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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

禹の足摺の深層 その3

2022-10-05 19:34:59 | 古代の知恵とSF
「ジョン・ナック 『禹』の足摺の深層」その三 列島に至る長い移動の苦しみ

 『禹』について語った私ジョン・ナックは、 Yin Yi の『宇宙の組成と日本人の組成』という短い文章に触発されて、さらに日本史の真なる基層を掘り出したいと思います。

 最初の日本人が列島に辿りつくまでの長い時間の「ホモ・サピエンスの足摺」の歴史についてです。
 
  アフリカ起源のホモ・サピエンスとホモ・エレクトスの共通祖先が分岐したのはおよそ20万-180万年前。だいぶ幅がある年代想定ではありますが。
 その起源が東アフリカにあるとされています。 一説によると、7 万年前頃にアフリカを離れて長い歳月を経て世界各地へ広がり、先住のネアンデルタール人やホモ・エレクトスなどとの交代劇を繰り広げました。
 そして、3万年前に絶滅しているネアンデルタール人はホモ・サピエンスとネアンデルタール人の共通祖先から50万年前に分岐しましたが、ホモ・サピエンスは先に出アフリカを実現していたネアンデルタール人と混血しながら、北・東に拡散して行きました。当然、ユーラシアの東端に辿り着くまでにはその移動の距離を進んだ日本人の先祖が一番、ネアンデルタール人の血を濃いものとしているのは間違いではありません。それも「棲み分けの原理」に従って、環境の変化(どちらともとれる、環境悪化、食物の生育が豊かな多雨的時期)に伴って、譲る側が、移動を選択したのではないでしょうか。
 以下、日本人のハプロタイプの種類をおさらいしつつ、日本列島に到達した 約 4 万年前までの航跡をなぞってみましょう。全然興味のない人にはちょっと苦痛でしょうけど、まあ我慢してください。ただし年代の確定については研究、学者間で定説はありませんが、ホモ・サピエンスの「出エジプト」ならぬ、「新・出アフリカ」の 約 7万年前から列島到達の約4万年前までの話しです。

 38.8パーセントのD1a2aの元の D はハプロタイプ DE から 、中央アジア辺りで、分離しました。それがおそらくスンダランドの水没によって舟により北上してきたのが日本人の先祖ということで、日本で後期旧石器文化を形成したのです。E は後のユダヤ人に通じる人たちです。最近になっていわゆる「日ユ同祖論」が盛んになるのですが、その時期に、ユダヤ人の祖先のハプロタイプ E と同種であったことは特出すべき事実で、驚きです。
 5パーセントの C は、ハプロタイプ CF から分離し、F は、今、東南アジア、長江付近の人たちに濃厚に有してます。面白いことに日本人にも少々混ざっていて、日本人のアスリートに濃厚なのです。
 満州、朝鮮、インドネシアに散在する33.5パーセントのO1b2のが分離する以前の O は NOから、4 万年前に分離しています。ハプロタイプ N はシベリア辺りで濃厚。
 16.7パーセントのO2はハプログループはほぼシナ・チベット語族で、下位に分離したはミャオ・ヤオ語族、オーストロネシア語族とも関連する。そのうちの65.7%の漢族や 86.7%のビルマ系民族、50.9%の朝鮮人に高頻度であり、東南アジア人でも中頻度で見られる。モン・ミエン語族に濃厚で、大渓文化(だいけいぶんか)は、重慶市及び湖北省から湖南省に紀元前5000年頃から紀元前3000年頃にかけて存在した新石器時代の文化です。
 まとめますと、ハプロタイプ各種は、それの上部種から分離してきたのですが、環境の変化に対応して体質が遺伝子に影響を与えて生成されてきたのでありましょう。
 ここで特筆すべき点は、かの今西錦司が『生物社会の論理』 (1949) において、「棲み分け理論」を構築して、ホモ・サピエンスの繁殖、分離、移動にも関わる、という考え方が適応されると思うのです。各ホモ・サピエンスの集団がユーラシアの大平原で繁茂し、それぞれの社会的適応性の差異にしたがって、それぞれが住みやすい環境に移動していった、と考えられます。それが徐々に概ね東方に新天地を開き、さらに移動して行った平原で、更なる分化が起きた原理であろうと思われます。その様態は、「遠慮」という状況も加わって種族同士の少しの意識の差異によって分離していったのでありましょう。
 最後にもう一度、「日ユ同祖論」について少々述べますと、いわゆるAlu配列と呼ばれる約300個の特定の塩基配列(YAP+因子)を持つのはDとEのみであり、つまりYAP遺伝子というものがハプロタイプ DE に存在していますが、YAP遺伝子は中国人、韓国人にほとんどみられません。
 アジアの中で大変珍しいのです。それが日本人に多くみられるのです。
 そして、最終氷河期が終わりかけた頃の 1万 7千年前にベーリング海を越えた種族、ちょうど縄文文化が誕生した頃です。彼らは、南北アメリカ大陸のインディアンの男性にY染色体のYAP+が多く見られることから、インカ、マヤ、アステカを築いたのは、縄文人の元である列島に移動到達した日本人の先祖であった可能性が浮かびあがってきたのです。
 日本人の祖先は勇敢な「移動の民」であったのです。

https://youtu.be/vGCtK0WCe88
 
ジョン・ナック 「歴史思想書」より


ラーマヤーナとアイザック・アシモフ

2022-09-19 04:00:03 | 古代の知恵とSF
ラーマヤーナとアイザック・アシモフ

 アイザック・アシモフは『ファウンデーションの彼方へ』の中で地球人類の進化形としてのガイア人を描いています。

 人類は、人間一人一人に固有に備わっている個性や自己固有の表現の多様性、はたまた自由という想定的概念と同時に、社会の安定した秩序、全体社会との調和を達成できるのでしょうか?
 この問題は、極めて真摯に、本質的に哲学的課題の一つと思えます。

 私が思うに、アイザック・アシモフがこの小説を書かざるを得なかったということは、アイザック・アシモフも、この問題が人類にとって避けては通れない、と思ったからに違いありません。私には、最終的に彼が結局、人類の未来への可能性を探究しようとするならば、この一大課題に真っ正面から取り組まなければならなかったという確信があります。
 人類はいつから、いわゆるこの「個と全体」の問題を真摯に考えるようになったのでしょう。
 近代の世界史を見ると、産業革命時期のイギリスのチャーチスト運動からのように思えます。
そして、人間の個性を著しく抹消するファシズム、石油燃料に依存しなければならなかった二十世紀の環境問題など、がありそうです。
 しかし、ところが、驚いたことに古代インドで、なんとそればかりでなく、実際には、人類が宇宙を旅するという考えははるかに古いものです。 サンスクリット語の主要な叙事詩の一つである『ラーマーヤナ』には、大量破壊兵器で都市を破壊し、宇宙に移動できる飛行機械を描かれています。 これらが書かれたのは、西暦紀元前7世紀から3世紀にまでさかのぼります。
 思うに、個と全体との調整という哲学的課題は、人類が発祥した時から遺伝子の中に組み込まれた本来的要諦的課題なのです。
 私たちは、アイザック・アシモフを娯楽書として楽しむと同時にこの人類の究極的課題についても、引き続き考察し、議論を深めて行かなくてはなりませんね!

Yi Yin





不思議

2022-08-24 04:39:58 | 古代の知恵とSF
「そんな日々が割れて眩しかった次のページ」

よくのぼる階段が欠けてまっ逆さま
堕ちた衝撃で脳に異常をきたす

その場に居合わせた人に恋をする
それを必然と呼んだり
奇跡とも奇遇とも思いたい

「恋の不思議
さらに set me free
わざとよける
不意にぶつかる」

物語がはじまる
紆余曲折が面白いほどの

そして時が来ても目覚めない
いや
目覚めて欲しくない
錯覚や誤解を繰り返しても

そうやって今日のホモサピエンスは
進化するんだねぇ~

僕はと言えばオセンチに退化のスパイラルをやっとのことで持ち堪えていますけど

https://youtu.be/ZUgyxCR2jQY

yatcha john s. 「 不思議 」

ファウンデーションの夢 ラベンダー 1 「ポニェッツの秘密」

2021-12-25 21:28:24 | 古代の知恵とSF
38 ベイタさんへ。一人でターミナスに行かせて、ホントにごめんなさい。言われた通りに、もうすっかり後片付けが終わって、そちらに行く準備が万端ですよ。シーウィーはなんかぶつぶつ言ってますけど、心配ないわ。
 実はね、この手紙を書いたのには訳があるのよ。あなたも私のアルカディアおばあちゃんがハーブの専門家だったって知ってるわよね。ハーブはざっと挙げても 45の重要な効用がありますね。そして千の疾患に効いて、万病の予防になるってことも。その中でも、抗不安、免疫力アップ、浄化があるわね。その「浄化」っていうことに何か秘密があるみたい。
 このあいだ、アルカディアおばあちゃんの日記を見つけたのよ。それを読んでて「ハッ」としたことがあったからなの。早く知らせなきゃ、と思ってね。そのアルカディアおばあちゃんが「ポニェッツの秘密」を見つけたと記してあるわ。彼(初代アルカディアの友人、アルシアの自称保護者)がラベンダー商売で銀河を駆け巡っているとき、運悪く宇宙船の操縦装置の故障であわやブラックホールに吸い込まれそうになって気を失ってしまった時、「不死の従僕」と名のる正体不明の人物が夢に現れ、「心配するな。積み荷のラベンダーも大事ない。そのラベンダーをドーニックの農園に植えろ。」と言ったそうよ。
 あなたが見たガール・ドーニックの農園だけ、ラベンダーが咲いているのは、その「ポニェッツの秘密」らしいのです。その効用ときたら、「絶対不可能と言われている放射線物質の除染」と明記されてるわ。不思議ですね!
 ベイタさん。私の好きな詩を添えるわね。アルカディアの詩よ。
 「 ハーブ ハーブ 香る
すべての挨拶より香しい
滲みる 心に
すべての音楽より麗しい
ハーブ ハーブ 香り立つ
愛が世界へ 
今 
時を超えた 
涙 」
             母ロアより

yatcha john s. 『ファウンデーションの夢』 ラベンダー 1 「ポニェッツの秘密」