年収200万円以下1000万人超 赤旗日刊紙2011年9月20日(火)
給与所得者、5年連続で
年収200万円以下の給与所得者が5年連続で1000万人を超えていることが、国税庁の民間給与実態統計調査から分かりました。
同調査によると、2010年の1年を通じて勤務した給与所得者は4552万人。うち年収200万円以下は1045万人で全体の22・9%を占めました。とくに女性は42・7%にのぼりました。
男女あわせて1000万人を初めて突破したのは06年。小泉自民・公明内閣(01年発足)が推進した「構造改革」のもとで派遣労働者の製造現場への派遣解禁(04年施行)などによって、賃金が安い非正規社員の割合が増加。大企業は正社員の非正規社員への置き換えを進め、人件費抑制によって収益の改善・増加をはかりました。働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」の増大が社会問題となりました。
08年秋、米証券大手が破綻したリーマンショック後、大企業のリストラ・人件費抑制は強まり、年収200万円以下の給与所得者は09年に1100万人に迫りました。政権が交代し、09年秋に民主党政権が誕生した後も、賃金を抑える傾向は変わっていません。
非正社員 最多の38・7%
企業が人件費を抑制
厚生労働省が29日発表した『就業形態の多様化に関する総合実態調査』(2010年10月時点)によると、全労働者のうちパートタイムや契約社員など非正社員の割合は38・7%ととなり、過去最高を更新しました。企業の人件費抑制によるもので、07年の前回調査(37・8%)から0・9ポイント上昇。厚労省は「景気の影響で非正社員の比率上昇はしばらく続くのではないか」とみています。
調査は従業員5人以上の1万6886事業所とその従業員5万1152人を対象に実施。(有効回答率は事業所61・7%、従業員64・7%)非正社員の割合は1987年の調査開始以来、一貫して上昇を続けています。
非正社員のうち、最も多いパートタイムは全労働者の22・9%と、前回から0・4ポイント上昇。契約社員は0・7ポイント上昇して3・5%、嘱託社員は0・6ポイント上昇して2・4%となりました。
派遣労働者は3・0%と、リーマン・ショック後の雇い止めの影響で1・7ポイント低下しました。
非正社員を雇う理由(複数回答)は「賃金の節約」が43・8%(前回40・8%)でトップでした。
労働者の解雇 には厳しい制限があります
質問
登録派遣で6ヵ月契約を5回更新しましたが、次回は更新しないと言われました。友達は契約途中で解雇、別の正社員の友達は人員が多いという理由で解雇されました。従うしかないのでしょうか。
回答
対処方法はありますよ。正当で合理的な理由のない解雇は認められません。あなたのように契約更新を何回も繰り返している場合、次回の更新を拒否することを『雇い止め』といいます。
何回も更新すると期待権が発生
こうした『雇い止め』には、解雇に関する法律が類推適用される場合があります。適用される場合は、①実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態にある場合、②更新に対する合理的な期待がある場合。つまり、これまで何回も更新してきたのだから次回も更新されるだろうという期待をもちますよね。こうした場合は、『期待権』という権利が発生していると判断されます。解雇に関し労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効である」と定めています。あなたの友達の契約期間途中解雇の場合も、労働契約法第17条1項で「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がないときは、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と定めています。
整理解雇には4つの要件が必要
人員が多いという理由の解雇を『整理解雇』といいます。整理解雇をする場合には、4つの要件が満たされていなければ認められません。(整理解雇の4要件)。第1、人員削減の必要性が存在すること。第2、解雇を回避するための努力が尽くされていること。第3、解雇される者の選定基準および選定が合理的であること。第4、事前に説明、協議義務を尽くしたことです。
雇い止め・解雇への対処法
このように、雇止め・解雇には厳しい制限があります。それでは対処方法ですが、雇い止め・解雇の場合は、労働審判制度の活用があります。迅速な解決が期待できます。また、通常の裁判提訴もできます。どちらを選択するかは弁護士と状況判断のうえ決めることになります。整理解雇についても、裁判手続きが必要となります。整理解雇の場合は、とくに4つの要件を満たしているのかどうか調べることが重要です。①本当に経営が悪化しているか、収支や借入金の状態、資産状況、人件費、役員報酬支給の動向、新規採用など人員動向、業務量、株式配当など。②経費削減、新規採用の停止、労働時間の短縮や賃金カット、配転、出向、一時帰休、希望退職募集など。③解雇者の選定が客観的な基準に基づき公正に適用されているか。④労働者に対し、整理解雇の必要性とその内容および補償内容等について納得を得るために説明したか、労働組合がある場合には、誠実に協議が行われたかなど。こうした調査による資料が裁判審理に影響をあたえます。裁判手続きとは別の方法として個人加入の労働組合に加入して、解雇制限の法律等を駆使して団体交渉による解決を求めることもできます。
●こんな解雇は直接、法律で禁止されている
①解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。労働契約法16条
②業務上の負傷または疾病の療養期間中とその後の30日間、出産休暇で休業する期間とその後の30日間の解雇 労働基準法19条
③労働者の国籍・信条または社会的身分を理由とする解雇 労働基準法3条
④監督機関に使用者の労働基準法違反の事実を申告したことを理由とする解雇 労働基準法104条
⑤有給休暇を取得した理由とする解雇 労働基準法136条
⑥女性の婚姻・妊娠・出産、そのための休業を理由とした解雇 雇用機会均等法9条
⑦育児・子どもの看護・介護の休暇を理由とした解雇 育児・介護休業法10・16条
⑧労働組合員であることや組合に加入・結成しようとしたことなどを理由とする解雇 労働組合法7条
⑨内部告発(公益通報)したことを理由とした解雇 公益通報者保護法3条
⑩以上のほか、公序良俗に反する場合や解雇権濫用による解雇 民法1・90条
(おわり)
読んでもらえればわかるように、一人で不当解雇と戦うことは容易ではありません。使用者側に観念論的な責任を期待するのではなく、団結して戦いましょう。そうすることで、自分だけではなく、労働者全体、子ども、孫、その次の世代へと繋がっていきます。
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給与所得者、5年連続で
年収200万円以下の給与所得者が5年連続で1000万人を超えていることが、国税庁の民間給与実態統計調査から分かりました。
同調査によると、2010年の1年を通じて勤務した給与所得者は4552万人。うち年収200万円以下は1045万人で全体の22・9%を占めました。とくに女性は42・7%にのぼりました。
男女あわせて1000万人を初めて突破したのは06年。小泉自民・公明内閣(01年発足)が推進した「構造改革」のもとで派遣労働者の製造現場への派遣解禁(04年施行)などによって、賃金が安い非正規社員の割合が増加。大企業は正社員の非正規社員への置き換えを進め、人件費抑制によって収益の改善・増加をはかりました。働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」の増大が社会問題となりました。
08年秋、米証券大手が破綻したリーマンショック後、大企業のリストラ・人件費抑制は強まり、年収200万円以下の給与所得者は09年に1100万人に迫りました。政権が交代し、09年秋に民主党政権が誕生した後も、賃金を抑える傾向は変わっていません。
非正社員 最多の38・7%
企業が人件費を抑制
厚生労働省が29日発表した『就業形態の多様化に関する総合実態調査』(2010年10月時点)によると、全労働者のうちパートタイムや契約社員など非正社員の割合は38・7%ととなり、過去最高を更新しました。企業の人件費抑制によるもので、07年の前回調査(37・8%)から0・9ポイント上昇。厚労省は「景気の影響で非正社員の比率上昇はしばらく続くのではないか」とみています。
調査は従業員5人以上の1万6886事業所とその従業員5万1152人を対象に実施。(有効回答率は事業所61・7%、従業員64・7%)非正社員の割合は1987年の調査開始以来、一貫して上昇を続けています。
非正社員のうち、最も多いパートタイムは全労働者の22・9%と、前回から0・4ポイント上昇。契約社員は0・7ポイント上昇して3・5%、嘱託社員は0・6ポイント上昇して2・4%となりました。
派遣労働者は3・0%と、リーマン・ショック後の雇い止めの影響で1・7ポイント低下しました。
非正社員を雇う理由(複数回答)は「賃金の節約」が43・8%(前回40・8%)でトップでした。
労働者の解雇 には厳しい制限があります
質問
登録派遣で6ヵ月契約を5回更新しましたが、次回は更新しないと言われました。友達は契約途中で解雇、別の正社員の友達は人員が多いという理由で解雇されました。従うしかないのでしょうか。
回答
対処方法はありますよ。正当で合理的な理由のない解雇は認められません。あなたのように契約更新を何回も繰り返している場合、次回の更新を拒否することを『雇い止め』といいます。
何回も更新すると期待権が発生
こうした『雇い止め』には、解雇に関する法律が類推適用される場合があります。適用される場合は、①実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態にある場合、②更新に対する合理的な期待がある場合。つまり、これまで何回も更新してきたのだから次回も更新されるだろうという期待をもちますよね。こうした場合は、『期待権』という権利が発生していると判断されます。解雇に関し労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効である」と定めています。あなたの友達の契約期間途中解雇の場合も、労働契約法第17条1項で「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がないときは、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と定めています。
整理解雇には4つの要件が必要
人員が多いという理由の解雇を『整理解雇』といいます。整理解雇をする場合には、4つの要件が満たされていなければ認められません。(整理解雇の4要件)。第1、人員削減の必要性が存在すること。第2、解雇を回避するための努力が尽くされていること。第3、解雇される者の選定基準および選定が合理的であること。第4、事前に説明、協議義務を尽くしたことです。
雇い止め・解雇への対処法
このように、雇止め・解雇には厳しい制限があります。それでは対処方法ですが、雇い止め・解雇の場合は、労働審判制度の活用があります。迅速な解決が期待できます。また、通常の裁判提訴もできます。どちらを選択するかは弁護士と状況判断のうえ決めることになります。整理解雇についても、裁判手続きが必要となります。整理解雇の場合は、とくに4つの要件を満たしているのかどうか調べることが重要です。①本当に経営が悪化しているか、収支や借入金の状態、資産状況、人件費、役員報酬支給の動向、新規採用など人員動向、業務量、株式配当など。②経費削減、新規採用の停止、労働時間の短縮や賃金カット、配転、出向、一時帰休、希望退職募集など。③解雇者の選定が客観的な基準に基づき公正に適用されているか。④労働者に対し、整理解雇の必要性とその内容および補償内容等について納得を得るために説明したか、労働組合がある場合には、誠実に協議が行われたかなど。こうした調査による資料が裁判審理に影響をあたえます。裁判手続きとは別の方法として個人加入の労働組合に加入して、解雇制限の法律等を駆使して団体交渉による解決を求めることもできます。
●こんな解雇は直接、法律で禁止されている
①解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。労働契約法16条
②業務上の負傷または疾病の療養期間中とその後の30日間、出産休暇で休業する期間とその後の30日間の解雇 労働基準法19条
③労働者の国籍・信条または社会的身分を理由とする解雇 労働基準法3条
④監督機関に使用者の労働基準法違反の事実を申告したことを理由とする解雇 労働基準法104条
⑤有給休暇を取得した理由とする解雇 労働基準法136条
⑥女性の婚姻・妊娠・出産、そのための休業を理由とした解雇 雇用機会均等法9条
⑦育児・子どもの看護・介護の休暇を理由とした解雇 育児・介護休業法10・16条
⑧労働組合員であることや組合に加入・結成しようとしたことなどを理由とする解雇 労働組合法7条
⑨内部告発(公益通報)したことを理由とした解雇 公益通報者保護法3条
⑩以上のほか、公序良俗に反する場合や解雇権濫用による解雇 民法1・90条
(おわり)
読んでもらえればわかるように、一人で不当解雇と戦うことは容易ではありません。使用者側に観念論的な責任を期待するのではなく、団結して戦いましょう。そうすることで、自分だけではなく、労働者全体、子ども、孫、その次の世代へと繋がっていきます。
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