税込価格 : 819円
出版 : 東京創元社
発行年月 : 2006.8
久しぶりに和室での例会でしたが、テーブルを囲んで座椅子に寄りかかって、ちょっとアットホームな雰囲気です。いつもよりも出席者も多くて推薦者としてはうれしい。
「淑やかな悪夢」は「淑やか」という最近では死語になった表現に惹かれ、またキャサリン・マンスフィールド以外は誰も知らない作家ばかりだったので読んでみたくなりました。
怪談=広辞苑によれば化け物に関する話、妖怪幽霊、鬼狐狸などの迷信や怪異の伝説や口碑などの話ということですが、秋の夜長の怪談もまた一興かと。
皆さんの感想としては、全体に対するものとして
・ ひねりの聴いたホラーを読んでいると少し物足りない。怖さはあまり感じない。
・ さらっと読めるが後でじわっと怖いかな。
・ 文庫本のカヴァー絵がいい。
・ 英米のユーモア怪談は日本人には理解できないのではないか。日本人と怖さの質がちがう。
・ 訳文が良くない。
・ 作品の選び方に難あり、一作一作にレベルの差がある
などの声がありました。
またそれぞれの作品については
・ 追われる女→いきなりネタバレ、ストレートな怖さ、と相反する感想が。
・ 黄色い壁紙→現実的な恐怖、今でも通じる話、後味が悪い、何回読んでもわからない、強い印象が残る、一番怖いのは人間。
・ 故障→肖像画が出てくるのがイギリス的。犬皮の手袋ってあるの?(Y氏によれば無いそうです)
・ 名誉の幽霊→イギリスのユーモアを感じる。
・ 宿無しサンディ→落語を思い出した。
帯に一節が採られているところからも「黄色い壁紙」がこの作品集の目玉のようで、出席者からも一番言及が多かったです。
印象に残った作品としては複数回答ですが
・ 黄色い壁紙(8名)
・ 故障、宿無しサンディ(5名)
・ 蛇岩、郊外の妖精物語(3名)
・ 証拠の性質(2名)
以下、追われる女、告解室にて、などが挙げられました。
菊池講師からは、
『私は怪談が嫌い。この作品集はすべてB級C級の作品で質はかなり落ちる。アンソロジーと言うのはまずA級のものから選んでいくのであり、怪奇全集などですでに良質のものは出尽くしている。無理やり女流作家ということでくくっている。
最近宮部みゆきの初期の時代小説を読み返す機会があったが、当時からかなりの力量があったことが改めてわかった』
というようなお話がありました。
結論としては、海賊キッドも徳川埋蔵金も、そして、文豪の未発表原稿も、もう世界にお宝はない!ということですね。 (よぴかり)
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