「野里町歩紀 ~思いつくままに~」

野里町歩紀 ~摂河泉をゆく~ に次ぐ第二歩です

神戸9区を歩く~湯乃山街道、淡河宿から有馬の湯を目指す「北区」

2022-07-24 00:44:13 | 日記
訪問日:令和4年7月23日(土)
出 発:神姫バス「淡河本町バス停」
到 着:阪急バス「有馬温泉バス停」

 「北区」は六甲山地の北に広がり神戸市最大の面積を有するが、最近になって開発された大規模ニュータウンの他は「山地」で、その間に日本の「原風景」が広がる。つまり「田舎」だ。とても全域は歩けないので、どこを歩こうかと考えた末、区のほぼ中央を東西に横切る「県道38号線」に沿って歩くことにした。この道は、羽柴秀吉の時代、寝返った別所家を攻めるため戦った「三木合戦」の際、拠点となった「三木」から「有馬温泉」までの作戦行動や戦傷者の湯治のために開かれたと言われる。その後、参勤交代や有馬温泉への湯治客らも利用するようになり「湯乃山街道」と呼ばれるようになった。街道の宿場町「淡河」から有馬温泉を目指す。所々に自販機や商店、コンビニ、公衆トイレがあるものの結構、間隔があるので、こまめに給水・トイレを済まそう。全コース、アップダウンの繰り返しである。


 今日のスタートは神姫バス「淡河本町バス停」。JR大阪駅から三田駅で神姫バスに乗り換えて約1時間30分(1610円)。「淡河(おうご)」と読む。「山陽自動車道」を走っていると「淡河」というパーキングエリアがあるが町に来るのは初めてだ。ここは、神戸市北区淡河町淡河。


 1日数本のローカルバスなので時間選択の余地はなく午前9時4分出発。しかし、最初に訪問する「淡河宿本陣跡」は午前11時オープン。1km四方にも満たないこの小さな宿場町で2時間を費やさなければならない。


 淡河の町は「淡河本町交差点」を中心にして十字に道が走る。バス停は交差点東側の県道38号線上にある。今から歩くコースのイラストマップを添付しておいた。これ手作りなんですよ。


 本陣跡は交差点のすぐ北にあるのだが取りあえず東へ進もう。バス停のすぐ東隣には「満月堂」。


 明治15年創業の和菓子屋さんで何と午前8時から営業していた。ちょっと覗いてみよう。


 お店からさらに400mほど東へ歩けば「淡河大橋」で「淡河川」を渡る。淡河川は六甲山中を水源とし、この先で隣接する三木市内で「志染川」に合流するが、支流の「屏風川」とともに形成された河岸段丘に田畑、集落が開け、その真ん中を県道(街道)が走る。


 橋を渡ってすぐに左折し県道からそれる。淡河小学校を過ぎれば小さな水路を渡る。これは淡河川から水を引いた「淡河疎水」と呼ばれる農業用水だ。


 その先の四つ辻右角には「厄神社」。応神天皇を主祭神とするらしい。(午前9時23分)


 良い雰囲気の氏神様で今日一日の安全を祈願しよう。


 茅葺きの覆い屋にもお社が。「淡河の自然と文化財を護る会」の説明文によると、ここから200mほど西にあった稲荷社が明治40年、ここに移転されたそうだ。


 満月堂で買った名物「豊助(とよすけ)饅頭」(10個648円)でエネルギーチャージ。いわゆる「田舎饅頭」ってやつかな。

 
 神社向かいの「淡河好徳幼稚園」と淡河小学校のプールの間を西へ進む。幼稚園があるということは、まだまだ小さな子どもがいるんだな。


 途中、疎水の向こうに茅葺き屋根の古民家。


 突き当たりで疎水を渡り、坂を下っていくと左右に田園風景が広がる。


 「国道428号線」に突き当たるので左折。橋の上から左を見れば「歳田神社」の鳥居。私は鳥居がある風景が大好きだ。何でもない田畑や集落、海山の風景が鳥居があるだけで随分と雰囲気が変わる。


 橋を渡れば左に淡河宿本陣跡が見えてくるが午前11時オープンなので取りあえず本陣前の四つ角を右に折れる。(午前9時42分)


 この道は湯乃山街道の旧道だ。


 街道らしい雰囲気が残る。


 ただ旧道は250mほどで県道と合流して終わる。


 少し進めばレッカーか重機の事業所向かいに小さな道が見えるので左折しよう。


 4回ほどクランクし、突き当たりを左に曲がれば小さな丘に沿って道が進む。坂を上りきれば、ここにも田園風景。


 すぐ左に「淡河城跡」の案内板。(午前9時53分)


 奥に鳥居と右端に白壁が見える。入って行こう。何だかヘビが出そうな畦道だな。地面を踏みしめながら歩く。ヘビは振動で獣が来たと思い、捕食されるのを避けるため逃げるそうだ。ヘビも人が怖いんだな。そりゃレンジャーに食われたり、漢方にされちゃうからな。


 鳥居の手前を右に曲がる。左に見える淵は淡河城の堀跡らしい。足元にはオタマジャクシから育ったばかりの小さなカエルがたくさん飛び跳ねている。これを狙ってヤマカガシやシマヘビが来るんだよな。


 その先には先ほどの白壁。「竹慶寺跡」といい、かつてこの地を治めていた「淡河家」の廟所で今も代々の墓石が残る。


 横の白壁は真新しいので再建されているのだろうが、「弓狭間」が造られ城壁の雰囲気を醸している。


 目の前は田んぼになっているが「二の丸跡」らしい。


 道を戻り先ほどの鳥居をくぐる。ここは「大手口」だそうだ。


 そして石段を上れば丘の頂上に出る。そこは「本丸跡」。小さな「祠」と「淡河城址碑」が建つ。淡河城はこの地を治めた淡河氏の居城であったが、羽柴秀吉の三木合戦後は有馬氏一万五千石の居城として慶長6(1601)年まで栄えたそうだ。淡河は宿場町であるとともに城下町でもあるのだ。(午前10時)


 本丸跡の奥には稲荷社が祀られている。


 稲荷社の左側を通り抜ければ「天守台跡」。そこには2層の小さな櫓が建つ。ここは地元の方々により歴史公園として整備されているそうだ。


 櫓の横に立てば高さ20mほどの頂上から今歩いた宿場町が一望できる。良い眺めだな。


 そして櫓前の階段を下りれば4~5分で眼下に見える「道の駅」へ行くことができる。


道の駅「淡河」。政令指定都市では初めての道の駅らしい。


売店には地元の野菜などが並ぶ。


 売店は午前10時から開店しているようだが、そば屋さんは午前10時30分からだ(トイレ・駐車場は24時間利用可能)。もう少し時間があるな。(午前10時15分)


 道の駅駐車場から裏を見上げれば淡河城址が見える。


 午前10時30分の開店と同時に「そば処淡竹」へ。随分早めの昼食とする。十割りそばとご飯、小鉢がついた「ざるそば定食」(1000円)を注文。


 早い昼食を終え、午前11時を目指し淡河宿本陣跡へ向かう。5分とかからない。途中、淡河本町交差点の先に茅葺きの古民家。


 朝、西に右折した国道428号線の四つ辻を今度は東に折れる。角には「湯乃山街道淡河宿本陣跡碑」が建つ。


 その横には「淡河村道路元標」。建つというよりは埋まっているという感じだ。前回「西区」を歩いた際、平野村道路元標横の石標に「右淡河宿」と刻まれていたが、ここがそうだ。ちゃんとつながっているんだな。歩紀をしていると、こういうことに感激する。


 淡河宿本陣は宿場町である淡河に参勤交代の大名たちが泊まる宿として江戸時代中期に建てられたそうだ。


 50年以上空き家だったところ、保存会の方々の努力により母屋や土蔵、茶室などを中心に整備・再生され、平成28年にオープンした。




 カフェやレンタルスペースもあり、町おこしの拠点として活用されている。




 保存会の皆さんには頭が下がるな。


 2時間待って10分ほどで見学。何か大病院の診察のようだな。午前11時10分、本陣を出発する。表門を出て左へ進めばすぐに県道38号線と合流する。実は今日歩く湯乃山街道の旧道は、先ほど歩いた道を合わせてこの400mほどだけ。後はほぼ県道に沿って歩くことになる(隣接する三木市内にも旧道が残るそうです)。


 県道と合流すれば朝に立ち寄った満月堂と淡河小学校への分岐を通り過ぎ、淡河川に沿ってどんどん東へ歩く。結構、距離はあるが、この後はそんなに立ち寄るところもなく、ただひたすら歩くことになるので時間的には大丈夫だろう。


 駐在所を過ぎて少し歩けば右に「スーパーおうご」。外にトイレがある。この先、県道沿いには自販機が1ヶ所しかないので、ここで500mlペットボトル2本で給水しておく。まあ、こんな道を歩くのは歩紀人くらいだろうが。


 7~8分ほどで「神戸市北区役所淡河出張所」。神戸市で最も面積が広く北区だけで約44%を占める。広いので方々に出張所がある。人口は約22万5千人で「垂水区」「東灘区」と第2位を競う。阪神淡路大震災では大きな被害は免れたが13名の方が亡くなっている。「合掌」


虫籠窓の旧家が残る。


 県道の横には淡河川が流れる。


 淡河中学校前を通過。前を歩いている男子中学生が何度も後ろを振り返る。決して怪しい者ではありませんよ。単なる歩き好きのおっさんです。(午前11時45分)


 左に見えるのは「山陽自動車道」。私の郷里は中国地方なのでよく通る。


 この道は朝、バスで通った道だ。


 やがて左に消防団庫が見えてくるが、その向かいには「淡河町公園」。グランドがある大きな公園でトイレもあるが、トイレには行かないので通過する。(午前11時56分)


 「豊葦原千五百秋瑞穂国」


 さらに10分ほど歩けば左に「中山市民公園」。ここにもトイレ(洋式水洗)がある。


 公園の裏は「大歳社」。お参りして行こう。


 この辺りは「いちご狩り」ができるんだな。


 途中、左に何かお堂が。ここでもお参りしておこう。


 お堂の前には左に入る坂道があるが、そちらには進まず車道を歩く。小さな峠を越えれば右に「JA兵庫六甲低温倉庫」。往路のバス車内から奥に自販機があるのを確認している。貴重な「水場」だ。給水しておこう。


 駐在所前を通る。この広い地域を一人の「駐在さん」が守る。これも消防団と並ぶ日本の原風景だな。


 再度、淡河川を渡り10分ほどで「野瀬北市民公園」。隣には「竹森神社」。


 公園のベンチで小休止。今日は早飯だったので豊助饅頭で補食。(午後0時27分)


 この神社の隣にもきれいな「市民トイレ」がある。


 公園の隣には「曹洞禅宗泰蔵寺」という鐘楼の立つ立派なお寺が。


 そしてお寺前の信号を渡り、ここからしばらくは県道38号を離れ、日本の原風景を楽しむことにしよう。この先もしばらく自販機、商店はない。


 脇道にそれてからすぐに「出合橋」で「屏風川」を渡る。橋の欄干には「淡河川」と書かれているが、地図では屏風川なんだけどな。橋を渡ればすぐに左折する。


 5分ほどで左に「恵比寿神社」が見えてくる。


 「雨宮神社」と「毘沙門天」の扁額も掲げられている。


 この後、左右から何本も農道や林間道が交わってくるが、気にせず一本道を真っ直ぐ歩く。


 田舎、いや日本の原風景の中を進んで行く。


 時々藪を抜ける。小動物の糞が見られるがキツネやタヌキが出るんだろうな。まあ、クマやイノシシでなければいいか。


 ここは「政令指定都市」だぞ。


 恵比寿神社から20分ほど歩いただろうか小さな四つ辻に出る。角には覆い屋の中にお地蔵さんが。(午後1時2分)


 「出合の地蔵」というらしい。かつてここは三叉路で、道行く人たちを見守るためにお祀りされたそうだ。歩紀人として手を合わせておこう。


 お地蔵さんを左に見ながら真っ直ぐ進む。すぐにカーブミラーとガードレールがある道に突き当たるので左に曲がろう。左右にため池が見えた辺りからセンターラインが引かれた道になる。


 右に大きな池が見えてくるが坂道を下っていくと池は視界から消え、振り返れば大きな堰堤が見える。


 すぐに景色が開ける。やはり日本人の主食は「米」だということを実感する。


 すぐ前の道を左に入ろう。丘の中腹に墓地が見える。


 丘をぐるりと回り、左の森の中に続く小さな坂を上れば神社が。「屏風八王子神社」。結構、立派な神社だな。


 あっ、裏からお参りしたのか。拝殿前の鳥居をくぐる。失礼しました。


 民家の庭先を通り過ぎ右へ。突き当たりのカーブミラーの後ろには、小さな児童公園と建物が。屏風公民館というらしい。


 左の狭い藪道に入り、坂道を下れば右の橋で屏風川を渡る。欄干には淡河川と書かれている。


 次の突き当たりを左に曲がれば道は大きく右カーブするが、その途中に左へ入る小径があるので曲がろう。


 この小径はすぐにカーブして先ほどの農道に合流するのだが、カーブミラーのある電柱左の細い道へ入る。正面のコンクリート坂を上る。


 坂道を上れば、先ほど分かれた県道38号と合流する。角には何やら石標が。下の方は埋まっているが「右山田兵庫」「スグ有馬大阪」と読める。方角的に多分「真っ直ぐ」ということだろうな。


 そして県道を挟んで向かいには「グルメマートオバタ」というコンビニ風の小さなスーパー。給水がてら入ってみたが、お客さん用のトイレはなかった。ここから先は、自販機やコンビニがある。(午後1時28分)


 ここにも茅葺きの古民家。


 その先の信号角には「ローソン神戸八多町深谷店」。この信号を右に曲がり、この後は「県道506号線」を歩く。なおコロナ禍以降、トイレ利用中止のコンビニも多いので各自ご確認ください。


 506号線沿いも結構、田舎だな。


 「柳谷交差点」を渡り「六甲北有料道路」の高架をくぐる。


 「柳谷大橋」を渡れば突如ニュータウンに出る。


 「藤原台」といい三田市の「ウッディタウン」へと続く大きなニュータウンだ。


 結構、長い時間ニュータウンを歩く。


 「セブンイレブン神戸有野口店」を過ぎ、「五社北交差点」を渡れば左に「ニシヤマ有野店」というスーパー。トイレがある。(午後2時23分)


 神戸電鉄の踏切を渡る。ここは単線なんだな。


 県道を進んで行けば「有野台」というニュータウンに続く。右へ。


 これから先、基本的には真っ直ぐ進む。


 大きく二又に分かれれば右へ進もう。


 あれれ「西宮市」。それでも進む。


 ここまでずっと上りだったが、阪急バス「香花園バス停」を過ぎると下り坂になる。(午後3時)


 ここで神戸市に戻る。前方に見える「新有馬隧道」というトンネルをくぐれば間もなくゴールだ。


 トンネルを抜け信号手前の右にある坂道を上り、すぐに「兆楽」という宿の看板前を左に入ればこの道は「有馬街道」。


 途中、二手に分かれるが右に進んで行けば、やがて街道は「県道98号線」と合流する。


 右には「有馬せんべい本舗」。有馬温泉名物「炭酸せんべい」のお店だろう。


 そしてすぐ先の「ローソン有馬温泉駅前店」を過ぎれば右に神戸電鉄「有馬温泉駅」。有馬温泉と大阪・神戸を約1時間で結ぶ。


 温泉街らしい雰囲気になってきた。


 その先が「太閤橋」。温泉ホテルや多くの観光名所が集まる「名湯有馬温泉」の中心地である。


 ただ今日は「有馬温泉」は歩かない。別の機会に歩くことにする。太閤橋を渡ってすぐ右には「太閤橋おもてなしトイレ」。トイレ内には「着替用」と書かれた折りたたみの台がある。そこにリュックを置き、汗を拭いてTシャツを着替えた。


 そしてトイレの前には阪急バス「有馬温泉バス停」4番のりば。今日のゴールだ。午後3時20分到着。本日の歩紀「30289歩」(20.59km)。ここから75系統バスで「JR西宮名塩駅」まで約45分(500円)。その先30分ほどで大阪に着く。先ほどの有馬温泉駅まで戻り電車に乗っても良い。今日は水とスポーツドリンク合わせて3Lの給水(+塩キャンデー)。大阪の北区とは違い田舎度満点の里歩紀だったな。これで神戸9区すべてを歩いたぞ。
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