ビブリア古書堂シリーズの続編というか番外編というか、まあともかく栞子さんと大輔が結婚して娘の扉子が生まれて、扉子も本が大好きで…って感じのスタート。物語は4つで、全て栞子が扉子に話して聞かせる形式。ただ、本編自体は栞子の視点ではなく、それぞれ別の人の視点で語られる。ちょっと違和感あるが、どうやら扉子に聞かせる話と読者に明かされる内容は少し異なるようだ。どの話もいい感じだったが、最初の「からたちの花 北原白秋童謡集」の話が特によい感じでした。あと、最後の「王様の背中」も扉子が大活躍(?)で楽しかった。
大江戸編下巻!前半は怪盗九印の話。そして後半が表題作の徳利長屋の怪だ。梅太郎からの手紙を受け取り、夢水清志郎左右衛門がいつになくシリアスな感じで江戸城を消す作戦を練っていく。教授は、みんなが幸せになることが名探偵の仕事だというのです。巧之介と亜朱、柴との戦いの緊迫感のシーン。教授と並べることで勝の大物ぶりを表現。何だか痺れます。この幕末の時代に生きた熱い人たちの話をもっと読みたくなりました。はやみねかおる先生が子供に向けた狙いはまさにそれでしょうが、子供でなくても簡単に影響されてしまうのです。
又吉さんの本紹介というかエッセイというか。まあ、でもやっぱり本紹介です。最初に書影があり、大抵の場合、本とは関係ない著者の思い出などが語られ、そして本文最後の3〜5行程度に本の印象が語られて終わる。最後にあらすじが小さく紹介。全部で5ページくらいのものがたくさん(50個くらい)あるのです。単に純文学を読むよりもっと人の心の奥が覗けるような作品だと思った。
君に恋をするなんてありえないはずだったの裏話とか後日談などを集めた短編集。当時こんな感じでは全くなかったが、自分が高校生だったころの当時の教室、校舎、渡り廊下、自転車小屋などを思い出した。
前作と似ているが、ちょっと違う。まず1章ごとの話の長さが半分くらいになった。そして、前作と比べると歴史に話が向くことが多くなった。そして全体的に重い話が多くなった。解説にもあるように、フツウであることに満足できなくなった男たち=日本の指導者たちへという思いが込められているのかもしれない。
まあ、それはともかく、第62章「善と悪」は秀逸でした。善とは現状を維持しようとすること。悪とは現状を破壊しようとすること。なるほど、善とか悪とか絶対的な基準はないとよく言われるが、それを定義としても良いのかもと思った:。
文学少女っていうタイトルに惹かれて読んでみた。主人公は男子高校生で、あまり目立ちたくない過去があり、でも何やかんやと女子と親しくなっていくって感じのラノベであり、ラブコメであり、ミステリでありって感じ。でも、普通に面白かったし、最後の章の意外性にも驚きました。続きも読んでいく予定です。
双子の兄は弟に届いたラブレターを大切にする。黒電話は誰かからの連絡を待つ。女の子は佐藤さんとあずかりやさんを間違えて預かってもらい、チャーハンを食べる。古いトランクは高倉健と名乗る男に拾われる。盆栽は育てられた男の孫に託される。あいかわらず、先の見えないストーリーが面白い。特に、黒電話の話。桐島くんの青春に登場した石永や西野も電話の向こうに登場。なんか、気になって仕方ないのに、電話の視点では分からないことだらけ。ともかく、続きが楽しみです。
夢水清志郎の大江戸編上巻です。登場人物多く、実在の人物なども出てきてかなりにぎやか。最初はエディンバラで通りで消えた人の謎を解決。次の長崎出島での表題作ではれーちが登場し消えた壺の謎をとく。次は、旅の途中で出会った梅太郎(坂本龍馬)というさむらいと動く地蔵さまの謎をとくのです。そしてやってきた江戸でやっと三つ子が登場。大入道の謎を解きます。他の登場人物もかなり魅力的ですが、やっぱり夢水清志郎は群を抜いてかっこ良いですね。下巻では、れーちも再登場するみたいだし、九印(クイーン)も登場するみたいで楽しみです。
斜線堂有紀さんの本3つ目の読了です。第一章は小学生の頃の話で、胸くそ悪く救いのないイジメに苦しくなってくる読感。でもそれは単に物語の序章でした。第二章は中学、高校を経てブルーモルフォが明かされる。まあ、この章は小休止であり、かつ、物語の確信に入っていく感じでした。そして残りの第三章は、景が苦しみながらやっているのか、何も感じずにやっているのかに焦点が当てられる。それがどちらであっても、やっていることは同じはずなのですが、そこがテーマなのでしょう。そして最後は、相変わらずの突き放したようなクローズでした。
のみ、百円均一の店で毎日3つ買い物をする女性、青い鳥、小説の原稿、古い振り子時計。今回も様々な視点の話が5つ。このシリーズの魅力はどう言えばいいかよく分からない。だけど、あまりにも先が見通せないところが一つの魅力だろう。物にも意識があり、感情がある。物による視点はなんともふわっとしたストーリーを読者に与え、自然な叙述トリックを与える。それがやみつきになっていくのかもしれない。