『ネメシス』はもともとアーケード版『グラディウス』の海外バージョンの名前だったのですが、国内のグラディウスの外伝的作品にもその名が何度か使われました。その一つがこのゲームボーイ版ですが、私は昔その続編
『ネメシスII』をゲームボーイごと友人に借りてクリアするまでやり込んだのですが、グラディウスとしては斬新な演出があったように覚えています。ゲームボーイで遊んだ経験はその時くらいしかなかったのですが、最近レトロフリークを購入したこともあって、ゲームボーイを含めた各機種の中古ゲームソフトをあさっております。その際に見つけたのがこの『ネメシス』なのでした。
『ネメシス』とはいっても実際は正真正銘ゲームボーイ版『グラディウス』のつもりで制作したに違いありません。ゲームシステムはグラディウスそのままです。ただし、ちびっこ向けのためなのか、ハードの制約のためなのか、画面上のデザインとの兼ね合いなのか、難易度は低くなっています。バッテリー消費を考慮したのか、1周5面と短め。難易度設定は2段階で、レベル2は2周目の難易度。コンティニューがない代わりに、どのステージからでもスタートできます。全ステージをダブルで進めば、シリーズに慣れた人なら数回のプレイでクリア可能。慎重にプレイしていればそのまま2周目もクリアできるでしょう。
難易度は低いと言っても、厄介な敵が何種類かいます。特に2周目に多く出現しますが、後から出てきて自機に突っ込んでくる敵、ヒョロヒョロと自機を追尾していくる敵、自機を取り囲む位置にワープしてくるザブ系の敵が結構邪魔くさいです。
そして、もっとも『ネメシス』ならではの雰囲気を持つのがボス達。各面のボスはとにかく大きくて、存在感は圧倒的。そのうえ従来シリーズには見られなかった重厚なデザインのボスも登場。下の画像は3面ボスで、これまでのボス達とは一線を画す大きさと込み入ったデザインでカッコイイ!
他にもおなじみビッグコアがさらに大きくなってディティールアップした1面ボス、グラディウスIIのクラブの曲をバックに現れるカニのハサミのような2面ボス、ドンキホーテの観覧車のような4面ボスが印象的。最終ボスだけは中ボスのような威厳のなさですが。
グラフィック的にはモノクロながらよくここまで描き込んだなというこだわり。ゲームボーイは液晶画面で、表示の遅さから残像が発生するため、画面の動きが激しいシューティングゲームには不向きなハードであると考えられますが、グラフィックデザインやステージエディットなどに見やすくなるような工夫を感じます。ただ、1面の背景の二重スクロールには騙されました。画面最上段と最下段の地面のスクロールが速くなっており、通常の地形が遠景に見えるため、うっかり山にぶつかったことが何度かありました。
音楽は主に初代グラディウス、II、MSX版グラディウス2から。特に1面では初代の4面と1面の曲が合体していてびっくり。
家庭用グラディウスでお約束のエクストラステージも隠されています。2面の後半、上に設置されているハッチを破壊した跡に入ると、1UPが幾つも隠されたエクストラステージに突入します。もちろんダブルで進みましょう。
グラディウスとしては若干物足りない部分はありましたが、なかなか気分良くクリアさせていただきました。メーカーが手探りでハードの限界や購買層を研究している様子が伺え、大変興味深かったです。いずれはオリジナリティーが高い続編の『ネメシスII』も購入したいところです。
動画は2周目スタート。エクストラステージに入っておらず、まっとうにプレイしています。