ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

ちょっと期待外れのフュリオサ

2024年09月19日 | アフター・アワーズ
ジョージ•ミラー監督「マッドマックス フュリオサ」は、前作の「怒りのデスロード」が傑作だっただけにかなり期待したのだが、前作の実写にこだわった破天荒なカーアクションとひたすら移動という単純な行為に徹した映像に比べると、CGの作りものの多用やフュリオサの成長物語としての無駄な説明が多くなった分、退屈で2時間半は長かった。手の内はデスロードで出尽くした感じではあった。
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蛇の道はヘビー

2024年09月19日 | アフター・アワーズ
ゆるい坂道をはさんで両脇にアパルトマンが立ち並び、道路脇に車が無造作に駐車されている。そのシンメトリーの道路の真ん中に背を向けてたたずむ一人の女(柴崎コウ)を俯瞰で捉えたカメラがゆっくりと下降していくと、女は反転してカメラの方に歩いて来る。バストショットくらいまでに近づいたとき、カメラは停止し、女はこちら側にいる誰かに「やるのかやらないのか」と強く問う。
黒沢清監督「蛇の道」のファーストシーンは、この滑らかなクレーン撮影で始まり、ここでようやくカメラが切り替わり横向きの男(ダミアン・ボナール)をとらえる。次のショットで再び女の顔に切り替わるのだが、2人の視線の一致は感じられない。ようやく車を間にして2人が向き合っているショットになり、ここではじめてこの男女が向き合って話していたことが分かる。まるでブレッソンのようなカットワークにこの2人が決して相容れないが、何かを企んでいる関係であることを暗示させる見事な冒頭シーンだと言える。この冒頭シーンだけでも今年の日本映画(かどうかわわからないが)ベスト5に入ると思う。
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ミッレミリアのレースシーンがすごいフェラーリ

2024年09月19日 | 映画
フェラーリ社が倒産の危機にあった1957年、起死回生の大博打としてイタリア縦断レースミッレミリアに参戦し、見事に優勝した時の実話を元に、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリ(アダム・ドライバー)の経営者、技術者、夫、愛人を持つ男としての多面性を、マイケル・マン監督「フェラーリ」は、マン監督お得意の複数ドラマの同時進行という手法で描く。とりわけ愛人の存在が発覚し、妻ラウラ(ペネロぺ・クルス)に詰問されるシーンは、手前にエンツォ、奥にラウラの2人の顔をとらえ、それぞれ話をする方へピントを合わせることで、2人の断絶の深さを表現し、その後ミッレミリア参戦を決め経営の挽回を図ることに共同経営者の妻が同意したときは、2人が向かい合って話すショットで表すなど粋な演出をする。フェラーリやマセラティ、フォード、ベンツなど当時のレース車を再現し、実際にイタリアの街中を走らせるレースシーンは圧巻で、スピード感とホンモノ感がすごい。さすがマン監督である。車好きは必見。間違いなく今年の洋画ベスト5に入ると断言しておこう。
それにしてもアダム・ドライバーは、ジム・ジャームシュ、デビッド・ロウリーといったインデペンデント系からもマイケル・マンやコッポラといった巨匠にまで寵愛されるのがすごい。グッチもフェラーリも演じているし変幻自在な俳優である。
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