経済は筆者にとって専門外であるが、それでも、テレビで報じられている世論?の流れが、論理的に考えて余りに変であるので、ここに書いている。
さて、ここのところ、急激な円安が続いている。10月21日には、米1ドルに対して日本の円は、110円前後にあったところから、じりじりと値下がりして150円超になった。マスコミはこれを「32年振りの円安」と騒いでいた。まるで、それ以前は円高であり、32年前に、今回のような円安があったが如き言い方であった。
勿論、急激な為替変動は良くないことであるが、これは実際の円安に加えて、投機が合わさっての円安であろう。そのように理解すべきなのは、11月中旬~下旬にかけては、急激に円高となり1米ドルが130円台になっている。なお、これを取り上げて、「国力の低下と言っていた人は判っていない人」などと評し「そんなに急に国力が変動するか?」などと言う“専門家”もいるが、この人は本当に専門家なのであろうか? 否、「受け狙い」なのであろうが、不思議な話をする御仁もいる。
ところで少し前、10月18日の衆議院予算委員会において、立憲民主党の階猛(しな たけし)議員からは、日本銀行の黒田総裁に対して、「円安進行を含めて、量的・質的金融緩和は失敗だった」として、即刻、辞任を要求していた。こんな理由を挙げて辞任せよとは、アホの言うことであるとしか言いようがない。
今の円安のそもそもの原因は、国際的な、特に米国でのインフレの加速が原因であろう。しかし、反対に日本では長期のデフレである。外国、主として米国と日本とでは全く状況が異なっているところ、「米国と同じに利上げをして金融引き締めをしろ」ということであろうが、こんなことをしたら、日本の景気は更に冷え込んでしまう。すなわち、日本の置かれている現状を無視して、日銀の政策で、米国と同じに利上げしたところで、日本だけが「安泰」でいられる筈は無い。無理であろう。立憲民主党の階氏はテレビの、ワイドショーの観過ぎで踊らされていると理解するしかない。
しかし、本当に円安は悪いことなのであろうか?
下の図に示すように、日本の対ドルは、1971年まで360円の固定となっていた。その後、変動相場制に移行してから、暫くは1ドル250円前後が続いていた。その時代の日本では製造業が活発で、「明日は今日よりも生活が良くなる」と希望が持てる時代であった。
西暦(年)
ドル対円の推移
ところが円高の進行と共に、人件費を抑制するために企業はその利益を求めて、海外へ移転してしまい、国内の生産と雇用が減少し、結果として、経済は空洞化してしまっている。加えて、東日本大震災での福島原子力発電所の事故を契機に、まるで「羮に懲りて膾を吹く」(あつもの に こりて なます をふく)の諺の如く、原子力発電の停止と太陽光発電の推進がされてしまった。太陽光発電は発電コストが高いので、当時の民主党政権の菅(かん)直人 国賊・首相によって、「国家の権力」による、太陽光発電の「押し売り」であるところの「再生エネルギー付加金」が導入されて、電気代にこれが付加されて高価になっている。
加えて、原子力発電の代わりに、天然ガスを始めとするエネルギーの輸入が増加し、その費用が嵩み、貿易赤字を垂れ流しているのである。貴重な国富を海外に垂れ流しているのである。これは、国家として貧乏になっているということである。国家が貧乏になること、すなわち、国力が落ちているのであるから、その国の通貨の信用度は低下し、当然に円は安くなる。
貿易収支の推移
以前、当時の安倍首相は、「海外に進出している企業が、国内回帰をすれば助成金を出す」と呼び掛けていた。これは、事実上の敵国である中共や、その他の独裁・権威主義・専制国家および似非民主国家などの危険な国から、「今のうちに国内に帰って来て下さい」と言っていたのであろう。
事実、権威主義・独裁国家であるロシアに進出した日産自動車ロシア工場は、1千億円もの価値がある工場等の施設を、たったの1ユーロ、すなわち、146円程度(=タダである)でロシア国営企業に譲渡せざるを得なくなり撤退している。また、ロシア・サハリンの天然ガスの権益を有する日本の企業連合は、突然にロシア側から「今までの会社から新会社に移行した」と言われて「新会社の株式を取得しなければ、権益は失われる」などと勝手なことを言われて、それに従わされている。これは、すなわち、新規に「カネを出せ」ということである。
また、中共に進出している日本企業は、そこでの収益を日本に持ち出せないと言われている。こんな理不尽なことをされているのである。更に、中共では国防動員法という法律で、万一台湾との戦争が生じれば、進出企業は、中共に接収されるか、戦争に協力させられる危険性があるのである。
このように、危ない国(国モドキ)に進出するということは、敵国の人権弾圧に協力し、また、経済力の増強に協力し、また、事あれば、その戦争に協力させられるということである。
そして、「環境教の信者」とも言える輩に利用されている太陽光発電は、中共に併合され史上類例のないと言われる、ウイグルでの人権弾圧・強制労働によって製造されている太陽光パネルが殆どのシェアを占めている。すなわち、「太陽光発電・太陽光発電」と騒ぐことで、日本は、中共の人権弾圧と強制労働に加担しているのである。そして、経済的には、中共の「国内総生産(GDP:Gross Domestic Product」)の向上、すなわち国力の増強に協力しているのである。このように、売国的な事ばかりをしていれば、日本が国家として、貧乏になるのは当然であり、「円」の信用が低下して円安となるのは当然である。
このように売国的なことばかりする連中が経済界に多々いるため、日本の国力を示す一つの指標であるGDPは、図に示すように1995年からは長期低迷している。この間、米国は日本の4倍、中共は3倍の経済成長をしているのである。中共のGDPの向上の何割かは、日本企業の貢献であろう。
世界におけるGDPの推移
このように根本的なことに目を瞑り、金融政策で、「円安を何とかしろと要求」することは無理なことなのである。立憲民主党の階猛衆議院議員はアホ以下である。このような不勉強な輩が、議員の職にあることは害悪であろう。
このように、円安は日本の経済的な地位の低下が反映された結果であるので、これからも、上下はしても、この円安が続くであろう。勿論、投機による乱高下、また、元々あるドル対円の周期的な変動はあろうが、長期的な平均値としては、日本が現状のままでいれば、日本の円安は続くと考えるべきであろう。
政府は「観光立国」などと「どこの後進国の政策か? 」というような恥ずかしい政策に力を入れるのでなく、地に足を付けた産業、すわち、製造業等の国内回帰をさせるための政策を取るべきであろう。
そのためには、エネルギーの自給率を高める必要があり、当面、安全性に注意しつつ原子力発電をするしかないのである。「原発反対」は日本の国力を殺ぐもので、敵国からの工作の可能性も排除できないと考えるべきである。
なお、人件費を抑えて「安く・安く」とすれば、その分は円高になる。しかし、これは、支払うべき人件費を支払わずに捻りだした「安さ」である。そして、甚だしきは、外国人労働者を安く使い、その結果として生産物を安くしても、それは、円高にされて吸収されてしまい、それは、外国の利益になってしまう。加えて、外国人労働者の受け入れは、将来に大きなツケを残すものであり、即刻、中止すべきである。
このように、GDPの低迷、円高と同期して、日本人の給与は低迷し、不景気・デフレとなっているのである。このように考えると、円高が必ずしも得策ではないと考えられるのであるが如何であろうか? いや、限度はあるが円安の方が日本の経済にとっては良いように思うのである。
【了】
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