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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ミーターの大冒険 エピローグ 16 「ハニスの弱点か?」

2022-04-10 12:07:42 | ミーターの大冒険
16 ミーター君、そこが重要だと、思うよ。俺は、その政治能力の限界を感じるんだよ。情報収集にかけてはターミナス一を自負するんだがなぁ!アルカディアさんのようには、うまく振る舞えない。なんたって彼女は政府から絶大な信頼を寄せられていたからなあ。それなのに、あの時の全権大使以外、政府の要職にはついてない。ここだけの話し、彼女はあのプリーム・パルヴァーの孫であったのにもかかわらず、一切、最後までその秘密を公には出してない。なんたるご人格なんだ。感服しっぱなしだ。

 ハニスさん。それについてはですね、彼女の秘密というものがあるんです。やはり「ベイタ文書」のサルヴァー・ハーディンの項を熟知していました。ハーディンの能力の秘密は、なんと言っても、人間社会と未来を透視する目だったと、僕に教えてくれていました。つまり相手の弱点を利用するという技法。
 ハーディンは、第二ファウンデーションのこと、銀河トランター帝国の歴史、ハリ・セルダンの「心理歴史学」をよく理解していたにもかかわらず、一切口外しませんでした。
 それと「孫子」という兵学、「呉越同舟」とかいう物語まで知ってたと語ってくれました。

 ミーター君。そのことは聞いている。ガール・ドーニックの奥さんのベリスさんは、おとなしい方で、穏やかな反面、隣の子であるサルヴァーを大事にして、兵法を伝授してたなんて、驚きを通り越している。
 その極意とやらを俺はマスターできるだろうか?

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 エピローグ 16 「 ハニスの弱点か?」

Photo ∶夏の夜空を焦がすシューティングスター。ミーターMeeter は、この英語Meteor からとられている。


ミーターの大冒険 オーロラへ 14 「ウォンダと『極蘇輻射体』」

2022-04-07 01:18:30 | ミーターの大冒険
14 イルミナ、オリンサスさんがお前をつくるのにどれだけ奮闘したかわかってるよな。最期の最期になってどうしても解決しない部分があったんだ。

 わたしを産み出すための産みの苦しみといったところですね。

 イルミナ、いいか、オリンサスさんは、ハニスさんの努力でレアアースも手にいれた。しかし、イルミネショナーをどうしても完成させることができなかった。完成させるのには、ある機能が必要だったんだ。その手がかりを血なまこになって探した。その不休不眠の結果、持病の心臓病を悪化させた。ある日、その欠落部分の手がかりを思いついた。最期の気力を振り絞ってピレンヌ像の土台部分を探った。
 若い頃知り合ったコンポレロンの友人の言葉を思いだしたからなんだ。

 ミーター、それってもしかしたら、「極素輻射体」っていわれている例の装置のことかしら?

 そうだ図星だ!イルミナ、実はコンポレロンは、もうひとつのファウンデーションと関係があるって、知ってるよな。そのもうひとつのファウンデーションは、セルダンの孫ウォンダとステッティン・パルヴァーの二人から出発した、と言われている。その後、ボー・アルーリンが加わり、彼のみ初期のターミナスでガールとファウンデーションの創立に尽力した。そのアルーリンはハーディンを指導した。そして、ハーディンにその銅像と「時間霊廟」建設を託し、目立たないように陰ながらハーディンにターミナスの全権を託して世を去った。もしかしたら、アルーリンはコンポレロンの出身だったかもね。これ以上は、推測の域をでないが、そのコンポレロンと「不死の従僕」とは何らかの関係がある。

 ミーター、すごいわ!その「極輻射素体」とやらってどういう形状で、どういう機能があるのかしら?

 残念だが、今は、ハリ・セルダンの「心理歴史学」の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわからない。ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に記されてある。そしてウォンダから引き継がれきたペンダント。
 しかし、イルミナ、それがまた少しずつわかってきた。われわれの大事な使命を手伝ってくれるものが、もうひとつ見つかったような気がするんだ。

 すごいわ、ミーター。おさらいするね。
 この銀河復興には、カビレ第三惑星、アタカナの発見と再生がもとめられている。それと同時に歴史消滅以前の全容もわかってこなくちゃね。
 その任務遂行には、えへん、わたしという素晴らしい新兵器、それとミーター。そしてこの航宙船ファー・スター2世号。それら全部にその「極素輻射体」がかかわっているっていうことね!
 それで、ミーター、オリンサスさんが見つけた手がかりというのは?

 今から話す。

https://youtu.be/oHdJas4t9_Q

yatcha john s. ミーターの大冒険 オーロラへ 14 「ウォンダと『極輻射素体』」


ミーターの大冒険 オーロラへ 13 「ルイス・ピレンヌの銅像の秘密」

2022-04-06 12:06:25 | ミーターの大冒険
13 ハーディンは、ルイス・ピレンヌをターミナスの偉人として、ハリ・セルダンの忠実な後継者として、ピレンヌの死後、モーヴの市民が後の時代まで、言うなれば、この銀河の復興の時が来るまで、なんども繰り返し思い起こすべき精神の記憶として彼の銅像を図書館広場に立てたんだ。みんな、ハーディンの巧妙な企ての遺産なんだ。

 ハーディンの二番目の娘をドーニック家の養子にもらい受けたのが、ガール・ドーニックの娘ドース。ハーディンの娘の名前はグレディア。なぜ彼女が、紫色に光るラベンダー農園を始めたか。このことについては、信じられないような経緯(いきさつ)から来ている。

 ミーター、そのグレディアさんとオリンサスさんとどういう関係があるっていうの?それと、「ふるさとの星アタカナ」や「銀河復興」と何の関係があるっていうの?全く謎なんだから。

 イルミナ、言っておくがな、俺って単なる「翻訳・通訳ロボット」じゃないんだからな、天下逸品の謎解きロボットだからな、覚えておくんだ。それにアルカディアのお墨付きもある。自称、『児童のための知恵の書』に出てくる故郷の星にいた謎解きの達人シャーロック・ホームズの三代目なんだぞ。

 なによ、大げさで仰々しいこと。ハイハイ、承っておりますので、ユックリ説明してくださいね。お願いしますわ。

 実は、そのルイス・ピレンヌの銅像こそ、秘密の扉だったんだ。オリンサスさんは、それを突き止めようとしていた。その糸口が、コンポレロンの友人からの話。そしてなんどもその場所を調査し、そこからついにその鍵を見つけた。
 ビックリするなよ。それがお前と深い関係がある。

 えっ!私と。

 当然だ。ルイス・ピレンヌと言えば、ファウンデーション帝国辞典編纂図書館の象徴。言うなれば、今のお前そのものなんだからな。これからユックリ話す。

 えっ!!

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 13 「ルイス・ピレンヌの銅像の秘密」


ミーターの大冒険 エピローグ 13 「 反ミュール 」

2022-04-06 12:01:58 | ミーターの大冒険
13 先ほどお話いたしましたように、我が盟主 からは、あなたの将来いたすであろう尊いご行為のゆえに、あなたには肝心な真理は残さずお話しするように承っております。

 まず第二ファウンデーションについては、あなたの第一ファウンデーション(ハニスは、その政府から敵対分子と目され始めている)と期を一にして、以前の第一発言者プリーム・パルヴァーの最も安定期からの逸脱の時代を経験して来ています。 それというのは、

 あなたがご記憶されておりますように、Rミーター・ダリルの記憶装置から、アルカディア・ダリルの記憶を掘り出して下されば、現在のトランターのヘイム人の中に、「反ミュール」というグループが、徐々に活動をし始め、言うなれば、第二ファウンデーションとの融合に関わって来ているという事実です。

 反ミュール?

 そうです。現在の第25代第一発言者クィンダー・シャンデスは強く意識し始めています。彼は、安楽の世紀が終わりを告げ、最終的逸脱の時代が訪れ、その後、「銀河の大復興期」が突如として到来することを感じ始めているようですよ。しかも、今までのような「心理歴史学」を発展させ、その深化型の「微小心理歴史学」という形という点が重要です。
 彼はセルダン由来の極素輻射体を駆使して、「最終的逸脱の青の時代」が近づいていることを見いだしのです。
 「反ミュール」とは、いい得て妙です。
 あのミュールの「セルダン・プラン」を崩壊させる、その逆の動機で、「セルダン・プラン」を「完成」させるためのグループです。今、やっとこの銀河の表舞台に踊り出て来たということです。
 これを最初から気がついていたのが、ガール・ドーニックであり、ベイタ・ダリルだったのですよ。
 いよいよ、最終的段階に差し掛かっています。
 あなたのお仕事は、ミーターを助けて、この舞台の土台をつくりあげることなのです。
 あなたの政府も、苛立ち始めたのも、同じような理由からです。
 アルカディア・ダリルは、周到にこの準備を用意してくれましたわ。偉大な業績ですね!

 そして、さてさて、彼ら、ガイアの活躍が見ものですね!
 さらに言うなら、「紫色が、黄色とともに輝き出す」時期がいよいよ到来するんだわ!

https://youtu.be/G0CRPNRwWU0

※ラカーユによって新たに命名されたReticuli 座は、旧来の神話による裏付けがありません。それゆえ、新しい神話は、今を生きる私たち一人一人が、つくる必要があります。

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』エピローグ 13 「 反ミュール 」


ミーターの大冒険 オーロラへ 12 「ファウンデーション暦55年?」

2022-04-06 04:37:21 | ミーターの大冒険
12 ミーター、あと三回のジャンプでコンポレロンの太陽の星域に入るわ。
 でも、やっぱりハニスさんの発言には納得できないわ。なによ、『時代遅れの風采の相棒君』って、宇宙一の美女イルミネーションに向かって、失礼だわ!

 イルミナ、まだ怒っているのか。あれは、ハニスさん特有の誉め言葉なんだ。なにか新しい情報を掴んだ時によく嫌味な皮肉をいう癖があるんだ。あのコンパーさんの人を煙に巻くような態度じゃない純粋な人間味がハニスさんの性格なんだ。もう少し彼を理解してやった方がいい。
 それにしても、「時代遅れの風采」とはピッタしだわな!今では図書館の設備はスミルナやシウェナの方が見事だから。
 
 なによ、ミーターまで。なぜ、スミルナやシウェナの方が凄いって知ってて言ってるの?
グレディアさんがターミナスで初めたラベンダー農園は、その後、彼女の娘アルカディアさんや孫娘のアルシアさんによってスミルナに移植されたんです。そしてアリシアさんによって、さらにアグロフォレストリーがシウェナに移植されて、両方の星は繁栄したんですからね。みんなターミナスのおかげなんですからね。それで図書館も立派になって。それでもトランターにあった旧銀河図書館の全蔵書は私のところに移転されたのよ。

 ごめんごめん、
 確かに「銀河帝国辞書編纂図書館」という呼び名は古すぎるけどな、ハニスさんが、オリンサスさんの我々に伝えきれなかった伝言について思い返していたところなんだ。ハニスさんは、僕にこの船に乗り込む前に伝えてくれたんだ。

 オリンサスさんが、例のお前の図書館の隣にある「辞典広場」のルイス・ピレンヌ博士の銅像の下で倒れていたところをコンパーさんが見つけて介抱してあげた、ということは知っているよな。実はそこになにか重要な真実を発見して、それを僕らに伝えたかったんじゃないかと思っていたんだが。ずっと気にはなっていたんだ。僕は今、お前の今の言葉でなにか気がついたようだ。

 いわば、ハーディンの秘密がな。すなわちそれは「アルーリンの謎」と言い換えられるってことさ。「辞書編纂財団」のルイス・ピレンヌにも関係があるかもね!

 なによ、回りくどい言い方ね。私のどんな言葉で、ミーターが何に気がついたって言うんですか

 お前の「グレディア」っていう言葉さ。なぜハーディンが彼の次女に「グレディア」という名をつけたかということ。
 お前に確認したい。「銀河百科辞典」第一版は何年に発刊した?

 ミーター、それは確か、ファウンデーション歴55年だわ。それが何か???

 

yatcha john s. 『ミーターの大冒険』 オーロラへ 12 「ファウンデーション歴55年?」