Inuyama はこの発見が地球と太陽系の新たな起源についての確固たる証拠になるのかとまだ疑心暗鬼のままでいた。まだこのことを学会に発表すべきなのか迷っていたのだ。
背後からは彼が合成した昔の彼女の音声が少しうるさいくらいの調子で聞こえてきた。
「ファルコンからのデータはもう届いています。
これでデータはすべてそろいました。
当初の目論見通りです。
もう躊躇する段階ではありません。
あとはキャップの判断を待つのみです。
キャップ、
どうされますか?」
かつて小惑星帯よりの砂漠地帯に落下した炭素系コンドライトのAcfer(アスファ)094隕石の内部から「氷の化石」を見つけたのだ。
この隕石は太陽系のスノーラインを越えて来たものに違いない。
Inuyama は目の前に広がる深緑の海に煌めく一筋のマジック・レイを容易く想像できた。
「そうだ、言われるまでもない。
あの昔2人乗りの自転車で駆け登った
丘から見下ろした
星空の光景と似ている。
あの時の彼女の瞳の閃きに。」
「そうだ、想像以上に辻褄が合う。
煌めく緑色の宇宙からの光線が見える。
おっしゃる通り、
もう躊躇しているときではないな!」
https://youtu.be/gjhUeR-3JfY
yatcha john s. 「マジック・レイ」(たわいもないショート・ショート)
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