66第9話ミーター、新シャローック・ホームズ
ファウンデーションの夢
第八部
アルカディアの遺言
第9話
新シャローック・ホームズ
あらすじ
「ファウンデーションの夢」の最終部になります。次作「ミーターの大冒険」を橋渡しする部分になる。
アルカディアは81歳で天寿を全うしようとしていた。暦はターミナス443年。
アルカディア農園はほぼラヴェンダーの畑。第二期のポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスがもうひとつの主役。
アルカディアは全身全霊をかけて14歳から共に歩んできたミーター(ミーター・マロウ アルカディアの命名でダレル家が名門マロウに繋がることを重んじたから。)に訥々と遺言を語る。
ハリ・セルダンとガール・ドーニックによって導かれた銀河復興の希望をミーターに賭けるアルカディアの切実さと真摯さとが最後の息までもその輝きがラヴェンダー畑に染み渡る。
彼女はまず、「反ミュール」の現象から話しはじめる。
そしてアルカディアは銀河の歴史に何度も人類を脅かした政治体制の全体主義の恐怖に話しを移す。銀河の暗黒と混沌の原因もこの全体主義が元凶であり、銀河復興はこれからの解放をも意味していることをつまびらかにする。
アルカディアは尚も気丈夫に最後の気力を振り絞って宇宙最大の謎について語る。それはアタカナ(地球)の悲惨さ状況についてであり、放射能の悲惨さについてであった。
かつてダニールは、ジャーナリスト、チェッター・ヒューミンと名乗って、ハリ・セルダンに接近し、彼の第零の法則に沿って、ハリを誘導した、またハリの盟友、ユーゴ・アマリルの亡きあと、ハリを助ける人材ともう一つの補助手段を構築するために、シンナックス星で若きガール・ドーニックを見いだした。ガールは彼の生涯かけて、この二つの課題を完全に成し遂げ、なおかつ地球復興と銀河復興の糸口を500年後のために用意した。
アルカディアのとくとくとミーターに語る語り口は、まるでガールの魂が、彼女をして語らせているようであった。
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アルカディア 実はね、ミーター。あなたに預かってもらいたいものがあるのよ。
二つのシリンダーペンダントよ。先祖のウォンダさんとベリスさんから350年以上にも亘って我が家の代々の女たちに大事に伝えられて来たものよ。
私の大事な先祖様とお話できる魔法の宝石よ。どんな時でも、どうしたらいいか、どう考えたらいいか、迷った時は、このペンダントに語りかけてきたの。そしていつも最善の道を見つけ出してくれたんですから。
ミーター 何言ってんだい。僕は枯れても男だ。そんなこと簡単に承知できるわけないだろう!
アルカディア いいわね、ミーター。ある時期までよ。それを受けとる女性が現れるまでよ。
ミーター アルカディー。いつ?
誰に?
どうやって?
アルカディア よ~く聞いて。その時がくれば、自然とわかるわ。心配しないで!
ミーター と言われても、そのペンダントやらシリンダーやらが何なのか?
どういういきさつで、アルカディアに伝わり、どういう品物か、教えてくれたら、考えてもいいかもね。
こう見えても俺には俺の流儀っていうか、ロボットとしての誇りがあるっていうもんだ。
アルカディア わかったわ、ミーター、もう一人立ちできる銀河の英雄になってきたみたいねぇ!
ミーター えっへん。ダレル家の新ホームズ、ミーターっていうのは俺のことだわ!
yatcha john s. 『ミーター・新シャーロック・ホームズ』「ファウンデーションの夢」エピローグその9
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