19 イルミナ、ウォンダさんが18歳の時、悲しいかな、彼女の両親と彼女の妹とベリスとの別れがあったんだよ。彼らはサンタンニ星に旅立った。ウォンダさんは一人残されたおじいちゃんハリの面倒をみるのにトランターに残った。と同時に亡きアマリルの肩代わりの心理歴史学の研究に没頭するようになった。とは言っても、ほぼ極素輻射体を自由に操るのが日課の多くだったんだが。
その極素輻射体はそれを操る人間の感応力に同調するという特性をもっている。同時に彼女は彼女でその極素輻射体の影響で既にもっていた精神感応力が強められていった。
ある日、とうとうある方程式の暗号が自由に彼女の感性にピタリと符号した。
その時、ハリ・セルダンが呼応するかのように彼女の研究室を訪れたんだ。セルダンは唸った。
「なんとこの暗号はターミナス方程式!!」。輝き点滅する紫のホノグラフ。二人はその部屋の片方の空中に煌めく紫の球体に近寄った。そうしたら、その反対側にそれに呼応するかのように赤い斑点が投射した。セルダンは叫んだ。 「なんとこっちはターミナス方程式の逆関数!!完璧に呼応している。」
「おじいちゃん、そうなのよ。私にはこの二つが完全に調和しているとしか思えないわ!」「ウォンダ、そうだ、この無カオス現象を、『陰』と『陽』と古代人は呼んだとヒューミンからもらった『児童のための知恵の書』に載ってる。」
イルミナ、この記録が何を意味するか、を説くのにどれだけアルカディアが苦心したかわかるか?
凄いわ!ミーター、わかるような気がするわ。
アルカディアは、その時ハリは、ウォンダと、本来行くべきターミナスに旅立った気分を共有したんだと言った。そして片側の赤い反射球は銀河の反対側にあるアタカナ(火)。人類の故郷の星。しかし不幸にも緑や青に輝いてない。病んでいる、とも言った。
これからお前とその真相を究明しなくてはならない。
でも教えて、その暗号とやら?
いいとも!『セクション33A2D17』!
ミーター、この方程式ってどういう暗号?
イルミナ、心配するな。もう解けている。だからもう俺らは銀河をファー・スター2世号で今航行中だ。そしてお前がここにいる理由でもあるっていうことだ。
ハニスさんがトランターで入手できた「クリプト・リーダー」でファー・スター2世号や帝国辞書編纂図書館の記憶装置に既に暗算連結したからな。
ミーター、帝国辞書編纂図書館って、わたしのことじゃないの!
yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 19 「セクション33A2D17」