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『グランド・マザーズ』
ドリス・レッシング/著 山本章子/訳
集英社文庫 2009年
456ページ
ノーベル文学賞受賞作家のSFなど4短編
2007年ノーベル文学賞受賞ドリス・レッシングの短編集。友人同士が互いに相手の息子と恋仲となる問題作「グランド・マザーズ」他、得意のSF「最後の賢者」など全4編を収録した多彩な秀作集。
集英社文庫
<例会レポート>
参加者は20人、女子率85%。少数(ではないけど)厳選参加だったと思います。
そのせいか、罵倒を覚悟していた推薦人の予想よりははるかに好評でした。いや、例会後、そのように感想を述べたら、「ぜんぜん好評じゃなかったじゃん」との反論をいただき、えっ!?と思ったわけで、どんだけ不評を予想してたんだか、自分。
4つの短編が収録された短編集ですが、表題作の「グランド・マザーズ」が一番高く評価されました。講師も「うまい短編小説の典型的プロット」と評していました。
とはいえ、「この人、小説下手なんじゃない?」「小説以前のプロットを読んでるみたいだった」など、書き方への不満の声も多くありました。その点については、敢えてこういう書き方をしてるんじゃないかな、と推薦人は思いましたが。
全体的には「タタドに似てると思った」という方数名。
「風景や人物の描写が美しい」「おもしろいとは違うけど、興味深かった」など好意的感想数名。
「何も心に響くものがなかった」「メリハリがない」「キャラクターが濃すぎる」「嫌いではないが、読んで楽しいというものでもなかった」などなど不評の小山もできました。
「がんばって読んだ自分は偉い」「この後に読んだ本がすごくおもしろく思えた」など、推薦人として喜んでいいの?な感想もありました。途中までしか読めなかった人6人というのは、最近にない未読率のような気もするし、欠席者の中には「ほんとは出席できたけど、課題本読めなかったし」という人もいたのではと推測され、潜在的未読率はもっと高いのだろうと思うのです。なんと言っても推薦人さえ未読なんですから(「最後の賢者」だけね)!はは。
講師からは、「こういう機会でもなければ一生手に取らない本を読む、というのも読書会の醍醐味なわけです。2007年ノーベル文学賞を受賞しただけに、時代性と、政治とジェンダーという小説の核となる世界観をしっかり持っている作家。課題本は短編集だが、長編の方が本来の力が発揮されているので、『夕映えの道』をぜひ読んでみてほしい。2人の女性の出会いと老いをみつめた素晴らしい作品」とのお話がありました。
最後に資料として、ノーベル文学賞リストをリンクしておきます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E6%96%87%E5%AD%A6%E8%B3%9E">http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E6%96%87%E5%AD%A6%E8%B3%9E</a>
ちなみにおもしろ本棚でノーベル文学賞作家の本を読むのは6人目です。
ロマン・ロラン(ジャン・クリストフ)、アーネスト・ヘミングウェイ(武器よさらば)、川端康成(浅草紅団)、ガルシア・マルケス(百年の孤独)、ウィリアム・ゴールディング(蠅の王)、そして今回。
もし、村上春樹が今年選ばれたら、「最近の受賞者では、ドリス・レッシングを読んだけどさー」とひけらかして自慢しましょう。
今回の結論:ドリス・レッシングを語るのは、『夕映えの道』を読んでから!
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