Chopin-Berceuse(Lullaby)
税収不足を借金で しんぶん赤旗2011年12月27日(火)
「国債は国の借金です。戦後、発行され始めたのは
1965年度です。歳出の規模が増えるにつれて税収で賄えない部分が出てきたためです」 と財務省の担当者は説明します。
2012年度政府予算案(一般会計)では歳入の49%を国債で賄っています。
国債は発行の根拠となる法律によっていくつかの種類に分かれます。新しい財源を調達するための国債には
建設国債と特例国債があります。
建設国債は66年度から財政法に基づいて発行されています。
公共事業費などに当てられます。
特例国債は赤字国債とも呼ばれ、
財政不足を賄うため例外的に発行される国債です。 毎回、特例国債法を国会で制定する必要があります。
65年度に始めて発行され、
75年度から発行が本格化しました。
他に特定の歳出のため
特別に発行される国債があります。東日本大震災復興事業のため、復興財源確保法に基づいて発行されている
「復興債」がそうです。
建設国債、特例国債、復興債とも税収などによって利子を払い、償還(返済)します。満期になったら元本が戻ってきます。
12年度予算で基礎年金の国庫負担引き上げの財源に当てられる交付国債は、現金の代わりに発行する債権です。利子が付かず、発行するとき予算に計上されません。
大半は入札で消化
国債の大半は公募入札で消化されます。入札に参加するのはほとんどがプライマリー・ディーラーと呼ばれる大手の銀行・証券会社25社です。落札されたこくさいは顧客に販売され、市場で売り買いされます。
市場といっても決まった場所があるわけではなく、主流は証券会社の店頭販売です。証券取引所にも国債が上場されています。市場の利子率などによって価格が変動するので、満期前に途中で売却すると、損得が発生します。
個人向け国債は銀行や郵便局で委託販売され、個人が窓口で買うことができます。
国内金融機関保有
ギリシャでは国債の償還が危ぶまれています。国の借金がたまり過ぎて返済できない事態です。国債の価格は下がっています。
日本では国債の大量発行で長期債務残高は国と地方合わせて11年度末には894兆円、国内総生産(GDP)比185%に達する見通しです。大丈夫でしょうか。
金子貞吉・中央大学名誉教授は「日本では国内の金融機関が国債を大量に保有しています。借換債を発行して国債が消化される仕組みを作っています。その機能が今急に破綻することはありません」といいます。
「日本では超低金利。安全な国債で運用すれば1%ほどの運用益でも利益があります。金融機関が資金を必要とするときは日銀が国債を買い取ってくれます」
では問題ないのでしょうか?
「国債の発行残高が増え続けることは問題です。最終的に国内でどれだけの国債を保有できるかは国民の貯蓄力によります。現在それが低下しているので、長期的には安全といえません」
そうならないためには
軍事費や大型開発、原発関連予算など歳出の無駄にメスを入れ、富裕層や大企業に応分の負担をさせて財政を転換することが必要です。
「消費税の増税は消費需要を減らし、国民生活に大きなマイナスとなります。雇用と消費需要を伸ばす政策が必要です」と金子名誉教授は指摘します。