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仏語、英語学習者。アイザック・アシモフのファン。ノース・ホワイトヘッド思想信奉。縄文志向、仏陀志向。

ファウンデーションの夢  第七部  アルカディア・ダレル   第2話   深夜、窓を叩く音がする

2022-08-13 01:05:50 | ファウンデーションの夢
48第2話ファウンデーションの夢 
第七部 
アルカディア・ダレル
第2話
深夜、窓を叩く音がする

あらすじ

 ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

 ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

 ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)に住んでいたのでしばしば泊まりに来ていた。

 時代は、ターミナスも徐々に往時の精彩を欠いて来たインドバーの世襲政権のもと、時代の暗雲に気付いていた数名の人々がいた。
 一人は心理学者、エブリング・ミス。もう一人は貿易商人のランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもその一人に加えなければいけない。
 
 ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの出身星ヘイブンに赴く。そこで、トランの叔父のランデュに新婚旅行にカルガン行きを勧められる。ハネムーンは数日で今後の銀河を揺り動かす大事件に移行する。

 ミュールの宮殿から道化師がハネムーン中の両人に助けを求めて来た。

 その道化師はボボと名乗った。彼らは早々宇宙船の格納庫に戻る。

 そこに第三者がまた登場する。
 二重スパイ!?

 そのハン・プリッチャー大尉は、すでにミュール(ボボ)によって、洗脳されていた。

 さらにミュールはトラン・ベイタの宇宙船でターミナスまで同乗し、モーヴ市に降り立ち、ファウンデーション軍の宇宙戦艦軍に喪失感を与え、ハリ・セルダンの出現する時間霊廟に集う人々を降伏感へ誘導し、一日に、完全占領してしまった。

 最後の救いの砦であったファウンデーションの遊軍、独立貿易商人協議会連合の星々も、戦意を喪失。ミュールの圧倒的な感応力の前ではなすすべもなかった。ヘイブンに一時避難したベイタ夫婦とボボとエブリング・ミスは、トランターに赴くことになった。ランデュはボボの存在に何かを察するようになったが、ランデュは残った。

 トランターでは、旧ストーリーリング大学付近の自称コンポレロン人たちの農村共同体が300年祭の催し物の準備で忙しくしていた。そこの村長、リー・センターは彼ら4人を丁重に向かい入れてくれた。

 彼ら4人を、トランターの農村指導者家族は丁重に、ファウンデーション300年祭の晩餐会に、趣向を凝らして招き入れた。その席には同じくネオトランターから来ていた(?)、一応議会議長と言う立場の、ヴェナ・ビリ女史がいた。

 エブリング・ミスはボボと一緒にストーリーリング大学の一室に籠って、当のミス博士は食事も絶って一心不乱に調べものに没頭していた。
 
 事件が突然起きたのは、そんなやさきだった。エブリング・ミスは、何かを発見して、訪ねて来たベイタに口を開こうとした瞬間のことだった。

 ヴェナ・ビリ女史も程なく息を引き取る(停止する)。

 そのエブリング・ミスとボボがいた場所が、300年前のハリ・セルダンの心理歴史学の研究室であったことがわかるのは、ベイタ・ダレルの孫アルカディアがトランターを訪れてからのことであるのだが。

 結局、ミュールはエブリング・ミスに密着することによって、第2ファウンデーションを探り当てて、撲滅を計ったのだが、ベイタと第2ファウンデーションに阻まれたことになった。

 ミュールはかねてから目論んでいた第2ファウンデーションの在処をダゼンダと振り替えることにする。

 のちにこの一連のミュールに対する誘導には、ベイタ、第2ファウンデーションの他に、反ミュールの勢力が関わっていたことが明らかとなる。

 こうしてベイタの活躍は終わり、次の舞台に替わる。ベイタの孫、アルカディアの舞台である。

 読者は『ファウンデーションの夢』の続編『ミーターの大冒険』の主人公、ミーターの姓が、マロウであることはご存知であろう。
 要するに、ミーターの主人、アルカディアが、このロボットにマロウの姓をつけた理由が、祖母であるベイタの旧姓がマロウであって、そのベイタをこよなく尊敬していたからであったことがお分かりになったでありましょう。
 

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アルカディア 行くわね、ミーター。
 ははは、しめしめ、同級生のオリンサス・ダムをデートに誘ったら、特殊盗聴機を作ってくれたわ。
 これでお父さんたちの密談を傍受できるっていうことだわ。 夜な夜なの会合なんて、普通じゃないんだからね。

 このあいだの作文、学校でボツになったなんて悔しい。 その理由が馬鹿げているんですから。
 名門ダリル家のご令嬢の作文としては国家秘密に入れなければならないくらい、優等過ぎるっていうのよ。 ある学者なんて、一回読んで、彼の手が震えていたというの。 そんなことあり得る? こっちは宿題で書いただけだというのに。 ミーター、これはボツだわ。 初めから行くわね!
ミーター アルカディアお嬢ちゃま、私、論文作成機といたしましては、ボツの方が嬉しいのです。 あなたの論文は、纏めようのない独り言みたいですから。
 気にさわられたら謝りますけど。

 お嬢ちゃまはやめてね。 アルカディーと呼んで、お願いね。

 うん、タイトル、『追憶の鍵を開けて』を書く気になった動機は、五十年前の祖母ベイタの新婚旅行からの出来事からである。
  彼女の夫の故郷ヘイブンに着いたそうそう、カルガンに行ったと思ったら、数日もしないでターミナスに戻り、あの忌々しいミュールの占領にあった。
 占領間際、彼女は辛くも脱出したもののその後、彼女は暫くしてターミナスに戻り、彼女の老後を安らかに過ごしたのであるが、その間の出来事が一切、謎なのだ。

 トントントン。

ミーター  アルカディー。 途中ですみませんが、やはり文脈が合いませんが?
 トントントン、とは?

アルカディア ミーター、私、トントントン、なんて言ってないわよ、深夜であなたも疲れたのかしら!

ペアレス・アンソーア ごめんください。 さっきから窓ガラスを叩いているんですが、開けてくれませんか、僕は、ペレアス・アンソーアと申します。
 決して怪しい者ではありません。 ちっちゃくてかわいいアルカディーちゃん。
アルカディア まあ、失礼ね、もう私、たいした淑女ですから。
  泥棒でも二階の窓なんか、叩いたりしないわよ、怪しくないわけないでしょう。
 多分、父さんに会いに来たのでしょう。 わかってるわよ。
 今頃は一階の玄関でブザーを鳴らしても無駄ですもん。 お手伝いさんはずっと留守ですからね。
 それに「かわいい」はよして、誰が窓なんて、開けてあげるもんですか。 今は私忙しいんですから!



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