晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「償い」矢口敦子著 読了。

2008年08月19日 12時29分10秒 | 趣味
「償い」という題名から恋愛小説と思われるかもしれませんが、ミステリーです。

家庭を顧みず、幼い息子を死なせてしまった脳外科医は、大学病院を追われ妻に自殺され、自ら普通名詞の男として野宿者となった。
自分の犯した罪の意識にさいなまれ、流れ着いた場所で、若き日に誘拐犯から命を救った少年と出会う。
その少年の存在だけが男の希望となる。
その町で起こる連続殺人事件とも思われる事件。
人の心が泣いているのが聞こえるという少年。
男は少年が殺人犯ではないかと疑い始める。
自分が少年を救ったために、今、何人もの人の命が奪われているのではないか・・・
男は真相を知るために動き出す。

こうして男は普通名詞の男から「日高栄介」という名に戻っていきます。
少年「真人」は自分が生きていてもいいのだと、自分を大切に思ってくれている人がいるということを知り、永年の呪縛から解き放たれます。(解き放たれたかな?)

真人の中に巣くっているどうしようもない悲しみや、孤独がにじみ出てきて、胸がざわつきました。
優しい心を持っているがために、不幸な心の人に強く共鳴してしまうのです。
なかなか、読んでいて苦しい展開ではありましたが、最後がね、いい感じだからね。救われたよ。

しかし、警察はこんなことはしないだろ!っと突っ込みたくなったのも事実です。
あんなに虚無的だった男が「日高」に戻るのも早い気がしたしなあ。

私的には ○○△~○○○の間くらいです。


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