松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆オルソン問題を考える(2)

2021-12-19 | 自治会・町内会、オルソン問題を考える
 オルソンの指摘によれば、フリーライダーとしての行動は合理的である。ではなぜ、個人のレベルでは合理的に振る舞うはずの人々が,自治会活動等の地域コミュニティ活動のような非合理に見える集合行為を行うのか。

 そのこたえのひとつが、McCarthy と Zald(1973)によって理論化された資源動員論(resources mobilization theory)である。

 資源動員論とは、オルソン の議論をベースに、共通利益が存在するだけでは組織化は起こらないと考え、利用可能な資源を獲得し、正当性、連帯性、共感性、関係性を重視しながら、効果的に利用できることが、社会運動の成功につながる立場である(合理的活動ということである)。

 つまり、社会運動の目標達成のため、どのような資源を動員し、どのような組織、戦略で行えばよいかを考えるもので、これを地域活動におけるフリーライダー問題に応用できるだろう。

 なお、ここに資源とは、物質的(金、設備、場所)、人間的(人的資源、知的財産)、社会的(仲間同士や政策決定者とのつながり・ネットワーク)、文化的(社会の意識)、道徳的など、ハードからソフトまで含まれる。

 資源動員論から、学ぶヒントは、次のようなポイントである。
・わかりやすい定義
 自分たちの目標を分かりやすく設定することで、市民に理解・支持してもらうことができる。ものごとをわかりやすくみせることが、大事である。「住んでみたい街ナンバーワンを維持する」

・連帯感
 連帯感の高ければ、信条を共有し帰属意識を持つ。自分の利益と公共の利益との乖離は少なくなり、自分の資源を公共利益のために提供することをいとわなくなる。

・正当性
 正当性(正義、公正)があれば、人々は、共感しあるいは義憤を引き起こす。行為者も、道徳的満足感を得られ、行為しない人は、ある種の罪悪感、負い目を生み出す。これで人々を公共活動に誘引する。

・関係性
 関係性が確立していると、その関係性(つきあいや社会的な支え)を守ろうとして、あるいはそれを失うことを怖れて活動に参加する。

・情報共有
 情報が共有されることで、共感性、連帯性、正当性、関係性等が、より強まっていく。
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