我 老境に入れり

日々の出来事をエッセイと写真でつづる

「日本の心」(3)赤とんぼ

2023-04-23 06:13:31 | うたごえ、カラオケ、他音楽

童謡の「赤とんぼ」は唱歌の「故郷」と並んで

日本人の幾世代にも亘って歌い継がれている歌であろう、

この二つは庶民にとって国歌にも匹敵する、

ここでは「赤とんぼ」の出自を探っていきたい、

作詞は詩人の三木露風、

作曲は当時人気ナンバーワンの山田耕筰、

大正10年三木露風は函館のトラピスト修道院に

国語の講師として招かれていた、

その年のある秋の夕暮れに修道院の窓を開けて

外を眺めていた時に目の前に一匹の赤とんぼが

飛んできたのを見てふるさと播州龍野を思い出し

この詩をまとめたと言われている、

この詩を目にした山田耕筰が曲をつけ

昭和二年に「山田耕筰童謡100選」に纏めて

世に出した、

❝夕焼け小焼けの あかとんぼ

 負われて見たのは いつの日か

 山の畑の 桑の実を

 小籠に摘んだのは まぼろしか

 十五でねえやは 嫁に行き

 お里のたよりも 絶えはてた

 夕焼け小焼けの 赤とんぼ

 とまっているよ 竿の先❞

 

詩の中の一節に

❝負われて見たのは❞とあるが

 負われたのは母か姉やかとよく聞かれたと言う、

 露風は幼くして母とは生き別れた環境に育ち

 姉やの背だと答えたと言う、

幼少期を歌いながら詩の中に

母の文字を見ないのが一層郷愁を誘う。