アラム・ハチャトゥリアン:
・交響曲 第3番(交響詩曲) ハ長調
指揮:キリル・コンドラシン
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
ボリショイ劇場トランペット・アンサンブル
オルガン:ガーリ・グロードベルク
・チェロとオーケストラのためのコンチェルト・ラプソディー
チェロ:ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
ソビエト国立管弦楽団
・無伴奏チェロのためのソナタ・ファンタジア
チェロ:ナターリャ・シャホーフスカヤ
ビクター エンタテインメント: VICC-2149
ハチャトゥリアンと言えば
「スパルタクス」「ガイーヌ」、あるいは浅田真央選手がプログラムに選んだ「仮面舞踏会」など、バレエ音楽が有名です。でも交響曲や協奏曲もいろいろ書いています。「剣の舞」などのような民族的な雰囲気が支配的ではありませんが、どれもハチャトゥリアン的なノリを持っていて面白い聴き物です。
このディスクでは交響曲第3番とチェロ系2曲が収録されています。メインはチェロの方ですが、私は交響曲の方に大変なインパクトを感じており、初めて聞いた時は笑い転げてしまいました。ライナーノーツによると、オーケストラにオルガンと15本のトランペットが加わった妙な編成をとっているとのことです。なんでも、作曲当時「交響詩曲」として発表したらソビエト共産党に形式主義的と批判されてしばらくは演奏されなくなり、その後に交響曲第3番と改名したら演奏されるようになったそうです。
全体で25分程度の単一楽章の曲で、冒頭から15本のトランペットの塊がグチャグチャかつテキトーな感じで吠えてきます。その後にオルガンがこれまたグニャグニャと何をやっているかさっぱりわからないソロを差し挟んできます。ここまででお腹いっぱいになったところで、ハチャトゥリアン特有の優美で雄大な旋律が弦楽器に現れます。しばらくいい気分で聴いているとなんだか音楽がガチャガチャしてきて、そこから10分以上続く異様なハイテンションの後半に突入。満腹になって一息ついていた所にフルコースがやってきたようで、胸やけを起こしそうです。クライマックスでは前述の優美なはずの旋律が15本のトランペットによって極めてハイカロリーで奏でられ、例のグニャグニャオルガンソロを経て終りとなります。
YouTubeなどにも幾つか演奏が投稿されていますが、このディスクほどブチ切れた演奏ではありませんでした。このディスクではトランペットもオルガンもヤケクソ気味で、録音も投げやりなのか所々で音が割れています。それゆえに後半の演奏が気違いじみたものになっていて笑いが止まりません。あまり録音されない曲ではありますが、見かけたらぜひどうぞ。チェロ系2曲も自由闊達でいいですよ。
YouTubeにはあまりいい演奏の動画はありませんでした。これはあのチェクナヴォリアンの演奏で、始めの1/3程度だけです。なかなかのテンションですが、惜しむらくはオルガンの音量が小さくてあまり聴こえないことです。時々トランペットなどの音が外れているのは笑ってスルーしましょう。ちなみにブラスバンドによる演奏の動画も幾つかありましたが、吹奏楽ではメジャーな曲なのでしょうか?
その後見つけたこのディスクの録音。笑えます。
クラシックCD紹介のインデックス