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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ミーターの大冒険 エピローグ 第5話 「敵を欺くには味方から」

2022-04-21 05:05:25 | ミーターの大冒険
ミーターの大冒険 エピローグ 第5話 「敵を欺くには味方から」

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが...
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。ハニスとミーターの対話は果てしなくつづいていき、ターミナス最初期のガール・ドーニック、ボー・アルーリン、サルヴァー・ハルディンの関係に及んで、いよいよアルカディアの遺志を継ぐ三人の方向性が見えて来た。

76
ミーター 僕のデータでは、サルヴァー・ハーディンの時代とミュールの時代とでは約250年の隔たりがありますが、彼ら同士の関係について何かの真実があると思っているような口振りですね。よかったらこの僕に教えてください。
 大事なことなんですね!

ハニス そうなんだ。ここに身を寄せて貰ってから、そこにターミナスの秘密の根幹部分が隠されているのにやっと気がついてきたんだ。ベイタ文書にハーディンの真意について次のような記録がある。
 「たぶんそれは、心理歴史学者だったら事の真相を悟ったからでしょう─それも、悟るのが早すぎてハリ・セルダンにとって都合が悪かったからでしょう。しかし、われわれは心理歴史学者ではないから、このようにあちらこちらつまずいて歩き、五里霧中でさっぱり真相をつかめずにいる。これがハリ・セルダンの狙いなのですよ」。
 このラベンダー畑のおかげでこの霧が晴れて来た感じなんだね。
「アルーリンの真実」というやつがねぇ!

ミーター アルーリン?あの心理歴史学者ですか。ウォンダとステッティンの仲間第一号の。あのハリに「礼儀正しい盟友」と呼ばれた「ボー・アルーリン」ですね!彼とハーディンの関係について何か?

ハニス 大いにありそうなんだ。ハーディンは根っからの政治人間であったと記録されているが、実はアルーリンの元で心理歴史学の真髄を叩き込まれたんだ。アルーリンは彼を唯一の心理歴史学の後継者と任じていた節がある。

ミーター それがミュールにどういう関係があるんですか、ハニスさん?

ハニス そこなんだよ!ターミナスが生き残り、徐々に銀河の覇権を握るきっかけをつくったのがハーディンなんだがね。そのプロセスというのは、科学技術と宗教という一見場違いにみえる組み合わせによって最初段階は近隣のアナクレオン星域を奪取して行った。銀河全体が原子力技術の忘却によって衰退していくのを横目に見ながら、ターミナスだけが隆盛して行った。他の世界は必然的にターミナスの科学技術の助けだけに命を繋ぐ活路のように仕組んで行った。巧妙なからくりを造り上げて着実に遂行して行った。
 しかしその巧妙な仕組みもついに最近、機能してない。

ミーター ハニスさん。どういうことですか?ハニスさんは、アルーリンとハーディンがそういう筋書きを最初から仕組んでいたと勘ぐっているんですね!

ハニス ミーター君。お見事!ドンピシャだ!流石ホームズの二代目。そこまで分かっていれば、あとは簡単。あとはミュールのことだけだ。

ミーター ハニスさん。ごめんなさい。ハーディンとミュールの関係がもうひとつわかりません。お願いです、ご説明してくれませんか。

ハニス うん、そこなんだよ。「ホルレッゴールの戦い」って分かっているよね。ミュールの勝因は、よく彼の強烈な精神作用力と言われているが、実は原子フィールド抑制機の意味合いの方が重要な気がしている。俺の勘繰りというのは、彼はファウンデーションの科学技術、特に原子力技術に対して、もっと正しく言うなら、原子力を極度に嫌悪していたと理解出来るんだよ。
 その意味で、アルカディアの見解は的を得ている。ファウンデーションの弱点をミュールは的確に利用したということ。

ミーター なんですって!それじゃ、ミュールが正義でターミナスが悪だと言うんですか?
 ガールとアルーリンは私たちターミナスを欺いて来たですって!
 全くの逆??
 にわかには信じられません。ハニスさん!あなたは正気ですか?何のために今までターミナスは戦ってきたんですか?この銀河を復興し、正義を打ち立てるためじゃなかったのですか?あなたの方こそでっち上げじゃあないんですか?

ハニス ミーター君。そんなに怒るなよ。ロボットならもう少し冷静になったらどうなんだ。もう一回、最初からシュミレーションをしてみないかい。冷静に冷静に、真相究明するのが推理探偵の肝だろう。

ミーター わかりました。ごめんなさい。アルカディアも言ってました。「宇宙の謎は神妙、そう簡単には真相は掴めないものだ」と。
 それにしても!

 ミュールについてだがね。彼の威力は、強烈な精神作用力だと言われているが、彼の存在の由来が、今問題になって来たということなんだ。

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 5「 敵を欺くには味方から?」


ミーターの大冒険 エピローグ 第5話 「敵を欺くには味方から」

2022-04-20 22:18:41 | ミーターの大冒険
ミーターの大冒険 エピローグ 第5話 「敵を欺くには味方から」

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが...
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。ハニスとミーターの対話は果てしなくつづいていき、ターミナス最初期のガール・ドーニック、ボー・アルーリン、サルヴァー・ハルディンの関係に及んで、いよいよアルカディアの遺志を継ぐ三人の方向性が見えて来た。

76
ミーター 僕のデータでは、サルヴァー・ハーディンの時代とミュールの時代とでは約250年の隔たりがありますが、彼ら同士の関係について何かの真実があると思っているような口振りですね。よかったらこの僕に教えてください。
 大事なことなんですね!

ハニス そうなんだ。ここに身を寄せて貰ってから、そこにターミナスの秘密の根幹部分が隠されているのにやっと気がついてきたんだ。ベイタ文書にハーディンの真意について次のような記録がある。
 「たぶんそれは、心理歴史学者だったら事の真相を悟ったからでしょう─それも、悟るのが早すぎてハリ・セルダンにとって都合が悪かったからでしょう。しかし、われわれは心理歴史学者ではないから、このようにあちらこちらつまずいて歩き、五里霧中でさっぱり真相をつかめずにいる。これがハリ・セルダンの狙いなのですよ」。
 このラベンダー畑のおかげでこの霧が晴れて来た感じなんだね。
「アルーリンの真実」というやつがねぇ!

ミーター アルーリン?あの心理歴史学者ですか。ウォンダとステッティンの仲間第一号の。あのハリに「礼儀正しい盟友」と呼ばれた「ボー・アルーリン」ですね!彼とハーディンの関係について何か?

ハニス 大いにありそうなんだ。ハーディンは根っからの政治人間であったと記録されているが、実はアルーリンの元で心理歴史学の真髄を叩き込まれたんだ。アルーリンは彼を唯一の心理歴史学の後継者と任じていた節がある。

ミーター それがミュールにどういう関係があるんですか、ハニスさん?

ハニス そこなんだよ!ターミナスが生き残り、徐々に銀河の覇権を握るきっかけをつくったのがハーディンなんだがね。そのプロセスというのは、科学技術と宗教という一見場違いにみえる組み合わせによって最初段階は近隣のアナクレオン星域を奪取して行った。銀河全体が原子力技術の忘却によって衰退していくのを横目に見ながら、ターミナスだけが隆盛して行った。他の世界は必然的にターミナスの科学技術の助けだけに命を繋ぐ活路のように仕組んで行った。巧妙なからくりを造り上げて着実に遂行して行った。
 しかしその巧妙な仕組みもついに最近、機能してない。

ミーター ハニスさん。どういうことですか?ハニスさんは、アルーリンとハーディンがそういう筋書きを最初から仕組んでいたと勘ぐっているんですね!

ハニス ミーター君。お見事!ドンピシャだ!流石ホームズの二代目。そこまで分かっていれば、あとは簡単。あとはミュールのことだけだ。

ミーター ハニスさん。ごめんなさい。ハーディンとミュールの関係がもうひとつわかりません。お願いです、ご説明してくれませんか。

ハニス うん、そこなんだよ。「ホルレッゴールの戦い」って分かっているよね。ミュールの勝因は、よく彼の強烈な精神作用力と言われているが、実は原子フィールド抑制機の意味合いの方が重要な気がしている。俺の勘繰りというのは、彼はファウンデーションの科学技術、特に原子力技術に対して、もっと正しく言うなら、原子力を極度に嫌悪していたと理解出来るんだよ。
 その意味で、アルカディアの見解は的を得ている。ファウンデーションの弱点をミュールは的確に利用したということ。

ミーター なんですって!それじゃ、ミュールが正義でターミナスが悪だと言うんですか?
 ガールとアルーリンは私たちターミナスを欺いて来たですって!
 全くの逆??
 にわかには信じられません。ハニスさん!あなたは正気ですか?何のために今までターミナスは戦ってきたんですか?この銀河を復興し、正義を打ち立てるためじゃなかったのですか?あなたの方こそでっち上げじゃあないんですか?

ハニス ミーター君。そんなに怒るなよ。ロボットならもう少し冷静になったらどうなんだ。もう一回、最初からシュミレーションをしてみないかい。冷静に冷静に、真相究明するのが推理探偵の肝だろう。

ミーター わかりました。ごめんなさい。アルカディアも言ってました。「宇宙の謎は神妙、そう簡単には真相は掴めないものだ」と。
 それにしても!

 ミュールについてだがね。彼の威力は、強烈な精神作用力だと言われているが、彼の存在の由来が、今問題になって来たということなんだ。

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 5「 敵を欺くには味方から?」


ミーターの大冒険 エピローグ 4 「アルカディアの精神」

2022-04-20 05:31:21 | ミーターの大冒険
ミーターの大冒険 エピローグ 第4話 「アルカディアの精神」

あらすじ
 アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
 ミーターは、ハニスの人柄に感銘を受け、彼の並々ならぬ過去の業績を知る。


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ハニス 驚いたな、ミーター君!ここの大ラベンダー畑の中央の見晴らしの丘全体がスライドしてラベンダー畑を少しも傷つけずに、その地下が大格納庫だとは!垂直上下機能のタンカー宇宙船だったら、充分の空間だね!ここまでアルカディアさんは用意周到だとは、驚くべき行動力だ。恐れ入る。

ミーター ハニスさん。彼女のこと、そこまでよくご理解下さり、感謝です。あなたは恐らく今、この銀河でいちばんのアルカディア理解者ですね!僕を除けばねぇ!
俺は、ベリス岬の洞窟で発見した消失していた所謂「ガール文書」をアルカディアさんに届けた際、アルカディアさんにジャーナリズムのホントの意味を聞いたことがある。彼女はこの俺に丁寧に語ってくれた。

「ハニスさん、よく聞いてね。私は祖母ベイタの生涯を丹念に調べてみました。この宇宙、銀河の謎の答えをね。あなたは信頼できる人物ですね。窓辺にヘディキウム(ジンジャーの一種、「花縮砂」)を置いている理由をご説明すればいいわねぇ。そして無意味(薬用にも食用にもならないと思われていたものに真の意味)だと思われたものを意味のあるものに変えられる能力があるのでしょう。素晴らしいわ!ジンジャーの花ことばのようですね! 予知とは、ひらめきとひらめきを結びつけることよ。すべては、意味に集中することが大切です。そこから太古の知恵の『大量行動の原則』に従って果敢に挑戦するしかないわね。結果・答えはそこから自ずと現れるのよ!そして人間は、本来、弱いということを意識することも忘れずに。」
『鶸』も『花縮砂』も同じ意味だと、教えてくれたんだ。


ミーターの大冒険 エピローグ 3 「ハニスの正体」

2022-04-20 05:26:58 | ミーターの大冒険
74 
ミーター 観ましたよ。ハニスさんのノンフィクション、ブックフィルム。リアルでとてもダイナミックな映像ですね。『カルガン戦争記』。『アルカディアの凱旋』。でもちょっと不満があります。アルカディアはあの女優よりもっと魅力的でしたよ。それに彼女のそばにはあの重要人物(?)が見えない。

ハニス アハハハ!確かになあ!ごめん、ごめん。確かに重要人物(?)。

ミーター ハニスさんって、僕に似て涙脆いんですね。愛着湧くなあ!

ハニス キミのセンスは天下一品だよ。テレビ局に売り出してあげようか。

ミーター ところで、あなたは若い頃、何をしていたんですか?

ハニス サンタンニ大学でジャーナリズムの教授をしていた。それから、銀河の歴史に興味が出て、政府に頼まれて、イフニアでスパイ活動。

ミーター 凄い経歴ですね。僕なんてずっと翻訳・通訳ロボットなんですから。

ハニス それはそうと、来る道すがら、お宅の農園のラベンダー畑にはビックリしたよ。朝方の景色。格別だね!

ミーター えへん、ベリス農園。ベリスが育て、ドースが拡大させ、グレディアの子アルカディアがティーツリーのエキスと共に全銀河に売り出した。そしてネオ・ラベンダーのエキスがイオスに運ばれます。

ハニス ところで、ここの上空は、ターミナス空港、アルティメット宇宙空港の発着コースから外れてるはずだが?

https://youtu.be/kjUt5nZX434

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 エピローグ 3 「ハニスの正体


Take me

2022-04-15 06:55:24 | ミーターの大冒険
あなたのホントの名前
それはミーター
ある綺麗な夜空に流れる星を見つけたからよ

だから私を連れていって
あなたのふるさとの夜空に広がる天の川のもっと向こうまでね

あれから私はずっとあなたと毎晩のように
夜空を見上げたものですね

私の夢はずっと行けるとこまで行ける
航宙返船に乗り込んで
あの流れ星を追いかけるの

時は流れるわ
でも追いかけて行けば

追い越すことはできないにしてもね
ずっとあの憧れは消えないままですからね

そうすれば風船を膨らますようにね
夢はずっとずっと膨らんでいくでしょ

たとえばミントの薫りね
弾けるワクワクが気持ちを満たす
爽やかな調べよ

みんなも私のような夢をもつようになるまで
あなたも私を忘れないように

銀河中が憧れと夢で一杯になるわ

だから私を連れて行ってね

https://youtu.be/G0JMs7Q3j_o

yatcha john s. 「Take me」(アルカディアの亡くなる前の調べ)photo はラベンダーの丘に落ちる流星