第2セットの我々の前に、目下売り出し中の神童ピアニスト、エルダー君。彼がこのフェステイバルに最初に出た5年前は15歳の少年だった。元ソ連圏のウズベキスタン生れというのにジャズを聴いて育ったという。私がコンサートの控え室で練習していた弾きづらい小さなピアノをスタンウェイでもあるかのように楽々と弾きこなすので驚いた。「ラプソディ・イン・ブルーは暗譜してます」というからこのような神童的な子供は記憶力が凄いのに違いない。今回のソロ演奏でも的確な運指と豊かな創造力に脱帽した。良いプロデューサーがつけば彼はジャズに新しい風を吹き込む存在となるだろう。現在ソニーから出ているCDには、その素晴らしさが充分には反映されていない。
ゲストのヴァイブ奏者、エディ・ロックを加えてのハンプトン楽団のダイナミックな演奏、これを聴く為に毎年、来ているジャズファンも多い。NYからのタップ・ダンサー、アンドリューと私のソロでのラウンド・ミッドナイト。リハの時には、もうひとつどう弾いてよいかに迷ったが、本番では上出来で好評だった。長年参加しているこのフェスティバル、顔見知りのファンも多くいて再会が楽しい。
エルダー君と