松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆外国人は消防団員になれるか5(三浦半島)

2019-03-29 | 外国人消防団

 意外と人気シリーズの5回目である。


 これまでの議論を整理すると1.消防団は非常勤公務員である。まず、公務員は、日本人でなければいけないというのはない。判例も、外国人でも公務員として採用されるということを前提に、管理職になれるかに議論が移っている。


2.非常勤公務員は、地方公務員法の適用がない。ただ、職務に応じて、公務員として期待されている役割(責任)はある。


3.消防団についての国籍条項の法律がないので、外国人が消防団員になれない根拠は、公務員は日本に限るのは当然のことであるという、「当然の法理」によって解釈されることになる。


4.当然の法理は、限定解釈が進んで、公権力の行使・国家意思の形成に参画するような公務員には外国人は当然なれないが、そうでない単純業務・機械的な業務を担当するような職員は、国家意思に影響を与えると等の心配がないので、当然とはいえず、自治体ごとの裁量による。


5.ちなみに関西では、消防団ではなくて、正式公務員である消防士の採用にも、国籍条項はない。他方、消防士は、公務員になれないという自治体のほうが大多数であるが、その違いは、4の「自治体ごとの裁量の違い」である。


6.外国人が消防団に入れない理由は、あえて探すと「公権力の行使」である。破壊消防が認められているからである。しかし、たしかにこれも公権力の行使といえるが、延焼を防ぐための破壊消防が、国家意思に影響を与えるものではない。


7.そうしたこともあって、消防団に外国人が入るケースは、実務はずっと進んでいて、共同通信の調査では、147の自治体では外国人の消防団員がいるということである。


8.日本にいる外国人は、300万人に近いづいてくる。また国は、とりあえず35万人の外国人を積極的に導入しようという外国人移民政策をはじめた。そのなかで、これまでは、外国人の分も、日本人が火を消してあげるという政策であったが、日本にいるのなら、一緒に火を消してほしいというのが、私の率直な意見である。


9.消防団だけでなく、さまざまな領域で、外国人が、地域のために活躍できない場面がある。法律で国籍条項がある場合は自治体は動けないし、当然の法理が適用される場合でも、自治体だけで変えていくのはきつい。早く国がきちんと方向性を示さないと、行き当たりばったりの定住外国人政策になってしまい、ヨーロッパの二の前になる。


10.国は、外国人移民政策ではないと言い張っているが、それならそれでよく、ポイントは、実際にたくさんいる外国人が、日本になじみ、地域のために存分に力を発揮してもらえるように、(移民政策ではないが)そのための政策を組みたてることである。


11.調べていたら、郵便屋さんは、かつては国籍条項があった。昭和59年に撤廃された。今では郵政外務職員は、国籍条項はない。郵便職員は、通信の秘密ともろにぶつかるが、このときも、万が一の例外的な心配をしたら(外国人が通信の秘密を犯し、外国と通謀するのではないか)、開放は進まなかったろう。実際、外国人がなったからと言って、何も起きていない。


12.万が一の外国との通謀を防ぐのは、国籍条項ではなくて、別の法律で対応するべきである。国籍条項は、日本人は日本を裏切らないが、外国人は日本を裏切るという組み立てであるが、案外、「裏切者は仲間の顔をする」


13.人手不足がひどく、外国人も大いに働いてもらうしかない。その持てる力を、地域のために、使ってほしい。使えるようにリードするのが政策である。


14.定住外国人の活躍政策は、昨年度の研修で行って、時代の先を行くいい提案ができたが、それらを踏まえて、きちんと本を書けばよいが、とても手が回らない。


15.次は、法律で国籍条項がある民生委員を研究しているが、もっぱら、先にやることがあり、連れ合いとの付き合いもあるので、手が回らない。


写真は、この前行った、伊豆シャボテン動物公園のシャボテンカレー。



その6あります
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