ファウンデーションの夢
第五部
Tee Tree
第4話
私の彼は宇宙飛行士だった
物語の大枠
第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言
第四部「Tee Tree 」の大枠
26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション
あらすじ
ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。
それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。
ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。
ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。
ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。
ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
そして親しげにガールに話しかけてくる。
無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
再生の命というものなのであろうか!
ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。
それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。
そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。
グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。
彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。そのグレディアの娘アルカディア(後のミーターの主人アルカディアとは別人)に敬意を払い、親交の絆を絶やさなかった貿易商人がいた。彼の名は、ポエニッツ。後にミーターの地球復興の大事業に連なる基礎になる活躍をすることとなる。
その後、アルカディアとその娘アルシアは、ターミナスな人口の過剰問題を慮って、スミルナに移住する。そこで世話になったのが、馬の首暗黒星団付近のネフェロス星の最高貴族の血脈をもつバイロン・ファレルであって、当時、サマーセックの独裁政権に大して反対派の運動員をしていた。
29
バイロン・ファレル 初めまして、ようこそ我が家へ。僕がここの主(あるじ)バイロン・ファレルです。片付いておりませんが、今日からご自分のお宅としてお使いください。
アルカディア なんとお礼をいったら!
アリシア なにを偉そうに! あんたは誰よ。 こんな汚いボロ家なんかに誰が住めるって言うのよ。
アルカディア 静かにして、アルシア。あなたも、そうとうおバカさんね。この人は私たちの命の恩人だっていうのに。
アリシア 命の恩人?!?
アルカディア そうよ。海(宇宙)賊船に襲われそうになったとき、近づいてきた三つ星と宇宙船のマークのファウンデーション宇宙軍の船。コックピットで敬礼していたパイロット、見えなかった?
この方よ。その時、ピーンときたのよ。全部ポエニッツさんの手筈通りだと。
バイロン おっしゃる通りです。僕はあなたたちが来られるのを、ずっとお待ちしておりました。
アルカディアさんがおっしゃた通りです。
僕はポエニッツさんの以前からのファンなんです。
これは完璧にポエニッツさんの仕組んだ筋書き通りなんです。
ターミナスの船はポエニッツさんからの譲り受けで、擬装するのに一週間で仕上げたんです。
ポエニッツさんは別な船で別の星系に今頃は飛んでます。
今、スミルナの宇宙自衛軍を辞めて来たばかりです。僕はポエニッツさんから沢山のことを学びました。
僕の先祖は元はと言えば、帝国の貴族の出身なんです。なんか、馬の首星団の暗黒星雲の近くのネフェロス星の最高貴族だったという言い伝えがあります。
ファウンデーションが来るまではこのスミルナはセフ・サーマックの独裁政権でした。私の父は大牧場をやっていたのですが、没収されて、石炭鉱山に連れて行かれて、失意のうちに死にました。
僕の使命は、サーマックの残党を撲滅することなんです。
僕は、明日から町に住みます。必要な時はいつでも呼んでください。すぐ駆けつけますから。それでは失礼します。
アルシア なんて生意気なやつ。お母さん、あんな男。信用していいの?
アルカディア そんなことないと思うわ!彼ってハンサムだけじゃないみたい。しっかりしてるわ!惚れぼれするくらいよ。あなたのお婿さんにピッタリね!
アルシア お母さん。なに冗談言ってるの!
yatcha john s.
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