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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

2022/09/28ミーターの大冒険  エピローグ  第17話  ハニスの弱点か?

2022-09-28 20:32:18 | ミーターの大冒険
85第17話ハニスの弱点か?
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第17話 

ハニスの弱点か?

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼らの感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。

85
ハニス ミーター君、そこが重要だと、思うよ。俺は、その政治能力の限界を感じるんだよ。情報収集にかけてはターミナス一を自負するんだがなぁ!アルカディアさんのようには、うまく振る舞えない。なんたって彼女は政府から絶大な信頼を寄せられていたからなあ。それなのに、あの時の全権大使以外、政府の要職にはついてない。ここだけの話し、彼女はあのプリーム・パルヴァーの孫であったのにもかかわらず、一切、最後までその秘密を公には出してない。なんたるご人格なんだ。感服しっぱなしだ。

ミーター ハニスさん。それについてはですね、彼女の秘密というものがあるんです。やはり「ベイタ文書」のサルヴァー・ハーディンの項を熟知していました。ハーディンの能力の秘密は、なんと言っても、人間社会と未来を透視する目だったと、僕に教えてくれていました。つまり相手の弱点を利用するという技法。
ハーディンは、第二ファウンデーションのこと、銀河トランター帝国の歴史、ハリ・セルダンの「心理歴史学」をよく理解していたにもかかわらず、一切口外しませんでした。
それと「孫子」という兵学、「呉越同舟」とかいう物語まで知ってたと語ってくれました。

ハニス ミーター君。そのことは聞いている。ガール・ドーニックの奥さんのベリスさんは、おとなしい方で、穏やかな反面、隣の子であるサルヴァーを大事にして、兵法を伝授してたなんて、驚きを通り越している。
その極意とやらを俺はマスターできるだろうか?

Photo サルヴァー・ハーディン


2022/09/28ミーターの大冒険  第七部  太陽系  第3話  仏陀の悟り

2022-09-28 19:50:44 | ミーターの大冒険
165第3話仏陀の悟り
ミーターの大冒険 
第七部 
太陽系
第3話 

仏陀の悟り


あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 
 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。

 ついに太陽系の入り口にたどり着いた。人類の母なる太陽系。そして夢の地球。

 ミーターは、ロボットには病原菌は感染しないことを承知のうえで、万全の防備態勢でアルファに降り立った。そこには一人の少女が待ち受けていた。

 ミーターは、まずこの少女が語る彼らの星の名称がメルポメニアで入手したデータと食い違っていることに驚嘆する。

 さらにミーターはアルファ人の特異性について知らされる。

 そしていよいよ待望した太陽系に突入して行く。
 

165

イルミナ それにしてもスペーサーのオーロラのアマディロたちは地球を滅亡させ、今度はメルポメイア人たちが地球の移民のアルファ人たちを殲滅しようとして、失敗しているんですね。

ミーター 失敗した理由の最たるものは、ハッキリしている。一回目も実はアマディロの陰謀を見破っていたにもかかわらず人類が強く銀河に展開するのに故郷喪失という代価を支払う必要がある、とのジスカルドの第零の法則による切羽詰まった計らいであったんだ。
 でも、二回目は、それを敢えて許さなかった。セッツラーの冒険心に地球人類の将来を賭けたんだ。ダニールはスペーサー文明の衰退、いや歪みを決して見過ごしにはしなかった。スペーサーがいずれ滅ぶ運命であると達観していた。

イルミナ そういうことね。それにしても、第零の法則は、地球文明の曙時代のある布教者の教えに似ていますね。

ミーター それって誰だっけ?

イルミナ 地球太古のテンジクのシッダールタ、とかいった人物よ。「汝、執着するなかれ!」っていう、あれよ。

ミーター なるほどね、地球人は、地球に執着した。スペーサーはスペーサー・ワールドに執着した。
 今度は銀河帝国は銀河に執着した。だから滅んたんだ。

イルミナ 深い真理ですね!
 じゃあ、それが真理でしたら、地球の汚染も、銀河の復興も、そのままにしておいた方がいいのではないんのでしょうか?

ミーター 本当だ。おまえの言うのが正しいのかも知れない。
 う~。深い。悩むなあ。折角、太陽系の入り口に来たというのに、断念することが正しいのか?

イルミナ ごめんなさい。要らぬことしゃべっちゃいました。わたしとしたことが...
 また軽はずみでした。取り返しがつかないわ。

ミーター いいや、おまえの言ったことは実に意味深い。それでこそファウンデーションの図書館の存在意義だ。かえってお礼を言いたいくらいだ。
 恐れ入った!
 それに、地球復興と銀河復興もアルカディアの悲願であるからと言って、そう単純に「はい、そうですか」と言っておめおめと従うというのも皮相的判断だ。
 この考えは、今までの努力と俺の仲間たちの願いと言えども、それを引き換えにしても、根本から考え直す意味があると思う。実に大事で究極的チャレンジだ。
 イルミナ、おまえだったらどうする?

イルミナ やっぱりふってきましたね。 
 
 どうでしょう、地球まで行ってからでも遅くはないと思いますけど。不死さんにお会いしてからでも遅くはないと思いますけど。

ミーター うむ!

 それから、ここアルファの空間座標の位置なんだが、メルポメイアで入手した宇宙立体図表を頼ってここまでやって来たんだけどな。

イルミナ なんですか?

ミーター メルポメイア人がアルファに破滅兵器を投下するにはだいぶ不利な位置にアルファはある。
 太陽系からみると、アルファはどちらかというとメルポメイアの反対側に近い。

イルミナ じゃあ、わたしたち、遠回りして来たっていうことになっちゃったていうのね。

ミーター そうなんだ、でもこれが不幸中の幸いになった。

イルミナ どういうこと?

ミーター 座標の誤差を船のコンピューターが計算して、太陽系の正確な位置を明示してくれた。
 それから、もう一つのこともわかった。
 
 スペーサーたちの50の惑星群の座標をみると、太陽系を包んでいるような配置なんだ。
 ところが、ここアルファから銀河深遠部に向かって極めて狭い抜け道っていうか、ここだけがポカンと開いてた。ここから抜け道ハイウェイがひらかれている。

イルミナ ということは、のちにセッツラーが銀河に向かって拡散していった中継地が、ここアルファっていうことね。
 このルートを設定したのは、ダニールさんっていうのね。ダニールさん、凄いわ。
 それでかえって太陽系の位置がわかったっていうのね!


ミーターの大冒険  エピローグ  第18話  ハニスの弱点か?

2022-09-26 21:41:25 | ミーターの大冒険
85第17話ハニスの弱点か?
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第17話 

ハニスの弱点か?

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼らの感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
 
 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。

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ハニス ミーター君、そこが重要だと、思うよ。俺は、その政治能力の限界を感じるんだよ。情報収集にかけてはターミナス一を自負するんだがなぁ!アルカディアさんのようには、うまく振る舞えない。なんたって彼女は政府から絶大な信頼を寄せられていたからなあ。それなのに、あの時の全権大使以外、政府の要職にはついてない。ここだけの話し、彼女はあのプリーム・パルヴァーの孫であったのにもかかわらず、一切、最後までその秘密を公には出してない。なんたるご人格なんだ。感服しっぱなしだ。

ミーター ハニスさん。それについてはですね、彼女の秘密というものがあるんです。やはり「ベイタ文書」のサルヴァー・ハーディンの項を熟知していました。ハーディンの能力の秘密は、なんと言っても、人間社会と未来を透視する目だったと、僕に教えてくれていました。つまり相手の弱点を利用するという技法。
ハーディンは、第二ファウンデーションのこと、銀河トランター帝国の歴史、ハリ・セルダンの「心理歴史学」をよく理解していたにもかかわらず、一切口外しませんでした。
それと「孫子」という兵学、「呉越同舟」とかいう物語まで知ってたと語ってくれました。

ハニス ミーター君。そのことは聞いている。ガール・ドーニックの奥さんのベリスさんは、おとなしい方で、穏やかな反面、隣の子であるサルヴァーを大事にして、兵法を伝授してたなんて、驚きを通り越している。
その極意とやらを俺はマスターできるだろうか?


ミーターの大冒険  エピローグ  第16話   幽玄のなかの先駆者との対話

2022-09-25 17:49:30 | ミーターの大冒険
84第16話幽玄のなかの先駆者との対話
ミーターの大冒険 
エピローグ 
第16話
 
幽玄のなかの先駆者との対話

あらすじ

 アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。

 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
  
 ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。
 彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
 ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。
 果たして、彼らの感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?
 ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。

 しかし、これらの神妙な邂逅は、いやがうえにも「青の世界から黄色と紫の未来へとシフト」して行くには通らねばならない欠くべからずの通過点なのには違いなかった。

 ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。

 暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
 

84
ハニス ミーター君、今回の旅はすべて順調、大成功だったと言える。
 あのアルカディアさんが、「銀河は謎に満ちてる」と言ったことばの意味を少しは理解できたんだよ。
 生きてる俺らは、幽玄の世界に生きている先駆者たちと会話することが大事なんだ。その意味で、歴史消滅の結束点以前を探ることは、混沌の暗黒時代を切り開く鍵なんだよ。つまり故郷の星にたどり着く旅こそ次の大銀河を復興することに繋がる。
 よーし、俺が今からやる行動も明確になった。
 まず、君やオリンサスさんを助けて、大銀河横断の旅に行かせる。
 オリンサスさんが早く「心理探査イルミネーショナー」を完成してもらえるように協力するよ。

 もう一つは、この腐りきったターミナス、第一ファウンデーションを正しい軌道に戻す。

 そして、第二ファウンデーションや反ミュールの連中と協力して、銀河復興の土台を築く。           もう俺は命を賭けるしかないな!

 ミーター君、「アルカディアの真実」というのはねぇ、ジスカルドと不死の従僕がつくった第零の法則を超える行動を人間がとることなんだよ。

 まず、そういうことで、ロボットであるミーター君に、人間である俺の命を捧げる!

ミーター ハニスさん。ありがとうございます!
 ああ、涙が...

 でも、あなたは僕が涙を流すロボットだったということを、どうして分かったんですか?

 それに、政治の世界は危険がいっぱいですよ。十分気をつけて下さいね。

yatcha john s. 幽玄の中の先駆者との対話

Photo ∶ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙を観ることの先駆者の記念すべき道標です。


ミーターの大冒険  エピローグ 第15話 マイコゲンの秘密

2022-09-25 06:02:06 | ミーターの大冒険
83第15話マイコゲンの秘密
ミーターの大冒険
エピローグ
第15話

マイコゲンの秘密


あらすじ

アルカディアが81歳で亡くなった。
 
 ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガール・ドーニックの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
 そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
 ジスカルド・ハニスはミーターの巧みな誘導によって、ジスカルド・ハニスがジスカルド・レベントルフ由来の命名であることに気付かされ、オリンサスが今の携わっている図書館改造に真摯に向き合う決心をする。ハニスの外遊が始まろうとしている。が、第2ファウンデーション及びまだ隠されているもうひとつのグループに会合できるかは、未知数であった。
 彼のジャーナリストとしての直感は、まずイオス星のドース・ヴェナビリに焦点が当てられた。
 ドースはハニスを快く歓迎して再会に際してハニスがとるべき次の一手を教授する。ドースに会ったハニスは、「反ミュール」という不思議なグループがトランターのヘイム人の中に入り込んで、第2ファウンデーションの動きにある一定の干渉作用を及ぼして来ていることを明かす。
 ハニスはそれを聞いて、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。
 それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。

83
リー・センター(対外的な名称 ジスカルド・ハニスさん、ここマイコゲン地区にある、金属という金属全部、あるいは利用可能な機械類、集積回路類は全部ご提供致します。ドースさんからの連絡で、快くご協力致します。なにしろ二つのファウンデーションともう一つのグループが一致して、暗闇からの銀河復興を成し遂げることが、われわれに課せられた唯一の願いなのですから。
 
ハニス リー・センターさん、貴方は何人目のリー・センターさんなのですか?

リー・センター ハニスさん、あなたはそこまでご存じだったとは、驚きですよ。われわれは、現在は、農業輸出星ではありますが、銀河帝国崩壊後は、ニュー・トランターと農業生産物と金属類との貿易で補完関係にあります。
 では、ここマイコゲンの由来もご存じのはずですね。

ハニス いいえ、存じ上げません。マイコゲンの由来とは?
 何か銀河帝国の起源について、この場所と深い関係がありそうなニュアンスですね。

リー・センター 今から1万1千年前の、銀河暦の初まりの1000年期について、なにも伝わっていないという状況のなかで、チャッター・ヒューミンという名前で、かの不死の従僕は、ハリ・セルダンをこのマイコゲン地区に陰ながら誘導して、徐々にではあるが、着実に、ハリの「心理歴史学」を、完成に向かわせていったのです。
 
 私は、100年前の第一発言者のような銀河を出回っての活躍はできないですけれど、いよいよ銀河復興の探索工作に出て行く時期ではないかと考えております。その具体的な行動を託せる次期第一発言者に譲りたいと願っています。
 そうして、第一ファウンデーションとの確執云々などの問題どころに拘ずり合っている場合ではありません。もうすぐ銀河復興に直接的な取り組みをしなければならないでしょうからね。
 それと同じように、極めて最近、様々な起源譚が妙に解き明かされ初めているのですよ。実は、「反ミュール」というグループが、最近われわれに干渉しはじめているのにも、なんらかの訳があるみたいだと感じています。

ハニス マイコゲン地区とは?

リー・センター 正直にお伝えいたします。あなたには、ドースさんから、そうするように依頼され、わたしもそうすべき、と考えておりますので。

 トランター星がこの銀河のセンターを占める段階で、当初からこの星に入植したスペーサーという50もの星のグループの、中心星「オーロラ」に纏わる事実もセルダン理論の構築に大いに作用しました。その起源、オーロラ人の聖地がここマイコゲンなのです。われわれ第二ファウンデーション人も幾分かは彼らの血を受け継いでおります。

 また、それにセルダンから300年目には、突如としてミュールが出現して、この銀河を席巻しました。そして彼は、順調に進んでいたと信じられていた「セルダン・プラン」の機能を停止させてしまいました。
 そのことが、皮肉にも逆説的に、その「セルダン・プラン」の真実を浮き彫りにしてしまったのです。
 ですから、今回のドースさんからのご依頼は、新しい時代の始まりのように思えるのです。言うなれば、最終的なその入り口なのです。

 是非とも、あなたハニスさんが、ミーター君やオリンサス・ダムさんとともに、これからの二者、いやもう一者を加えたグループとともに銀河復興の時代を作り出して頂きたいと願うものです。

ハニス なんと、ミーター君のことも、あなた方はご存じなのですね!ミーター君と、新時代の探索機能装置を作りつつあるオリンサス・ダムさんとファー・スター2世号には、いい土産をもって帰れるというものです、センターさん。

https://youtu.be/cUSl1dc_qCc

yatcha john s. 「 マイコゲンの秘密 」