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望みは何と訊かれたら

2007-12-27 16:43:25 | ・近ごろのおススめ本

小池真理子 著
新潮社/1,995円
2007/10/22 

2007年も残り少ないこの時期、ついに今年のベスト本にめぐり合うことができました。
 
作品的には『無伴奏』『恋』の系譜に連なるこの小説は、現時点における小池真理子の最高傑作と言って間違いないでしょう。封印していたはずの女子大生時代の思い出を、54歳になったヒロインが偶然の再会を機に語り始めるこの物語のモチーフは、本書の扉裏の文章が示すように、リリアーナ・カバーニ監督の「愛の嵐」。ダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングが演じた愛の姿を髣髴とさせる、背徳的でいて官能的な極限の愛の姿は凄まじいものがあります。
 
時代背景は70年代前半の「政治の季節」。60年代の「政治の季節」を背景に男女の関係を描いた、次回の課題本『されどわれらが日々』と読み比べてみるのもいいかもしれません。時代と環境の違いが、若者の生き方や思想、そして恋愛にどのような影響を与えたのかがよくわかると思います。
 
東京の大学に進んだ東北地方の早熟な女子高校生の遍歴、という捉え方もできる本書。そこで、ぜひともよぴかりさんの感想を聞いてみたいものです。

                               (天馬トビオ

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1 コメント

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トビオさんに一票 (ままりん)
2008-03-23 23:03:29
先日読了しました。

小池真理子さんはあまり好きじゃないと思っていましたが、これには圧倒されました。
凄い官能小説だと思いました。
去年のうちに読んでいたら、確かにベストだったかも。
賛否両論、分かれそうな本ですが。

ケチをつけるとすれば、タイトルと表紙の雰囲気が、イマイチ読む気にならないので惜しいと思います。
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