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ゆるい坂道をはさんで両脇にアパルトマンが立ち並び、道路脇に車が無造作に駐車されている。そのシンメトリーの道路の真ん中に背を向けてたたずむ一人の女(柴崎コウ)を俯瞰で捉えたカメラがゆっくりと下降していくと、女は反転してカメラの方に歩いて来る。バストショットくらいまでに近づいたとき、カメラは停止し、女はこちら側にいる誰かに「やるのかやらないのか」と強く問う。
黒沢清監督「蛇の道」のファーストシーンは、この滑らかなクレーン撮影で始まり、ここでようやくカメラが切り替わり横向きの男(ダミアン・ボナール)をとらえる。次のショットで再び女の顔に切り替わるのだが、2人の視線の一致は感じられない。ようやく車を間にして2人が向き合っているショットになり、ここではじめてこの男女が向き合って話していたことが分かる。まるでブレッソンのようなカットワークにこの2人が決して相容れないが、何かを企んでいる関係であることを暗示させる見事な冒頭シーンだと言える。この冒頭シーンだけでも今年の日本映画(かどうかわわからないが)ベスト5に入ると思う。
黒沢清監督「蛇の道」のファーストシーンは、この滑らかなクレーン撮影で始まり、ここでようやくカメラが切り替わり横向きの男(ダミアン・ボナール)をとらえる。次のショットで再び女の顔に切り替わるのだが、2人の視線の一致は感じられない。ようやく車を間にして2人が向き合っているショットになり、ここではじめてこの男女が向き合って話していたことが分かる。まるでブレッソンのようなカットワークにこの2人が決して相容れないが、何かを企んでいる関係であることを暗示させる見事な冒頭シーンだと言える。この冒頭シーンだけでも今年の日本映画(かどうかわわからないが)ベスト5に入ると思う。
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