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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル   第7話  何から逃げる?

2022-08-17 04:04:56 | ファウンデーションの夢

53第7話
ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第7話
何から逃げる?



あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。

 一方、ミュールを抑えたはずであった片方のファウンデーションは、新たな次の難局が起ころうとしていた。それに備えることになる。

 その時の第2ファウンデーションの指導者、いわゆる第1発言者は、次期発言者会議の候補者であるペアレス・アンソーアにその任を委ねる。

 夜な夜なの会合がトラン・ダレルの屋敷で行われていた。父の名前を頂いたトラン・ダレルに元研究所の同僚の弟子と名乗るペアレス・アンソーアが訪れる。

 ところがペアレス・アンソーアは、一階の玄関のドアを叩いたが、生憎家政婦が休暇中で、中に入れなかった。仕方なく彼は二階の窓を叩いて、中にいるアルカディアに開けてくれるように頼むしかなかった。

 彼もその会合に加わり、モーヴの出身と偽って、電子脳写装置を四人にかけたいと申し出る。

 始めから彼を怪しんだのは、トランの従兄弟で、図書館員であるホバー・マンであった。

 もう一つの議決がされようとしていた。カルガンに第2ファウンデーションの基地がある、という。そこにマンが単独で潜入するという使命だった。
 
 アルカディアの長い家出の休暇が始まろうとしていた。それはモーヴ市に隣接するアルティメット空港からの出来事であった。が、それが全銀河を揺り動かすことになる。

 マンとアルカディアとミーターは、カルガンに着いた。

 アルカディアはそこで、おば(母の姉)のカリアに会う。彼女は第2ファウンデーションのエイジェントであって、カルガンの僭主プーチー・ステッティンのミストレスになっていた。


56
カリア アルカディアちゃん。会いたかったわ。あなたの叔母のカリアよ。あなたが赤ちゃんの時、抱いたこと、あるのよ。あなたは私の妹ジータの子どもなの。

アルカディア!!!!!??????? 
 え!私はアルカディア・ダレル。ターミナス生まれです。

カリア やっぱり、聞いてなかったのね。嘘なんかじゃないわ。ほら、左腕のアザ。それ、トランターだったら誰でもする種痘の跡なのよ。私にもあるわ。それからあなたのお父様にもあるはずだわ。
 
アルカディア カリア様が叔母様!そんなこと考えられないです!
 みんな、私に、教えなかったなんてあり得ないわ!
 オウチに帰ったら、父さんに問い詰めなくちゃ。ホバーお叔父様にも。

カリア そう考えるのも無理はないカリアわね。おそらく、私もよく覚えてないけど、あなたのお祖父様、お祖母さん様は、一旦、トランターから離れたけど、お祖母さんベイタさんのご意向で、戻って来た、と聞いてるわ。
 なんかの事情でね。

アルカディア その後のことは、私も詳しくないの。若いときから、トランターを離れて、サンタンニに行ったんですから。そこで、プーチー、じゃないステッティン閣下に会ったの。

カリア 折角お会いできたのに、アルカディアちゃんとお別れしなくちゃならないの。ここから早く逃げて、お金や宝石みんなあげますから!あなた、逃げなくちゃ、いけないのよ!

アルカディア 逃げる!!!???

 わかりました。
 今、分かったわ!すべてが分かったわ!

 なんでカルガンに来たのかも分かったわ!お父さんはきっと知ってたんだわ!

 ステッティン卿から逃げるのじゃないこと、今、分かったわ。
 こんなにお金があったら、トランター行く分、いくらでも、ホマー叔父さんにあげられるのに!
 
カリア アルカディアちゃん、今なんて言ったの?逃げるのはターミナスへだわ!トランターへじゃないんです!!トランターは方角違いよ。お父様のところにお帰りなさい!
 
アルカディア 叔母様、お別れです。私、あなたから逃げるんですよ!
 
カリア !!!!!!!!!!

yatcha john s. 「何から逃げる?」


 

ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル  第5話   可愛い密航者

2022-08-15 20:45:03 | ファウンデーションの夢
51第5話
ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第5話
可愛い密航者


あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。

 一方、ミュールを抑えたはずであった片方のファウンデーションは、新たな次の難局が起ころうとしていた。それに備えることになる。

 その時の第2ファウンデーションの指導者、いわゆる第1発言者は、次期発言者会議の候補者であるペアレス・アンソーアにその任を委ねる。

 夜な夜なの会合がトラン・ダレルの屋敷で行われていた。父の名前を頂いたトラン・ダレルに元研究所の同僚の弟子と名乗るペアレス・アンソーアが訪れる。

 ところがペアレス・アンソーアは、一階の玄関のドアを叩いたが、生憎家政婦が休暇中で、中に入れなかった。仕方なく彼は二階の窓を叩いて、中にいるアルカディアに開けてくれるように頼むしかなかった。

 彼もその会合に加わり、モーヴの出身と偽って、電子脳写装置を四人にかけたいと申し出る。

 始めから彼を怪しんだのは、トランの従兄弟で、図書館員であるホバー・マンであった。

 もう一つの議決がされようとしていた。カルガンに第2ファウンデーションの基地がある、という。そこにマンが単独で潜入するという使命だった。
 
 アルカディアの長い家出の休暇が始まろうとしていた。それはモーヴ市に隣接するアルティメット空港からの出来事であった。が、それが全銀河を揺り動かすことになる。
51

ホバー・マン ブラック・ホールにかけて、こ...の船で何をしてる。きみ...アルカディー、一体なぜここにいる!?

アルカディア ホマー叔父さん、怒らないで。
 びっくりさせてごめんなさい。一緒に来たかっただけなの。
 叔父さんが、第二ファウンデーション探しに、カルガンに行くのを知って、ついて来たの。

ホバー 一体、どうしてこの船に乗り込めた?

アルカディア 簡単だったわ、とても簡単だったわ。
 忘れてた荷物を届けに来たと言ったら、警備員さん、親指を立てただけでしたから。

ホバー おまえ、俺がどうしてカルガンに行くことを知っていたのか?
 
アルカディア 毎晩、うるさいほど聞こえたわ。
 高性能の盗聴機のおかげでね。
 それに叔父さんの歌、だいぶ調子はずれなのね!
 アンソーアさんを疑っていたのもわかってます。
 私もそうなんですから。それからね。叔父さん、カルガンの次に、トランターに連れてって貰いたいの。
 
ホバー それは約束できん。燃料費は、お前が出す訳ないんだからな!でも何でだ、トランターへ?
 
アルカディア それがね、まだおばあちゃんが元気なとき、子守り歌でね、「今では宇宙の廃墟と言われてるこの星は、宇宙の真ん中、上手い野菜が出来るミネラル豊富な命の源...」と歌ってくれてたの。
 トランターにはなんかあるんだわ、きっと!

ミーター アルカディーお嬢ちゃん、お父さんから緊急連絡が届いてます。読み上げますね。
 「アルカディア、こうなったら、お前のことだ。呼び戻すと騒ぎにもなる。ホマーも一人では寂しいだろうから、ちょうどいい。心行くまで楽しんで来い!」
 
ホバー なんだ、トランの奴め。俺のこと、なんだと思ってるんだ!呑気なことだ!
 それにしても、宇宙通信できるその機械は何なんだ?
 
アルカディア オリンサスの改造版よ。盗聴機と論文作成機から作って貰ったの。

yatcha john s. 「可愛い密航者」


ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル   第4話  我ら銀河の子

2022-08-14 22:19:49 | ファウンデーションの夢
50第4話ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第4話
我ら銀河の子


あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。

 一方、ミュールを抑えたはずであった片方のファウンデーションは、新たな次の難局が起ころうとしていた。それに備えることになる。

 夜な夜なの会合がトラン・ダレルの屋敷で行われていた。父の名前を頂いたトラン・ダレルに元研究所の同僚の弟子と名乗るペアレス・アンソーアが訪れる。

 彼は、モーヴの出身と偽って、電子脳写装置を四人にかけたいと申し出る。

 始めから彼を怪しんだのは、トランの従兄弟で、図書館員であるホバー・マンであった。

 もう一つの議決がされようとしていた。カルガンに第2ファウンデーションの基地がある、という。そこにマンが単独で潜入するという使命だった。
 

50
(我ら銀河の子の合唱)

僕ら銀河の子
            たかなが正秋

冷たい銀河の風に打たれても僕らは怯まない
なぜって 僕らは高邁な理想に燃えているから
セルダン先生のあとを追いかけて
たとえボロなスペースワゴンだってへいちゃらさ

優しい銀河の風に打たれて僕らは涙する
だって僕らは銀河の子 我らの命 愛 夢 勇気は銀河の塵でできている
ドーニック先生から教わった織姫と彦星
貿易商人は三年に一度も恋人に会えなかった

熱い銀河の風に打たれて僕らは戦う
なぜって銀河はそれを望んでいる
ファウンデーションはきっと大銀河を復興し
希望が愛に変わる
宇宙の果てまで紫(モーブ)に染まる

美しい銀河の風に打たれて女たちは踊る
オルフェウスの琴の音に心が溶かされた
ニンフのエリディケのように
たとえドースが R であってもセルダンを助けてアンドロメダまで行っちゃうよね


ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル   第3話  夜な夜なの会合

2022-08-13 20:56:31 | ファウンデーションの夢
49第3話ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第3話
夜な夜なの会合

あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。

 一方、ミュールを抑えたはずであった片方のファウンデーションは、新たな次の難局が起ころうとしていた。それに備えることになる。
 

49
トラン・ダレル(トラン・ダレルの息 みんなに紹介する。ペアレス・アンソーア君だ。
 死んだクラウゼの弟子だ。今から君たち三人と私に電子脳写装置をかけたい、と言っている。

 アンソーア君。こちらが私の従兄弟のホバー・マン、図書館員。こちらがジョウル・ターバー、テレビ局の支配人。こちらが、エルヴェット・セミック、物理学の教授だ。
 
ホバー・マン トラン、藪から棒だなあ、何でだ。

トラン 我々四人に彼は容疑をかけている。この中に第二ファウンデーション員が紛れ混んでいるというのだ。ジョウル、私は信じてはいないがね!
 
ジョウル そんな訳ないよな、みんな。それぞれモーヴの出身だ。幼い時からの知り合いだ。

エルヴェット・セミック ジョウル、そうとも限らんよ。確かにエレメンタリーはそうかもしれませんが、宇宙にみんな出掛けているのも確かだ。
 
ホバー・マン エルヴェット、おかしいと思わんかい。当のご本人、アンソーア君という君は、はどうなんだい?君もモーヴか?

アンソーア そうですよ。郊外のニュートン出身です。

ホバー それじゃ、歌えるよな?
 モーヴではどのエレメンタリーでも歌った「我ら銀河の子」、「幼児のための手引き書」にも書かれてある、ふるさとの星からの名曲「マサヨシ・タカナガ」の作曲らしい。
 
アンソーア いいえ、忘れました。マンさん。

ホバー 怪しいのは、アンソーア君じゃ、ないのかな!
 
トラン そのくらいしてやれ。ホバー。今晩は議題がもうひとつある。ホバー、やって貰うことが君にある、みんなの代表としてカルガンに行って貰いたい。

ホバー トラン、俺一人でか?みんなは?

 ・・・・・

 えっ 何しに?

エルヴェット 決まってるだろう!第二ファウンデーションがカルガンにある、という情報だよ。君だけがカルガンに行ったことがあるからな。


ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル   第2話   深夜、窓を叩く音がする

2022-08-13 01:05:50 | ファウンデーションの夢
48第2話ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第2話
深夜、窓を叩く音がする

あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。
 

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アルカディア 行くわね、ミーター。
 ははは、しめしめ、同級生のオリンサス・ダムをデートに誘ったら、特殊盗聴機を作ってくれたわ。
 これでお父さんたちの密談を傍受できるっていうことだわ。 夜な夜なの会合なんて、普通じゃないんだからね。

 このあいだの作文、学校でボツになったなんて悔しい。 その理由が馬鹿げているんですから。
 名門ダリル家のご令嬢の作文としては国家秘密に入れなければならないくらい、優等過ぎるっていうのよ。 ある学者なんて、一回読んで、彼の手が震えていたというの。 そんなことあり得る? こっちは宿題で書いただけだというのに。 ミーター、これはボツだわ。 初めから行くわね!
ミーター アルカディアお嬢ちゃま、私、論文作成機といたしましては、ボツの方が嬉しいのです。 あなたの論文は、纏めようのない独り言みたいですから。
 気にさわられたら謝りますけど。

 お嬢ちゃまはやめてね。 アルカディーと呼んで、お願いね。

 うん、タイトル、『追憶の鍵を開けて』を書く気になった動機は、五十年前の祖母ベイタの新婚旅行からの出来事からである。
  彼女の夫の故郷ヘイブンに着いたそうそう、カルガンに行ったと思ったら、数日もしないでターミナスに戻り、あの忌々しいミュールの占領にあった。
 占領間際、彼女は辛くも脱出したもののその後、彼女は暫くしてターミナスに戻り、彼女の老後を安らかに過ごしたのであるが、その間の出来事が一切、謎なのだ。

 トントントン。

ミーター  アルカディー。 途中ですみませんが、やはり文脈が合いませんが?
 トントントン、とは?

アルカディア ミーター、私、トントントン、なんて言ってないわよ、深夜であなたも疲れたのかしら!

ペアレス・アンソーア ごめんください。 さっきから窓ガラスを叩いているんですが、開けてくれませんか、僕は、ペレアス・アンソーアと申します。
 決して怪しい者ではありません。 ちっちゃくてかわいいアルカディーちゃん。
アルカディア まあ、失礼ね、もう私、たいした淑女ですから。
  泥棒でも二階の窓なんか、叩いたりしないわよ、怪しくないわけないでしょう。
 多分、父さんに会いに来たのでしょう。 わかってるわよ。
 今頃は一階の玄関でブザーを鳴らしても無駄ですもん。 お手伝いさんはずっと留守ですからね。
 それに「かわいい」はよして、誰が窓なんて、開けてあげるもんですか。 今は私忙しいんですから!