晴れときどき風

ノンキな主婦が時に風に吹かれながら送る平凡な毎日。

「六の宮の姫君」読了。

2009年10月30日 22時26分32秒 | 趣味
北村薫さんの、ご存知、女子大生と落語家さんのシリーズ。

でも、今まで読んだ3作(「空飛ぶ馬」「夜の蝉」「秋の花」)とは、ちょっと手触りが違う。
今までも、このシリーズでは謎と言っても大仰なものではない、日常の謎を追っていましたが、この本では芥川龍之介が自著「六の宮の姫君」について発した言葉の謎を追って行くのです。

「あれは玉突きだね。・・・いやというよりはキャッチボールだ。」

この言葉の真意を探るための旅。

それを探るため「私」はいろいろな文献をあさる。

それこそ文豪のオンパレードです。

一読したことのある人。
教科書でしか接したことの無い人。
名前しか知らない人。
初めて聞いた人。

芥川と菊池寛の、交友と確執は知ってはいた。
二人の友好。文学の差。
文芸春秋に死の直前に会いに来てくれた芥川と会えなかった事を菊池が悔やんでいたこと。
それくらい。

正直、菊池寛の作品は書名こそ知ってはいるけど読んではいない。


その数々の文豪の残した物を縦横無尽に駆使し本書は展開する。


本書の中で「私」は自分の事を「浅学非才」と述べているが、
だとしたら私は白痴だろう。

これは小説だろうか・・・
自分の研究の発表だろうか・・・

でも、読み物としてもとても面白い。

この本のために北村さんはこれだけ勉強したのか・・


その謎は後書きで解けた。


しかし



これだけ整理された文章。
私は、前3作を読んではいるけれど、この描写から浮かび上がってくる人物が陽炎のようだ。
あまり血肉が通っているようには伝わってこない。
育ちがよく、優等生で博学で性格が良く。

そして父親の書庫ですか。

本を読まない親の元に育った私んちには、親戚から貰った「アンデルセン童話全集」しかなかったので、僻みかもしれません。(思えば今でも、私の身内に本を読む人はほとんどいない。涙)

指南役の円紫師匠も今回はなんだかな・・・


しかし、この本はやっぱり面白く、
「つながり」ということを強く意識させてくれました。

「六の宮の姫君」のように・・・

っとネタバレになりそうです。(笑)


ともかく、誰かが表現したものなどを感じ、影響を受けながら、私たちはまた表現していくのです。

そして、私たちが残していく物は、何千年、何年前かの誰かと繋がっていて、何年後、何千年後の人たちに受け渡されていくのです。


以上。自分にとっては難しい作品だから、感想も的を得ていないかもしれません。
あしからず。


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2 コメント

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ゆきさん。 (すず)
2009-11-04 16:45:07
読んでみてください。
このシリーズ。
優しい文章ですよ。

本当に、私達も無意識のうちに誰かの影響を受け、こうして文を綴っているんですよね。
そうやって、いろんなものが遠い遠いところまで受け渡されてゆく。
表現するって、すごい事だね。
文章も、音も、絵も。
お料理や、工芸や、いろんなものも。
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ふむふむ。 (ゆき)
2009-11-04 11:57:23
興味深く読ませていただきました。
まずは「空飛ぶ馬」から歩いてみたいと思います♪

影響を受けたものを、またつなげていく感じ、好きです。
ほんと、何千年とか、残るものは残っていくはずですものね。

すずさんの感想はネタバレなしなのに、
毎回私をそそりますー(笑)
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