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2月の課題本 遠藤周作『沈黙』

2017-02-04 23:20:20 | ・例会レポ

遠藤周作『沈黙』
新潮文庫 1981年

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。 (Amazon内容紹介より) 

=例会レポ=
 映画も公開され、本屋さんでは平積みになっており、ここで読まないと、というタイミングで、この本が読めて良かったです。ここで手にとらないと、読まなかったかも。
 読書会では概ね好評でした。
 自身がクリスチャンという方はいらっしゃいませんでしたが、身近に信者がいたとか、ミッションスクールやカトリック系の学校に行っていたなど自身の体験を交えたお話もいろいろ伺えました。
 みなさんたくさんお話ししていただけたので、時間が足りなかったかもしれません。これだけ盛り上がれるのは課題本として、成功だったかと(ちょっとうれしい)
 
「自分の精神的な棄教宣言では」
「遠藤周作好き 日本人にとって、神とは何か、信仰とは何かが書かれている」
「中学生の時に『深い河』を読んだときほどはインパクトがない」
「善意のある人ほど始末におえないな」
「日本人はキリスト教を信じる能力がない」
「通辞は人間らしい、キチジローはもっと人間らしい」
「宗教はそれぞれの民族が作った物語だ」
「改めて感動した。遠藤周作は絞り出すように、書かないと生きていけないような切羽詰まった状態で書いていたのでは」
「キリスト教が理解できていないから、こういう結末でいいのかというのがわからずもやもやするのか」
「とても引き込まれた」
「久々、直球勝負で面白い本だった」
「司祭はアメリカ人っぽく感じた。母親っぽい感じもした」
「キチジローに好意。自分に信仰がないので、傍観者になった気分」
「小説としてはすごく面白い。五感を刺激された。神はいるのかも」
 
講師からは、
 50年ぶりに読んだ。
 『沈黙』は自分の信じているものを捨てなければならないときにいかに戦えるのか?が優れた舞台設定、人物造形によって描かれている。
 遠藤周作は一貫して、キリスト教をベースとして書いていた小説家。
 作品はすべて、彼自身のイエス像を描く旅。
 同伴者としてのキリスト像=母を描き続けた。
 『死海のほとり』『侍』なども同様。
 『沈黙』は編集者がつけた題名で、原題は『日向の匂い』だった。
 
 宗教は人が幸せになるためにあるはずなのに、それが迫害や戦争の原因になったりするのではたまらないです。あくまで信仰は自分の中の神との対話でなされていくべきなのか?
 宗教団体や国が政治的に利用したりすることで(何か利益を得ようとして利用するようなことで)おかしな軋轢が生まれてきてしまうような気がしました。
 おりしも清水富美加出家問題などニュースになったりしていましたが、やはり弱い気持ちにつけ込むような宗教は嫌かも。自分の中で何を信じるかはじっくり考えてみたい気持ちがします。
 マーティン・スコセッシ監督の映画版『沈黙』も音楽のない自然な音のあふれた映画でよかったです。(日本人がちょっと英語しゃべりすぎとは思ったけど) 

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