僕が初めてパーマをかけたのは
町のはずれにある
おばさんが一人でやっている
あまり盛っていない美容室でした
当然 男が来るのなんて初めてで
行ったらびっくりされました
「どうするの?」と聞かれて..
「パーマをかけてください。」
すると仕上がりは見事な
結婚式に出られそうな 'おばさんの頭'
公園のベンチで昼寝をしていたら
子供が「'おばさんが寝てるね'」と言いました
僕は急いで部屋へ帰って
髪を洗うと 今度はクルクルにカールして
翌日 会社へ行ったら
「お前の頭は'モズの巣'だな」と言われました
それでも僕はその髪型がとても気に入っていて
自由への第一歩を踏み出した気がしていました
☆****☆
二十歳の春、
テレビもラジオもないアパートの部屋で
いつもギターを弾いていました
「うるさい。」と怒られながら
それでも楽しかったあの頃、
若かったんですね
☆****☆
アパートを出る前の夜
隣の大学生にカーテンと米をあげてしまって
よく考えたらその夜食べるものがなくて
今更「返して」とは言えないし
空腹で水を飲んで寝ていました
買ったばかりの靴を盗まれたり
風邪て高熱が出て
薬がなくて三日間 お湯ばかり飲んでいました
熱が下がった朝に、
カーテンを開けたときの光のまぶしさは忘れられません
部屋代 3500円のアパート
六畳一間のあの部屋は僕の青春でした