【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第96回
「怨みに報ゆるに徳を以てす」(老子)
老子は、宇宙の根源である「道」とともに生きている人、
つまり「道」のあり様を自己のあり様として生きている人を一番重んじています。
だからこそ、つい見栄を張ったり、より自分を大きく見せようとしたり、
自分の手柄にしようとする人の態度に対して、かなり厳しく諭しています。
目立つことなく「無為」に行い、特別に良い事も悪い事もない
「無事」をよしとして、格別の味がない「無味」だからこそ、
すべての味が味わえる。このような事に対して、注意深く伝えています。
むい を なし ぶじをこと とし むみ を あじわう
第86回 「無為を為し、無事を事とし、無味を味はふ」(老子)
その後に続く文章として、
「小を大とし 少を多とし、怨(うら)みに報(むく)ゆるに徳を以てす。」
(小さなものを大きく捉え、少ないものを多く捉え、
そのように捉えるから、もっともっとと欲することがない、
うらみに対しても むしろ徳で接するから 争いにならない)
まさに、このような態度で接することで、
対立や争いをさけるような在り方になるのだと伝えています。
本当に、深いですね。。。。
このような言葉に触れ、意味を味わい、このような在り方を意識することで、
少しでも「道」に近づいていけるよう精進していきたいと思います。
参考文献
『老子道徳経講義』田口佳史著 致知出版社