我 老境に入れり

日々の出来事をエッセイと写真でつづる

「日本の心」(2)荒城の月

2023-04-19 16:04:43 | うたごえ、カラオケ、他音楽

「伝え続けたい日本の心」と題する本が

友人のKさんから送られてきたことは前に書いた、

内容は産業界の一線で活躍するN氏(ダイキン工業)が

仕事の合間を縫って今日なお歌い継がれている

唱歌や童謡の作られた背景を訪ね歩いた

全16曲の記録である、

 

ここで最初に取り上げるのは

「荒城の月」 作詞:土井晩翠、 作曲:滝廉太郎

であることは知られている、

滝廉太郎は大分県竹田市の出身、

岡城で知られた美しい石垣の城跡がある、

作曲当時

廉太郎は若くして東京音楽学校の助教授、

他に「箱根八里」や「お正月」等も発表した

21才の新進気鋭

一方土井晩翠は宮城県仙台市の出身、

詩集「天地有情」等を発表し

島崎藤村と並んで美文調の詩人として

注目されていた、

仙台は伊達藩62万石の大大名で青葉城を有していた、

だがどちらも天守閣などの建物は残っておらず

石垣に往時を偲ぶばかりである、

これが一層抒情性を掻き立てて

晩翠の漢文調の詩になったとされている、

なお 世に出る切っ掛けとなったのは

晩翠の詩に感動した廉太郎がこれに曲をつけて

当時文部省が公募していた中学唱歌に応募して

優秀作として採用され世に出た経緯を持つ、

❝はる高楼の 花の宴

 めぐる盃 影さして

 千代の松が枝 わけ出でし

 昔の光 今いずこ❞

詩の背景に

芭蕉の❝夏草や兵どもが夢の跡❞

杜甫の❝国破れて山河在り

   城春にして草木ふかし❞

を指摘する者多々あり。

             岡城址に立つ滝廉太郎像