伊尹の導き
私が yiyin になった経緯についてお話ししたいと思います。作家の宮城谷昌光は傑出した三國志以前の中国の古代史の小説化で有名な方です。
実は、私は歴史は好きでしたが、私の四代前の先祖のことで、日本史とくに近代史についは自分の中でご法度にしていたのですが、極めて話を纏めると、宮城谷昌光の「天空の舟」二冊本を読んで、雷に撃たれるような衝撃を受けたのです。中国初代王朝の夏を滅ぼし、殷(商)を建てた天乙を補佐し、四代にわたって政治を執り続けた宰相です。その無欲さ、軽やかさ、鮮やかさ。私にしてみれば、生身の人間でできる訳がない見事な人生に感服いたしました。どういうことでしょう。彼の残した言葉の集大成があります。中国文学では最古といわれる「書経」は彼の言葉を残しています。「習いは性となる」、「永図を思え」。すべて書き出したいのですが、要するに彼の思想は、飽くなき humanism です。なあんだ、当たり前、だと思わないでください。当時、そんなことを考える人は皆無だったのです。鬼神のなせる業が全てだった時代に、革命を起こしたのです。自分の運命は自分だけで開くものだ、と初めて言った人です。夏を倒す革命は、自ずと彼の思想からでる当然の帰結だったのです。もう少し、簡単に、言います。中国の文明は彼からはじまったのです。
私の浅はかな思い込みも微塵に砕け去りました。それから、解禁。あれよあれよと地元の古代史を過去に遡ってまいりますと、ここ、ひたちなか市が、日本ではもう一箇所を除けば、世界最古(約15000年前)の定着文明の土地だということでした。
お陰で、今、私の名前は、彼に習いたい一心で yiyin と名乗らせて頂いております。