、
一万枚を売らなければ解雇になってしまうという悲壮感だけが伝わってしまって、受け手が引いてしまったらもったいない。
本来、こういうやり方をしなければ、もっとシンプルにグランジのネタの面白さを楽しめていたかもしれない層を、取り込めないかもしれない。
しかも事務所解雇って、やりすぎじゃない?
あと、このチャレンジが失敗したら、担当の社員さんも一緒に解雇されてしまうという事実に、ちょっと引いてしまうんだけど…。
それがエンターテイメントになるとは思えないよ。
インターネットが発達して、個人個人が様々なメディアにアクセスできるようになり、趣味が細分化した今の時代に、
「国民的人気者」が誕生するのがいかに難しいかというのは、わかっているつもりです。
だから、視聴者を増やそう、DVDの購入者を増やそうとしても、
まずお笑いに興味を持ってくれてる人、という全体のパイを広げなければいけなくて、そこが難しい。
みんな忙しい。お金も続かない。
だからそれぞれの分野を見るだけで精一杯。
例えば私は音楽に本当に疎いのですが、音楽のジャンルで、今どんな新しいバンドが出ているのかということは、
なかなか自分が能動的に情報を取りに行かないとわからないから、
お笑い畑でずっと育ってきた私には、それを取りに行く時間もない、というか、その情報を取りに行く方法もわからない。
きっと同じことが、色んなジャンルで起こっていて、他のジャンルのファンの方から見れば、お笑い界に対して上記に述べた私の状況と同じなんだろうなと。
そういう人を引き付けるには、やはり大きな話題を起こさないといけない。受け身な人のところにも届くくらいの。
しかもネガティブでセンシティブな方が、興味は沸く。
だから同情商法的なやり方が広まっている。
でも、そういうやり方をして、お笑いファン以外の人達は一体、本当に興味を持ってくれるのでしょうか。
グランジのところにも少し書きましたが、こういう同情商法が興味をもたらすならいいけれども、
ここまでしても、受け身の人達にその情報が実際に届いているのかは疑問です。
だからその次に考えなければいけないのは、元々のファンの人達への影響。
「あなたが投票してくれないとレギュラー終わるよ!」「あなたが買ってくれないと解雇されるよ!」という事態に感化され、
頑張って応援をするけれども、個人個人にできることは限られている。
一人でDVDを100枚も200枚も買うわけにはいかないし。
そうなると、元々のファンの人達の間に、
「私はこの芸人さんがいなきゃダメなのに、私には何もできないんだ」という無力感を漂わせ、
むやみに疲弊させていってしまうのではないかと思うのです。
芸人も、関係者も、ファンも、みんな疲弊して、
その先に一体どれくらいの効果が生まれるのだろう。
私は以前から同情商法に対して、うまく言えない嫌悪感があったんですけれども、
それをなんとか言葉にまとめると、こういうことだったのかなと思います。
「あなたが見てくれないと番組終わるよ!」
「あなたが来てくれないとこのライブ終わるよ!」
「あなたが投票してくれないと好きな芸人がレギュラー落ちするよ!」
「あなたが買ってくれないと解雇されるよ!」
こうではなくて、こうではなくて……
不安や同情を誘って視聴率や動員数や売り上げ数を上げようとするのではなくて、
好きだというポジティブな気持ちが、
この人達がいなくちゃダメなんだ、大好きなんだという真っすぐな気持ちが、
大きなムーブメントを起こせるような方法は、
どこかに、ないのでしょうか。
「純粋にネタの面白さで評価されてほしい」などという言葉が、もはや頭の中お花畑な考え方だとはわかっています。
だって、面白い芸人さんいっぱいいるんだもん。みんな面白いんだもん。
みんな面白いのにその年に「チャンピオン」や「ファイナリスト」という称号を獲得できるのは、漫才・コント・ピン芸それぞれわずかで、
その枠に入れないとなかなか次のステージに行かせてもらえないんだもん、だからみんな大変。
同情商法をせざるを得ない現状はわかっている。
だけど私は、お花畑でも、この考えをずっと大事にしていきたいなと思っています。
どうせ同情商法をしたって、元々ファンだった人間に出来ることなんてそんなに大きくないからさ、
それなら、自分の信念を曲げずに行きたい。
余談ですが、そうやって同情商法が苦手な私が、このタイミングで好きになったのがあのコンビだというのも、何の因果かと思ってしまいます(笑)
金と女で問題を起こして事務所をやめたと言われ(本当はそうじゃないみたいだけどね)、
Yahooのコメント欄で救いようがないほど叩かれた人達。
きつい言い方をすれば、何の同情の余地もないよね。
「事務所やめたら全部自分達でやらなければいけない」とか言ったって、
そりゃそうでしょ、大変ならやめなきゃよかったじゃん、と思われたら終わり。
それで同情を引ける場合もあるかもしれないけど、多くの人は「自分達が決めたことなんだから」と突き放すと思う。
彼らには同情商法ができない。
……あっ、いくら同情商法が苦手な私でも、別にここまでやってほしいと思っていたわけでは、ないんですよ…(苦笑)
でも、そんな彼らだからこそ、自分達の面白さだけで勝負するしかない。それ以外の方法はない。
まだしばらく干される日々は続くんでしょうけど、
でも、何か新しい方法で、誰も行ったことのない道を行ってほしいな、やり切ってほしいなと思います。
長々と、同情商法への思うところを書いてきてしまいましたが、
偉そうに言いやがって、じゃあお前には何か新しく売りだす策があるのかと言われたら、わからないですというのが本音です。
それでもやっぱり、純粋に好きだっていうポジティブな気持ちが、何よりも大事にされる世の中であってほしい。
そのために私は、大して価値があるブログでもありませんけれども、
来年もこの場所から、好きな人への愛を叫び続けます。
いつか、何かのきっかけでお笑い界に興味を持ってくれた、あなたのところへ届くように。
ブログを書き始めてこの12月で丸6年経つんですけれども、
もう毎年毎年、「今年も一年早かった」と同じことばかり言っております。
でも、こうやって一年を振り返ったエントリを書くのが、私のブログ活動の中の恒例行事として、大きな楽しみともなっています。
例年、その年の総括はライブの感想だけなのですけれども、今年はちょっと新しいことをやってみたいなと思いまして。
以前から考えていたこと、もやもやしていたことがあって、それを今年はさらに強く感じたので、
一年の最後に、その問題について、私が思っていることを書かせて頂こうと思います。
2013年総括番外編。 同情商法 ―『あなたがいなきゃダメなんだ』を逆手にとる人達―
私は、そんなに詳しいわけではないですが、AKB48が好きです。
きっかけは、中学時代から仲の良い友人がAKBにハマり、私にいろいろ教えてくれたのがきっかけでした。
それが2010年のAKB総選挙直前くらい。
だから、グループとしてのテレビ露出も段々増えてきた頃でした。
まず友人が教えてくれたことの中で驚いたのが、AKB48って、メンバーが48人って訳ではないんだということ(笑)
そしてさらに衝撃だったのが、48人よりももっとメンバーがいて、でも一つの曲に全員を出して全員を踊らせると人数が多すぎるという理由で、
シングルの曲で誰が選抜メンバーになるのかは、運営の大人たちが勝手に決めてしまうということ。
人数が多すぎるからメンバーを選抜するって!
全員舞台に乗せられないなら、最初からそんなにメンバーを所属させなきゃいいのに!
しかも誰が出られるかは大人の裁量で決められてしまうなんて、なんて理不尽なシステムなんだろうと思ってしまった。
で、それが理不尽だ、不公平だという声が上がったから、
だったら一年に一度、運営じゃなくて、ファンが選抜メンバーを選べるシステムを作ろうということで、総選挙がはじまったと。
(AKBファンのみなさま、間違っているところがあったらすみません。お許しください。)
だから、メディアでは、誰がセンターになったかということばかりが取り上げられるけれども、
私は総選挙を見ていて、さらに苦しいのは、選抜シングルメンバーに入れるか入れないかの、ボーダーラインにいる子のファンの方達なのではないかと思ってしまうのです。
センターと2位や3位の差は大きいかもしれない。
でもいつも上位にいて、いつも前列にいられる子達は、テレビに呼ばれる回数もそんなに変わらないし、
「まあ2位だったけど、頑張ったよね」という考え方も出来るかもしれない(それでも残念さはもちろんあると思いますが)
しかし、選抜に入れるかどうかでは、まずメディアに出られる回数が全然違ってくる。
だから私は、AKBの総選挙は、
「自分が頑張って投票したら、あの子がセンターになれる!」という思いよりも、
「自分が頑張って投票しなかったら、あの子が選抜落ちしてしまうかもしれない」っていうネガティブな思いの方が、とても切々とファンの心に迫ってきて、
そういう思いがファン一人ひとりに投票券つきのCDをいっぱい買わせ、
そういう思いをファン一人ひとりにさせることが、この総選挙システム、ひいては総選挙ビジネスを成り立たせているんではないかと思ってしまうんです。
もっと簡潔に言うと、ファンの心にある、
「あの子に活躍してほしい」「あの人を応援したい」
「あなたがいなきゃダメなんだ」を逆手に取る商法であり、
そしてこれはAKBだけではなく、今のあらゆるエンタメ界、そしてお笑い界に広がっている商法なのではないかと感じています。
そんなに定着した呼び方じゃないかもしれないけど、今回私はこれを「同情商法」と呼ばせて頂きます。
私は以前から、もう2年以上前から、333(トリオさん)の番組スタンスについて度々疑問を呈してきました。
トリオさんは大好きな番組で、番組開始から今までずっと飽きることなく見させて頂いています。
まだまだ、今よりももっと無名の時期からこの若手3組を、厳しくも愛情持って育ててくれてる番組。
そして、この3組だけではなく、度々他にも色々な若手芸人さんを呼んでくれていることで、
次世代を育てようというテレビ朝日のみなさまの気概がすごく伝わってくる感じがする。
でもその中でどうしても、同情商法がちょっと多いんじゃないかなと思っていました。
「みなさんがイベントに来てくれなければ番組終わるかもしれないよ」とか「赤字になるよ」という感じで、
裏事情を見せて過酷さをアピールすることで、人を引き付けているような。
バチバチエレキテるにおいてもそうです。
番組が始まった時のコンセプトからして、どうも好きではなかった。
入れ替えポイントがあって、それが一番多いコンビはせっかくのレギュラーを降ろされてしまう。
MCの濱口さんから度々告げられる「お前らみたいな若手芸人の代わりはいくらでもいる」といったような言葉や、
若手芸人ならこうされるのが当たり前だと言わんばかりの雑な扱いの数々。
一応、きちんと述べておきたいのが、私はトリオさん同様にバチエレのスタッフさん達には本当に感謝しているし、
番組が進んでいくにつれ、それぞれのコンビの特色を生かそうとしてくれている愛も本当に感じられた。
(そもそも私が今こんなにさらば青春の光にハマってしまったのは、バチエレの前身であるロケットライブの影響が多分にあります。その面でも感謝は尽きない。)
だからこそ、人気投票の結果が入れ替えの順位に大きく響いてくるとか、
偉い人に必死で頭を下げて番組の復活を願っている感じとか、
こういう悲壮感あるやり方で話題を作って、人の興味を引きつけなければいけないのが残念だった。
そして今一番この同情商法について考えさせられてしまうのが、グランジのDVDについて。
ご存知の方も多いと思いますが、グランジはBESTネタのDVDを発売し、
これが半年で一万枚売れないと、吉本を解雇になってしまうというチャレンジが始まっています。
この話を聞いた時、なんでそんなことしなきゃいけないんだろう、と思ってしまったのが正直なところです。
きっと、普通にDVDを売りだしたって、結構売れるよ。それじゃダメなのかなぁ。
ハッキリ言って、こんなやり方は同情商法だと思います。
私が一番残念だと思うのは、こういうやり方で一万枚を売って、一般の人はどう思うのだろうかということです。
へぇ、話題になってる、面白そう、と思って興味を持ってくれるならいいけれども、
一万枚を売らなければ解雇になってしまうという悲壮感だけが伝わってしまって、受け手が引いてしまったらもったいない。
本来、こういうやり方をしなければ、もっとシンプルにグランジのネタの面白さを楽しめていたかもしれない層を、取り込めないかもしれない。
しかも事務所解雇って、やりすぎじゃない?
あと、このチャレンジが失敗したら、担当の社員さんも一緒に解雇されてしまうという事実に、ちょっと引いてしまうんだけど…。
それがエンターテイメントになるとは思えないよ。
インターネットが発達して、個人個人が様々なメディアにアクセスできるようになり、趣味が細分化した今の時代に、
「国民的人気者」が誕生するのがいかに難しいかというのは、わかっているつもりです。
だから、視聴者を増やそう、DVDの購入者を増やそうとしても、
まずお笑いに興味を持ってくれてる人、という全体のパイを広げなければいけなくて、そこが難しい。
みんな忙しい。お金も続かない。
だからそれぞれの分野を見るだけで精一杯。
例えば私は音楽に本当に疎いのですが、音楽のジャンルで、今どんな新しいバンドが出ているのかということは、
なかなか自分が能動的に情報を取りに行かないとわからないから、
お笑い畑でずっと育ってきた私には、それを取りに行く時間もない、というか、その情報を取りに行く方法もわからない。
きっと同じことが、色んなジャンルで起こっていて、他のジャンルのファンの方から見れば、お笑い界に対して上記に述べた私の状況と同じなんだろうなと。
そういう人を引き付けるには、やはり大きな話題を起こさないといけない。受け身な人のところにも届くくらいの。
しかもネガティブでセンシティブな方が、興味は沸く。
だから同情商法的なやり方が広まっている。
でも、そういうやり方をして、お笑いファン以外の人達は一体、本当に興味を持ってくれるのでしょうか。
グランジのところにも少し書きましたが、こういう同情商法が興味をもたらすならいいけれども、
ここまでしても、受け身の人達にその情報が実際に届いているのかは疑問です。
だからその次に考えなければいけないのは、元々のファンの人達への影響。
「あなたが投票してくれないとレギュラー終わるよ!」「あなたが買ってくれないと解雇されるよ!」という事態に感化され、
頑張って応援をするけれども、個人個人にできることは限られている。
一人でDVDを100枚も200枚も買うわけにはいかないし。
そうなると、元々のファンの人達の間に、
「私はこの芸人さんがいなきゃダメなのに、私には何もできないんだ」という無力感を漂わせ、
むやみに疲弊させていってしまうのではないかと思うのです。
芸人も、関係者も、ファンも、みんな疲弊して、
その先に一体どれくらいの効果が生まれるのだろう。
私は以前から同情商法に対して、うまく言えない嫌悪感があったんですけれども、
それをなんとか言葉にまとめると、こういうことだったのかなと思います。
「あなたが見てくれないと番組終わるよ!」
「あなたが来てくれないとこのライブ終わるよ!」
「あなたが投票してくれないと好きな芸人がレギュラー落ちするよ!」
「あなたが買ってくれないと解雇されるよ!」
こうではなくて、こうではなくて……
不安や同情を誘って視聴率や動員数や売り上げ数を上げようとするのではなくて、
好きだというポジティブな気持ちが、
この人達がいなくちゃダメなんだ、大好きなんだという真っすぐな気持ちが、
大きなムーブメントを起こせるような方法は、
どこかに、ないのでしょうか。
「純粋にネタの面白さで評価されてほしい」などという言葉が、もはや頭の中お花畑な考え方だとはわかっています。
だって、面白い芸人さんいっぱいいるんだもん。みんな面白いんだもん。
みんな面白いのにその年に「チャンピオン」や「ファイナリスト」という称号を獲得できるのは、漫才・コント・ピン芸それぞれわずかで、
その枠に入れないとなかなか次のステージに行かせてもらえないんだもん、だからみんな大変。
同情商法をせざるを得ない現状はわかっている。
だけど私は、お花畑でも、この考えをずっと大事にしていきたいなと思っています。
どうせ同情商法をしたって、元々ファンだった人間に出来ることなんてそんなに大きくないからさ、
それなら、自分の信念を曲げずに行きたい。
余談ですが、そうやって同情商法が苦手な私が、このタイミングで好きになったのがあのコンビだというのも、何の因果かと思ってしまいます(笑)
金と女で問題を起こして事務所をやめたと言われ(本当はそうじゃないみたいだけどね)、
Yahooのコメント欄で救いようがないほど叩かれた人達。
きつい言い方をすれば、何の同情の余地もないよね。
「事務所やめたら全部自分達でやらなければいけない」とか言ったって、
そりゃそうでしょ、大変ならやめなきゃよかったじゃん、と思われたら終わり。
それで同情を引ける場合もあるかもしれないけど、多くの人は「自分達が決めたことなんだから」と突き放すと思う。
彼らには同情商法ができない。
……あっ、いくら同情商法が苦手な私でも、別にここまでやってほしいと思っていたわけでは、ないんですよ…(苦笑)
でも、そんな彼らだからこそ、自分達の面白さだけで勝負するしかない。それ以外の方法はない。
まだしばらく干される日々は続くんでしょうけど、
でも、何か新しい方法で、誰も行ったことのない道を行ってほしいな、やり切ってほしいなと思います。
長々と、同情商法への思うところを書いてきてしまいましたが、
偉そうに言いやがって、じゃあお前には何か新しく売りだす策があるのかと言われたら、わからないですというのが本音です。
それでもやっぱり、純粋に好きだっていうポジティブな気持ちが、何よりも大事にされる世の中であってほしい。
そのために私は、大して価値があるブログでもありませんけれども、
来年もこの場所から、好きな人への愛を叫び続けます。
いつか、何かのきっかけでお笑い界に興味を持ってくれた、あなたのところへ届くように。
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