ミーターの大冒険 第五部 オーロラへ 第3話 「相対主義」
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、まずルート通りにコンポレロンに到達した。ミーターは、その星の初めての惑星探索を果たした。
ミーターは、コンポレロンの人々が最古の星の話題に異常な恐怖感を持つのに、ある理由があることに思いつく。
それは、太古の星についての忌まわしい伝説、地表は放射能で焼けただれているという。
問題なのは、コンポレロンからオーロラという禁断の星へのルートがわからない。困難に直面した二人(?)であったが、そのとき、突如としてイルミナが「フィードフォアード症候群」に襲われた。ある感応者の精神と繋がる。例の「アール(R)」いわゆる「不死の従僕」の感応の響きであろうか。
イルミナは彼女の精神感応力を稼働して、ヴァジル・デニアドールという人物の心理に入り込めた。そこでオーロラについての情報と故郷星の恒星系の特異性を知る。
しかし、その「航海日誌」は、果たして信用できるのであろうか?
ファー・スター2世号はさらに深宇宙に、銀河潮流に沿って進む。
データの不一致が判明する。ターミナスの図書館と18000年前の航海日誌にない天体が進行方向に存在した。ミーターは、イルミナの計算能力に「折り込み済み」と答える。その真相とは?
122
ミーター イルミナ、この航宙船ファー・スター2世号アルカディアの館に降り立った時より数日前のことだ、例のムン・リ・コンパーさんが、ここのセーシェル星系の大体の座標を教えてくれた時、「ガイア」という天体の位置を、次のように説明してくれた。
「シンナックスの先にガイアがある。その向こうにコンポレロンがある。僕の父の故郷。コンポレロンの向こうにあるのが。セーシェル、その先がオーロラ、そしてアルファ。シンナックスの先がシリウス星系だ。」
こうとも言った。
「人類の故郷は、きっとシリウス星系にある」ってね。
そのシリウス星系にはカノープスやシリウスという恒星のあるって言ってた。そこに行くのに、シンナックスを経由するのが一番近いってね。そのシリウス星系にオーロラという故郷の星の候補があるらしいともね。
イルミナ ミーターさん。そうですね。でも例の「航海日誌」でコンポレロンより先のセイシェルを過ぎた辺りで暗中模索になってしまったわ。じゃあコンパーさんのいう通りだと、現在地点の座標がセイシェル星系とシリウス星の境でしょうかね?
ミーター まあ、どうだかね、ターミナス星の地図の表記区分じゃないんだから、相当曖昧であることはよく了解しなくてはならないって言うことだよ。
アルカディアが言っていた。
「中心というのはねえ、ミーター、自分を中心と考える人もいれば、向かい合うものの方を中心と捉えることもあるし、全体の中央を中心と考える人もいる。大事なのは方向性ね。もっと正確に言うなら、見たいものを見るには見たい方向を強く意識することなの。何を大事にするかって言うこと」ってね。
それにコンパーさんでさえも曖昧だ。おそらくコンパーさんの記憶違いか、教えてくれた彼のお父さんも「また聞き」だったとも考えられる。何が真実であるかは、このファー・スター2世号のコンピューターに任せるのが無難だね!
イルミナ ふう、言って見れば、哲学者の私にしてみれば、「相対主義に徹することも時には必要」ってことかしらねぇ!
ミーターさん、例の星からの通信が強くなって来たみたい。ファー・スター2世号の照会メッセージに応答してきて、通信を要求してきたわ。
ミーター 普通通信に切り替えてくれ。俺が直接傍受する。いよいよ待ちに待った時が来た。ハニスさんがなし得なかったことを俺がする時が来た。
イルミナ 了解しました、ボス!
えっ!ハニスさんがなし得なかったことですって!
yatcha john s.
Photo いずれ起きようとする天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突融合の想像図。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます