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大分発のブログ

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対立するものの相互関係

2021-03-02 11:15:00 | 哲学
 弁証法におけるテーゼとアンチテーゼのような関係を二項対立といいます。

  
 以下のように説明されています。

✧弁証法

 物の考え方の一つの型。形式論理学が、「AはAである」という同一律を基本に置き、「AでありかつAでない」という矛盾が起こればそれは偽だとするのに対し、矛盾を偽だとは決めつけず、物の対立・矛盾を通して、その統一により一層高い境地に進むという、運動・発展の姿において考える見方。

 図式的に表せば、定立(「正」「自」とも言う)Aに対しその(自己)否定たる反立(「反」「アンチテーゼ」とも言う)非Aが起こり、この否定・矛盾を通して更に高い立場たる総合(「合」「ジンテーゼ」とも言う)に移る。この総合作用を「アウフヘーベン」(「止揚」「揚棄」と訳す)と言う。

✧対立するものの相互関係

 常識的には、区別されたものは相互に無関係であると考えられています。たとえば、わたしたちは人間であり、私の周囲には空気や水があり、動物やさまざな物がある、と言う。ここではすべてのものが別々になっています。

 哲学の目的はこれに反して、このような無関係を排してさまざまな事柄の必然性を認識することにあり、他者をそれ固有の他者に対立するものとみることにあります。

 たとえば無機物を単に有機物とは別なものとみるべきではなく、有機物に必然的な他者と見なければならないのです。両者は本質的な相互関係のうちにあり、その一方は、それが他方を自分から排除し、しかもまさにそのことによって他方に関係するかぎりにおいてのみ存在するのです。

 同じように自然もまた精神なしには存在せず、精神は自然なしには存在しないのです。
      ヘーゲル 小論理学§119

 主観と客観の同一性が主題になっていますが、ヘーゲルの「小論理学」は仏教で説かれる縁起や不二法門に近いものがあります。その原理自体は簡単なものであるとヘーゲルは言います。

抽象的同一と具体的同一

 真正の宗教あるいは知的直観は、ある人にはとても理解し難いものと、またある人には正真正銘の真理と、また別な人には迷信に類するものと見なされています。

 しかし真正の宗教の主張が神秘的に思えるのは知性に対してだけなのです。しかもその理由は、実に単純なことです。知性の原理が「抽象的な同一」であるのに対し、真正の宗教、または知的直観の原理は「具体的な同一」であること、これだけのことです。
    ヘーゲル小論理学§82の意訳

  
ヘーゲル(1770年 - 1831年)は、ドイツの哲学者。


 抽象とは次のようなことです。

✧抽象(ちゅうしょう)

①いくつかの事物に共通なものを抜き出して、それを一般化して考えるさま。他との共通点に着目し、一般的な観念へとまとめ上げること。

②頭の中だけで考えていて、具体性に欠けるさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)

✧抽象化

 抽象化とは、思考における手法のひとつで、対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は捨て去る方法である。反対に、ある要素を特に抜き出して、これを切り捨てる意味もあり、この用法については捨象という。従って、抽象と捨象は盾の両面といえる。 ウィキペディア


抽象化の例

「ある」と「ない」の両者から「ない」を考えてもならない、と排除したパルメニデスの不生不滅の存在、心と身体から身体をその思考から排除したデカルトのわれ在り。どちらも典型的な抽象化の手法を使っています。


    ✧✧

傷つき潰えてなお混沌に陥ることなく、その世界は乱調の中に調和を秘める。

ばらばらな事物に秩序を見出だすとき、万物はたがいに異なりしかも同一なり。
 アレクサンダー・ポープ「ウインザーの森」より


アレキサンダー・ポープ(1688年- 1744年)はイギリスの詩人。




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