「伝え続けたい日本の心」と題する本が
友人のKさんから送られてきたことは前に書いた、
内容は産業界の一線で活躍するN氏(ダイキン工業)が
仕事の合間を縫って今日なお歌い継がれている
唱歌や童謡の作られた背景を訪ね歩いた
全16曲の記録である、
ここで最初に取り上げるのは
「荒城の月」 作詞:土井晩翠、 作曲:滝廉太郎
であることは知られている、
滝廉太郎は大分県竹田市の出身、
岡城で知られた美しい石垣の城跡がある、
作曲当時
廉太郎は若くして東京音楽学校の助教授、
他に「箱根八里」や「お正月」等も発表した
21才の新進気鋭
一方土井晩翠は宮城県仙台市の出身、
詩集「天地有情」等を発表し
島崎藤村と並んで美文調の詩人として
注目されていた、
仙台は伊達藩62万石の大大名で青葉城を有していた、
だがどちらも天守閣などの建物は残っておらず
石垣に往時を偲ぶばかりである、
これが一層抒情性を掻き立てて
晩翠の漢文調の詩になったとされている、
なお 世に出る切っ掛けとなったのは
晩翠の詩に感動した廉太郎がこれに曲をつけて
当時文部省が公募していた中学唱歌に応募して
優秀作として採用され世に出た経緯を持つ、
❝はる高楼の 花の宴
めぐる盃 影さして
千代の松が枝 わけ出でし
昔の光 今いずこ❞
詩の背景に
芭蕉の❝夏草や兵どもが夢の跡❞
杜甫の❝国破れて山河在り
城春にして草木ふかし❞
を指摘する者多々あり。
岡城址に立つ滝廉太郎像