訪問日:平成28年5月21日(土)
第2回目は「妙見山頂」周辺を紹介する。まず最初に山としての「妙見山」と寺院としての「妙見さん」を整理しておく。「妙見山」とは大阪府と兵庫県の府県境に位置する標高660.1mの山である。「妙見さん」とは仏教寺院としての通称名であり、正しくは「日蓮宗無漏山真如寺境外仏堂能勢妙見山」といい「妙見山」の麓にある「真如寺」というお寺の「飛び地」である。古くから信仰を集め、本寺である「真如寺」よりもはるかに多くの参拝客が押し寄せ「妙見さん」「能勢妙見」「能勢の妙見さん」などと呼ばれ親しまれている。そして「妙見山頂」の周辺に「妙見さん」があるというよりも「妙見さん」の境内に「妙見山頂」があると言った方がしっくりとくるかもしれない。つまり、「妙見山頂」周辺を歩くと言うことは「妙見さん」にお参りするということなのだ。
まずは、正面玄関とも言うべき「大鳥居」。「妙見さん」は、ケーブルやバス、マイカーでも参拝できるが、それらの交通機関で来ても、また、ほとんどのハイキングコースでもまず、この「大鳥居」から参拝することになる。明治37年の建立。石標には「日蓮宗霊場能勢妙見山」と刻まれている。「大鳥居」手前のお土産屋さんでは、名物の「猪の子餅」や「桜川サイダー」がいただける。
「猪の子餅」。昔、東能勢村(現在の豊能町)では、旧暦の亥の月、亥の日、亥の刻に無病息災と子孫繁栄を願って餅を食べる習慣があり、その後、宮中(東京ではなく京都)からの求めに応じ、献上したことから能勢の名物になったと言われる。種類は、いろいろあるようだ。
「桜川サイダー」は、能勢町の北端にある「能勢酒造」という会社が販売する「地サイダー」である。
「妙見さん」は、参道から境内に至るまで多くの鳥居があり「妙見宮」とも呼ばれることから「神社」と思っている人もいるかもしれないが、これは「神仏習合」の名残であり、最初にも説明したとおり「妙見さん」は日蓮宗の仏教寺院つまり「お寺」なのだ。
その「大鳥居」の横には「能勢頼次公銅像」。かつて、この辺りを治めていた武将で、日蓮宗に帰依し、広大な敷地を寄進した。
「大鳥居」をくぐれば「狛犬」ならぬ「神馬」が一対。武人の象徴である馬を狛犬代わりに立てたと言うが、この「神馬」は昭和52年の建立である。
さらに、その奥にも「神馬」が一対。
「神馬」を過ぎれば「祈り小径」との分岐に出るが、真っ直ぐ参道を進む。
すぐに「日乾上人銅像」が現れる。「日乾上人」とは、日蓮宗総本山「身延山久遠寺」の高僧で「能勢頼次」に請われて「真如寺」を開祖、その後、慶長10(1605)年、ここに「妙見大菩薩」を祀ったという。この道は、大阪府豊能郡豊能町と兵庫県川西市との府県境。
左には「東屋」などもあり、弁当が開ける。
さらに進み「三角点」という表示が出れば右へ。
地道を少し上ると「彰魂碑」。日清・日露戦争での戦没者を慰霊するため明治41年に建立されたものらしい。
そして「これでもか!」というような標識に従い「彰魂碑」の後ろに回れば「四等三角点」。
ここが「妙見山頂」。標高660.1mで兵庫県川西市と大阪府豊能郡豊能町・能勢町の1市2町の境界である。
元の参道に戻り右へ。左には、小さなお店。軽い食事ができるようだ。この日は、旬の「竹の子ご飯」が炊かれていた。
すぐ右側に「宝物館」。大正11年建築のレトロ建造物で「能勢頼次」の武具などの文化財を所蔵するが、一般公開は毎年10月22日~24日の3日間だけらしい。
そして目の前には、ちょっと風変わりな巨大建築物が。
平成10年4月に完成した信徒会館「星嶺」で、中には礼拝所のほか休憩所や売店があり誰でも利用できるが、写真撮影は禁止されている。上から見ると「星」の形をしているという。
「妙見信仰」とは「北極星」に対する仏教上の信仰である。
「星嶺」の前は展望台。以前登った「高代寺山」などを見下ろすことができる。その麓を「花折街道」が走る。
わが町「東ときわ台」を望む。この日は、ちょっと霞んでいたが、天気の良い日は、遠く「明石海峡大橋」も望むことができ絶好の「お弁当ポイント」でもある。
さらに進めば「山門」。
そして、この「山門」が大阪府と兵庫県との府県境になっている。
反対側には温度計。下界とはかなりの温度差があり、真冬になれば最高気温も氷点下を示す。
「山門」をくぐって大阪府能勢町に入り階段を下っていく。今までは兵庫県川西市を歩いていたわけだ。
右手には「星嶺」をバックに日蓮宗の開祖「日蓮大聖人銅像」。
その横に「鐘楼」。
ここの「梵鐘」つまり釣鐘は、寛永4(1627)年の鋳造と伝わる。
階段を下りたところにはお土産屋さん。これより境内の主要部に入る。
「寺務所」。ここでご祈祷やお守りの授与などを受け付けている。「北辰閣」とも呼ばれる。「北辰」とは「北極星」のことだ。
隣には祈祷の「待合所」。
さらに「読経堂」。
そして「絵馬堂」が並ぶ。
向かいには、右から「浄水堂」。
江戸時代より役者の信仰が厚く、柱には「4代目中村歌右衛門」の銘があり「3代目歌右衛門」も燭台を寄進しているという。
すぐ横に「ご神水」の水汲み場。
その隣に「祖師堂」。「久遠実成本師釈迦牟尼仏」や「日蓮大聖人」「日乾上人」をはじめ多くの仏様が祀られている。
そして、その隣には本殿である「開運殿」。慶長10(1605)年、「能勢頼次」によって創建。ご本尊である「北辰妙見大菩薩」が祀られている。
「開運殿」に並んで境内なのか敷地外なのか「富士屋」という食堂。良い感じだな。
昔は、参詣客相手の旅館だったようだ。
その向かいには郵便局。「妙見山簡易郵便局」といい「何でこんなところに?」という感じで建っている。
普通に「郵便・貯金・保険業務」を行っている。大阪府で一番高いところにある郵便局だそうだ。
境内奥の右に「祥雲閣」。皇族出身の村雲日栄法尼をお迎えするための迎賓館として明治35年に建築されたそうだ。その後は、能勢家当主の住まいとして使われていたそうで、今でも能勢家の位牌が祀られているという。
境内を抜けると「本滝寺コース」というハイキングコースの下山口に出る。このコースは難路でもなく、特に秋は紅葉が美しいが、登山口までのアクセスである阪急バスが平日しか運行されていないため、あまり一般的ではなく今回のコースからは省いた。
その奥には「ぶな林」。「ぶな」は、通常標高1000m以上の山に生育し、600m程度の山での生育は珍しいそうだ。
大阪府の天然記念物に指定されている。
これまで大阪府側のみで生育が確認されていたが、平成27年8月、兵庫県側でも数本の生育が確認され、川西市の天然記念物にも指定されたそうだ。
これで「妙見さん」を一巡したことになる。元の「大鳥居」まで戻る。「大鳥居」を出たところには阪急バスの停留所。池田方面からバスがあるが、休日の午前・午後に1便が運行するだけのようだ。詳しくは、ホームページで。
そして、その向こうには駐車場。「妙見さん」へは、国道477号線・423号線を利用してマイカーでも参拝できる。1000台収容の大駐車場で、料金は1日500円。「自動改札」式だ。
山の周りを切り開いて造成されたのだろう駐車場の真ん中には「頂」が残る。
そこには「お稲荷さん」が祀られている。ここを「妙見山」の山頂と間違う人もいるようだ。
前回の「妙見口駅」周辺に続き「妙見山頂」の周辺を紹介した。次回から3回に分けて「妙見口駅」から「妙見山頂」までを歩いて見よう。次回からは「登山」なので、それなりの準備を。
第2回目は「妙見山頂」周辺を紹介する。まず最初に山としての「妙見山」と寺院としての「妙見さん」を整理しておく。「妙見山」とは大阪府と兵庫県の府県境に位置する標高660.1mの山である。「妙見さん」とは仏教寺院としての通称名であり、正しくは「日蓮宗無漏山真如寺境外仏堂能勢妙見山」といい「妙見山」の麓にある「真如寺」というお寺の「飛び地」である。古くから信仰を集め、本寺である「真如寺」よりもはるかに多くの参拝客が押し寄せ「妙見さん」「能勢妙見」「能勢の妙見さん」などと呼ばれ親しまれている。そして「妙見山頂」の周辺に「妙見さん」があるというよりも「妙見さん」の境内に「妙見山頂」があると言った方がしっくりとくるかもしれない。つまり、「妙見山頂」周辺を歩くと言うことは「妙見さん」にお参りするということなのだ。
まずは、正面玄関とも言うべき「大鳥居」。「妙見さん」は、ケーブルやバス、マイカーでも参拝できるが、それらの交通機関で来ても、また、ほとんどのハイキングコースでもまず、この「大鳥居」から参拝することになる。明治37年の建立。石標には「日蓮宗霊場能勢妙見山」と刻まれている。「大鳥居」手前のお土産屋さんでは、名物の「猪の子餅」や「桜川サイダー」がいただける。
「猪の子餅」。昔、東能勢村(現在の豊能町)では、旧暦の亥の月、亥の日、亥の刻に無病息災と子孫繁栄を願って餅を食べる習慣があり、その後、宮中(東京ではなく京都)からの求めに応じ、献上したことから能勢の名物になったと言われる。種類は、いろいろあるようだ。
「桜川サイダー」は、能勢町の北端にある「能勢酒造」という会社が販売する「地サイダー」である。
「妙見さん」は、参道から境内に至るまで多くの鳥居があり「妙見宮」とも呼ばれることから「神社」と思っている人もいるかもしれないが、これは「神仏習合」の名残であり、最初にも説明したとおり「妙見さん」は日蓮宗の仏教寺院つまり「お寺」なのだ。
その「大鳥居」の横には「能勢頼次公銅像」。かつて、この辺りを治めていた武将で、日蓮宗に帰依し、広大な敷地を寄進した。
「大鳥居」をくぐれば「狛犬」ならぬ「神馬」が一対。武人の象徴である馬を狛犬代わりに立てたと言うが、この「神馬」は昭和52年の建立である。
さらに、その奥にも「神馬」が一対。
「神馬」を過ぎれば「祈り小径」との分岐に出るが、真っ直ぐ参道を進む。
すぐに「日乾上人銅像」が現れる。「日乾上人」とは、日蓮宗総本山「身延山久遠寺」の高僧で「能勢頼次」に請われて「真如寺」を開祖、その後、慶長10(1605)年、ここに「妙見大菩薩」を祀ったという。この道は、大阪府豊能郡豊能町と兵庫県川西市との府県境。
左には「東屋」などもあり、弁当が開ける。
さらに進み「三角点」という表示が出れば右へ。
地道を少し上ると「彰魂碑」。日清・日露戦争での戦没者を慰霊するため明治41年に建立されたものらしい。
そして「これでもか!」というような標識に従い「彰魂碑」の後ろに回れば「四等三角点」。
ここが「妙見山頂」。標高660.1mで兵庫県川西市と大阪府豊能郡豊能町・能勢町の1市2町の境界である。
元の参道に戻り右へ。左には、小さなお店。軽い食事ができるようだ。この日は、旬の「竹の子ご飯」が炊かれていた。
すぐ右側に「宝物館」。大正11年建築のレトロ建造物で「能勢頼次」の武具などの文化財を所蔵するが、一般公開は毎年10月22日~24日の3日間だけらしい。
そして目の前には、ちょっと風変わりな巨大建築物が。
平成10年4月に完成した信徒会館「星嶺」で、中には礼拝所のほか休憩所や売店があり誰でも利用できるが、写真撮影は禁止されている。上から見ると「星」の形をしているという。
「妙見信仰」とは「北極星」に対する仏教上の信仰である。
「星嶺」の前は展望台。以前登った「高代寺山」などを見下ろすことができる。その麓を「花折街道」が走る。
わが町「東ときわ台」を望む。この日は、ちょっと霞んでいたが、天気の良い日は、遠く「明石海峡大橋」も望むことができ絶好の「お弁当ポイント」でもある。
さらに進めば「山門」。
そして、この「山門」が大阪府と兵庫県との府県境になっている。
反対側には温度計。下界とはかなりの温度差があり、真冬になれば最高気温も氷点下を示す。
「山門」をくぐって大阪府能勢町に入り階段を下っていく。今までは兵庫県川西市を歩いていたわけだ。
右手には「星嶺」をバックに日蓮宗の開祖「日蓮大聖人銅像」。
その横に「鐘楼」。
ここの「梵鐘」つまり釣鐘は、寛永4(1627)年の鋳造と伝わる。
階段を下りたところにはお土産屋さん。これより境内の主要部に入る。
「寺務所」。ここでご祈祷やお守りの授与などを受け付けている。「北辰閣」とも呼ばれる。「北辰」とは「北極星」のことだ。
隣には祈祷の「待合所」。
さらに「読経堂」。
そして「絵馬堂」が並ぶ。
向かいには、右から「浄水堂」。
江戸時代より役者の信仰が厚く、柱には「4代目中村歌右衛門」の銘があり「3代目歌右衛門」も燭台を寄進しているという。
すぐ横に「ご神水」の水汲み場。
その隣に「祖師堂」。「久遠実成本師釈迦牟尼仏」や「日蓮大聖人」「日乾上人」をはじめ多くの仏様が祀られている。
そして、その隣には本殿である「開運殿」。慶長10(1605)年、「能勢頼次」によって創建。ご本尊である「北辰妙見大菩薩」が祀られている。
「開運殿」に並んで境内なのか敷地外なのか「富士屋」という食堂。良い感じだな。
昔は、参詣客相手の旅館だったようだ。
その向かいには郵便局。「妙見山簡易郵便局」といい「何でこんなところに?」という感じで建っている。
普通に「郵便・貯金・保険業務」を行っている。大阪府で一番高いところにある郵便局だそうだ。
境内奥の右に「祥雲閣」。皇族出身の村雲日栄法尼をお迎えするための迎賓館として明治35年に建築されたそうだ。その後は、能勢家当主の住まいとして使われていたそうで、今でも能勢家の位牌が祀られているという。
境内を抜けると「本滝寺コース」というハイキングコースの下山口に出る。このコースは難路でもなく、特に秋は紅葉が美しいが、登山口までのアクセスである阪急バスが平日しか運行されていないため、あまり一般的ではなく今回のコースからは省いた。
その奥には「ぶな林」。「ぶな」は、通常標高1000m以上の山に生育し、600m程度の山での生育は珍しいそうだ。
大阪府の天然記念物に指定されている。
これまで大阪府側のみで生育が確認されていたが、平成27年8月、兵庫県側でも数本の生育が確認され、川西市の天然記念物にも指定されたそうだ。
これで「妙見さん」を一巡したことになる。元の「大鳥居」まで戻る。「大鳥居」を出たところには阪急バスの停留所。池田方面からバスがあるが、休日の午前・午後に1便が運行するだけのようだ。詳しくは、ホームページで。
そして、その向こうには駐車場。「妙見さん」へは、国道477号線・423号線を利用してマイカーでも参拝できる。1000台収容の大駐車場で、料金は1日500円。「自動改札」式だ。
山の周りを切り開いて造成されたのだろう駐車場の真ん中には「頂」が残る。
そこには「お稲荷さん」が祀られている。ここを「妙見山」の山頂と間違う人もいるようだ。
前回の「妙見口駅」周辺に続き「妙見山頂」の周辺を紹介した。次回から3回に分けて「妙見口駅」から「妙見山頂」までを歩いて見よう。次回からは「登山」なので、それなりの準備を。