57第11話
ファウンデーションの夢
第七部
アルカディア・ダレル
第11話
牧人の花園、アルカディア
あらすじ
アルカディアの長い家出の休暇が始まろうとしていた。それはモーヴ市に隣接するアルティメット空港からの出来事であった。が、それが全銀河を揺り動かすことになる。
はたして、アルカディアの密航の目的とは?
アルカディアは、カルガンで叔母のカリアに出逢う。しかしカリア・パルヴァーは、第2ファウンデーションのエージェントだった。
しかし、アルカディアは、非感応者であるアルカディアの目の奥を見つめるカリアの眼差しを、拒絶する。
カルガンがダゼンダを襲撃した。
一農業星に凋落したトランター(400年前は天の川銀河の中心)の農業組合長のプリーム・パルヴァーは、カルガンとの取引の交渉のため、また娘のカリアに久びさに会うためカルガンに来ていた。
戦争の勃発で商談は中止。やむ無くトランターに帰ろうとして、宇宙空港にいたとき、カリアから逃げてきたアルカディアと遭遇、彼ら老夫妻はアルカディアをトランターに連れていくことにした。
すでにパルヴァーは、この少女が自身の孫であることは承知していた。
アルカディアは、戦時下であるため、銀河定期便のスペース・シャトルバスに蛸部屋しか割り当てられなかった。
そこで、アルカディアは、ミーターを相手にカリアの正体やホバー・マンの変身ぶりの事情を理解する。また戦争終結の策にも考えが及ぶ。
ホバー・マンは、第2ファウンデーションの感応力によりコントロールされ、ダゼンダにカルガン軍殲滅の方策を伝え、ダゼンダの対外交渉を一手に掌握、戦後処理にカルガンの占領総司令官に任じられ、両政府の全権大使としてターミナスに戻った。空港の入管で、感応解除装置で、元のホバーに戻る。
方や、トランターでは、完全失敗に見せかけるのに成功したペアレス・アンソーアが、第1発言者プリーム・パルヴァーに帰還報告をする。
アンソーアがただひとつ失敗したこととは、
ダレル家初訪問の際、二階の窓を叩いたことだった。
つまり、眠れる牧人を起こしてしまったことであった。
こうしてしばらく後、ようやくにして、両ファウンデーションの蜜月時代の扉が開こうとしてきた。
実際に蜜月時代の到来を実現するのはもう少しの時間が必要であった。
それは、長い間の両陣営の結実と言えるミーターの存在なくしては語られないであろう!
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アンソーア ナロビ長老、只今帰りました。
ナロビ アンソーア君、結果は成功だ。
ご苦労であった。これでしばらくはファウンデーションはいい方向に推移する。
ベイタが見いだした真のセルダンプランは安泰だ。
しばらくは我らを敵視することはあるまい。そしてここが、第二ファウンデーションだということも隠せたことになった。
ただ、あのアルカディアは、賢過ぎる。今回のプランは全部彼女のアイデアだよ。心で全てそうするように私に訴えていたんだ。私はそれを実行しただけだ。
アンソーア あのアルカディアがですか?
ナロビ わからんかね?彼女は、前から、トランターが第二ファウンデーションだということを知っていたのだよ。ダレルと二人だけがな。
私の娘ジータを失って悲しんでいたダレルを帰るように仕向けたのは、私だがな。
明日からは君が私の後任だ。第一発言者を名乗りたまえ。ただひとつだけ、君に忠告しておく。第二ファウンデーション員はいつでも礼儀を第一にして貰いたい。
アンソーア 礼儀ですか?
ナロビ ダレルの家に盗人のように二階の窓から忍び込んだみたいだね。
アンソーア えっ、なぜごご存知なのですか?
ナロビ 私の娘カリアから、カルガンにいた時、聞いた。ターミナスのホマー・マンが笑い転げて、カリアに話したとな。
これで私は、元のプリーム・パルヴァーに戻れる。セルダンプランの達成を願って、これから、墓参りに行こうと思う。君もどうかね。私の娘ジータも、本望であろう。自分の娘がファウンデーション同士を繋ぐ絆になったことを。
そして、アンソーア君、君が第一発言者の仕事を無事に成し遂げ、引退する時がきたら、もう一度、あの紫に輝くターミナスに行ってみたらいい。その頃はアルカディアはもう第一線を退いている頃だろう。アルカディアを訪れるのだ。忘れないでおくれ。
今度はちゃんと一階の玄関のチャイムを鳴らすのだよ!振り出しに戻ってな。ここはワイ地区だ。古代語のアルファベットのワイの次がジータの「Z」だ!
それでおしまい。
そしてついに振り出し、アルカディアの「A」に戻る!
ついでに言っておこう、アンソーア君、あのミーターは、AとZの中間に一位置付けられるな。
この知恵をくれた不死の従僕には、敬服する。そうだろう、アンソーア君。
yatcha john s. 「牧人の花園アルカディア」
Photo ギリシャ・アルカディア地方の夜明け
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